ラーメン、SNS…ダメな会社の新見極め法(藤野英人)レオス・キャピタルワークス社長兼最高投資責任者

「企業には財務諸表などの数字には表れない投資情報がある」

投資対象として企業を分析するとき、多くの人はまず財務諸表などの数字をチェックします。そうした数字を理解することは大切なのですが、数字が苦手な人もいるでしょう。でも安心してください。数字だけで会社の良しあしを判断できるわけではありません。私はかれこれ30年近く株式運用に携わっていますが、その経験から数字には表れない投資情報があることを学びました。

 15年以上も前の話になりますが、「伸びる会社、ダメな会社の法則」という本を書いたことがあります。なるべく数字を使わない、誰でもわかるような方法で、良い会社かダメな会社を見極められないだろうかと思って、その当時考えていたことを「法則風」にご紹介しました。ありがたいことにそれがとても読まれて、同じテーマで書いた「スリッパの法則」という本はベストセラーになりました。

 スリッパの法則では、例えば「人の話を聞かない社長のいる会社には投資してはいけない」「社長室の豪華さと会社の成長性は反比例する」「社内でスリッパに履き替える会社への投資は失敗する」など63の法則を紹介しました。あれから時代も変わり、私自身もさらに経験を積んだので、改めて新たな法則を考えてみました。今回は新法則の一部を紹介したいと思います。

ラーメン店主は総合的な能力が必要

(1)「ラーメン店を繁盛させそうな会社の社長に投資する」

 ラーメン店の経営は総合的な能力が求められます。おいしいラーメンを提供して顧客に喜んでもらうためには、顧客とのコミュニケーションはもちろん、マーケティングやプライシング、商品開発力が問われます。店が大きくなれば会計もできなくてはなりませんし、アルバイトなどの人材育成もしていくことになります。つまり会社経営と同じようなマネジメントの能力が備わっていなくてはならないわけです。

 その意味では、経営能力を高く評価されている日産自動車のカルロス・ゴーン会長やソフトバンクグループの孫正義社長はラーメン店を作っても繁盛店にできると思います。

 しかしながら、経営難に陥っている東芝はどうでしょう。歴代社長の過去のインタビューを見る限り、どこか危うさを感じてしまいます。私は「この人たちがラーメン店をつくったら、お店を潰してしまっただろう」と思いました。「ラーメン店の店主」というと、ちょっと変わった発想かもしれませんが、経営者として大切な能力を見極めるのにとても有効だと考えています。

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