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強さだけじゃない 『美女と野獣』にみる理想の女性像

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NIKKEI STYLE

ディズニー・アニメーションを実写化した映画『美女と野獣』が大ヒット上映中です。オリジナル版の映画『美女と野獣』は1991年に公開され、アニメーション作品としては、史上初のアカデミー賞作品賞にノミネートされた名作です。今回はそのヒロイン像をテーマに考えてみたいと思います。

原作は18世紀にフランスで書かれた小説です。映画としてはジャン・コクトーが監督した作品も知られています。姿やかたちに惑わされず、美しい心で誰とでも接している女性に王子様が現れて真実の愛をつかむ……夢物語のようですが、多くの女性がその世界観に酔いしれます。

実写版には現代を反映

不朽の名作として語り継がれる物語ですが、ディズニーが制作する映画は現代を色濃く反映させています。映画には有色人種が多数登場しますし、同性愛を連想させるシーンもあり、ダイバーシティー(人材の多様性)に配慮しているように感じます。そもそもダイバーシティーは主人公である美女(ベル)と野獣の愛の根幹ともいえるかもしれません。

ディズニーはアニメを実写版に制作し直す際にヒロイン像も時代に合わせて変化させているのだそうです。例えば2年前に公開された実写版『シンデレラ』は、アニメーション作品よりも、強い目的意識や道徳心、不屈の精神を持っている女性が主人公でした。

来日したケネス・ブラナー監督を取材した際、監督はヒロインの描き方について、次のように語っています。

「男性次第でシンデレラの人生が変わることのないように気をつけた。彼女の人生は魔法が全て解決してくれるようなたやすいものではない。魔法の助けは借りつつも、人生を自分自身で切り開いていく。

パートナーとなる相手にも、受け身ではなく、お互いを高め合いチャレンジし合う関係を求めている。自分らしく生きることを恐れない強い女性なのだ」と語っています。

実写版『シンデレラ』では、表層的に着飾るわけでもなく、誰かと比べるのではなく、自分にとって何が幸せなのか、自身の力で決断し前進していくヒロインの姿が描かれていました。

21世紀の強い女性像を体現

実写版『美女と野獣』でも、来日したビル・コンドン監督が同じようなメッセージを伝えています。

「オリジナル版は子供向けとも言えるが、すでに大人だった私が夢中になったように、誰にとっても素晴らしい作品だ。1991年当時、男の子よりも本が好きなベルは革新的なディズニーのヒロインと称されていたが、その後25年が過ぎ、21世紀の強い女性像・ベルを主演のエマ・ワトソンが体現してくれた。

オリジナル版では本が大好きで知識豊富なベルまでは描かれていたが、実写版ではその知識を周りにも共有していく。例えば、小さな女の子たちが読み方を学べる時間ができるよう、洗濯機のようなものを発明するのだ」と、語っています。

確かに、作品の中で強さだけでなく知性や行動力も併せ持つ、ヒロインのベルは、現代に生きる女性にも通用する人物像として描かれていました。

映画に登場する「この村は小さすぎる」というセリフにある通り、小さな村という狭く閉鎖的なルールや価値観を持った社会においては、女性でありながら向学心にあふれるベルは、村人たちから変わり者として扱われてしまっています。そんな中でもベルは、人と違っても自分らしく生きる姿勢を貫き続けていました。父親だけが理解者でベルの個性を認めています。ベルが野獣を愛することができたのも、父親から教わった個性を尊重する姿勢があったからなのかもしれません。

野獣と平匡さんの共通点

一方、野獣は人と違う姿に変えられた自分を受け入れることができず、心を閉ざしたまま生きていました。そんななか、人と違っても自分らしく生きようとするベルと出会い、やがてお互いの心の中にある孤独を知り、認め合うようになっていくのです。結果、野獣は力で支配することをやめ、ベルの意志と個性を尊重するようになります。

自分に自信を持てずに心を閉ざしていた男性が、次第に心を開き始め、傲慢さを捨てて女性を尊重していく過程は、見ていてなんだか「むずキュン」してしまいました。

この「むずキュン」は人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の中で、自己肯定感の低い平匡さんが、聡明(そうめい)なみくりと一つ屋根の下で一緒に暮らすうちに、だんだんと心を開いていくストーリーに抱いた気持ちと似ているようにも感じます。

野獣と平匡さんは一見、正反対の外見、キャラクターですが、自己肯定感が低く、心を閉ざし、自分のルールで長い年月を過ごしてきたという点では共通しているのかもしれません。

多くの女性の観客から「姿が野獣のままでもだんだんとイケメンに見えてくる」という感想があるのは、映像の巧みさに加え、過信や傲慢さを捨てた男性の魅力が、野獣から少しずつにじみ出してくるからではないでしょうか。

その野獣の魅力を引き出したのは、やはり主人公のベルです。野獣の外見を受け入れたことからもわかる通り、他人の個性を認めて受け入れ、自分の信じた道を選択し、自分の力で男性(野獣)を助けるという今の時代が求めているヒロイン像といえます。

自立する強さだけでなく、知性と行動力に加え寛容さを備えたヒロイン。それは多くの女性たちが目指すべき女性像であり、憧れの存在……。ミュージカルとして小気味よく鑑賞できる実写版『美女と野獣』には、そんな奥深いメッセージも託されているように感じます。

鈴木ともみ
 経済キャスター、ファイナンシャル・プランナー。日本記者クラブ会員。多様性キャリア研究所副所長。TV、ラジオ、各種シンポジウムへの出演の他、雑誌やWeb(ニュースサイト)にてコラムを連載。主な著書に『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。株式市況番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重TV・ストックボイス)キャスターとしても活動中。

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