ちゃんと知っている? 自分の税金が決まる仕組み

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税金を納めることが、私たち国民の義務であることはご存じの通りです。でも、義務といっても、公平でなければ、国民の理解は得られません。そこで国は、税金の計算をする際、個人の事情に応じた金額を差し引く「控除」という制度を作っています。

 次の表は、独身(40歳未満)、会社員の年収別の控除と税額を表したものです。

年収別の社会保険と税額。350万円、450万円、550万円の年収別で見る社会保険と税額の表(※住民税の基礎控除は33万円)

税金はどうやって決まるのか知っておきたい

 表を見ると、年収350万円の独身者では、1年間に所得税を7万500円、住民税を14万5600円納めることが分かります。

 では、この税金の決まり方を見ていきましょう。

 税金は、年収そのものに税率を掛けるわけではありません。収入からさまざまな「控除」を差し引いたものが、税金がかかるモトとなる「課税所得」になり、そこに税率を掛けて税金が決まるのです。そして、税金を計算する際には、会社員が必ず差し引く3つの「控除」があります。

会社員が使える控除1:給与所得控除

 一つ目は「給与所得控除」です。

 仕事で使う手帳を買ったり、スキルアップのための本を買ったり、スーツを買ったりと、会社員が給料を得るためには、何らかの必要経費をかけています。でも、個人事業主と異なり、これらの領収書を確定申告のために集める方はほとんどいらっしゃらないでしょう。

 その理由は、会社員の必要経費は、「給与所得控除」と呼ばれ、給与収入に応じた計算式が決まっているからです。

給与所得控除の速算表 参考:「本気で家計を変えたいあなたへ 書き込むお金のワークブック」前野彩著/日本経済新聞出版社

 「給与所得控除の速算表」の計算式から年収350万円の人の「給与所得控除」を求めると、350万円×30%+18万円=123万円です。月額換算すると約10万円ですから、国は会社員の必要経費をしっかりと考えていることが分かります。

会社員が使える控除2:社会保険料控除

 二つ目は、「社会保険料控除」です。

 社会保険料とは、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料です。40歳以降はこれらに介護保険料が加わります。

 社会保険料は、国の制度として必ず納めるものであり、私たちが自由に使えるお金ではありません。そこで税金の計算をする際は、1月1日~12月31日までに実際に納めた(給料天引きされた)社会保険料を、「社会保険料控除」として、税金の計算する際に差し引くのです。

 年収350万円の人の場合、社会保険料50万8025円を納めているから、税金の計算をする際には、「社会保険料控除」として50万8025円全額を差し引きます。

会社員が使える控除3:基礎控除

 最後の控除は、「基礎控除」です。

 仕事をしているということは、当たり前ですが、生きて生活しています。その最低限の生活費に必要な金額相当分ということで、税金を計算する際に、「基礎控除」として38万円を差し引くのです。

 基礎控除38万円は、年収に関わらず同じ金額です(住民税を計算するときの基礎控除は33万円)。

 給与収入から、給与所得控除、社会保険料控除、基礎控除の3つを差し引いた金額が「課税所得」という税金を計算するモトとなります。そして、その課税所得に税率を掛けて税金を計算します。

 年収350万円の人なら、課税所得は、「年収350万円-給与所得控除123万円-社会保険料控除50万8025円-基礎控除38万円=138万1000円(千円未満切捨)」となり、これを「所得税の速算表」に当てはめます。

 すると、138万1000円×5%=6万9050円が所得税額となり、さらに、2011年の東日本大震災の復興のための復興特別所得税2.1%が上乗せされ、7万500円が納める所得税となるのです。

 このように、税金は収入から各種「控除」を差し引き、税率を掛けて決まるのです。

国に納める所得税と自治体に納める住民税

 なお、税金には、国に納める所得税と、地方自治体に納める住民税があります。

 所得税は、1月1日~12月31日までの収入(所得)によって決まります。会社員の場合は、会社が1年間に納めるべき税金を年末調整で計算してくれるので、源泉徴収票を見ると、自分がいくらの税金を納めたのかが分かります。

所得税の速算表 参考:「本気で家計を変えたいあなたへ 書き込むお金のワークブック」前野彩著/日本経済新聞出版社

 住民税は、1年遅れで6月を区切りとして納めます。例えば、平成29年5月に納めている住民税は、おととしの平成27年1月1日~12月31日をもとに計算した住民税を分割で納めています。平成29年6月以降に納める税金は、昨年の平成28年1月1日~12月31日をもとに計算した住民税を分割で納めるルールになっているのです。

 年収350万円の人の場合は、課税所得に対する10%の住民税と、均等割などを合計して、14万5600円の住民税を納めます。

 収入が高くなるほど、納税額が増えますが、実際は年収だけでは納税額は決まりません。扶養家族の人数によっても税金は変わりますし、その他にも、早くからコツコツと老後の準備をしたり、もしもの場合に備えて保険に入ったりする人もいますから、個人の事情によって使える「控除」を他にも用意しています。

前野彩
Cras代表取締役。FPオフィス will代表。大阪在住のファイナンシャルプランナー。中学・高校の保健室の先生から、結婚、退職、住宅購入、加入保険会社の破たんを経て転身。働く女性や子育て世帯が、お金の安心と可能性を実感できる「知れば得トク、知らなきゃソンするお金の知恵」を伝える。新著に『本気で家計を変えたいあなたへ〈第2版〉 書き込む“お金のワークブック”』(日本経済新聞出版社)。

[nikkei WOMAN Online 2017年5月15日付記事を再構成]

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