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ギンザシックス 無料ポイントカードを発行しないワケ

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日経デジタルマーケティング

松坂屋銀座店跡地に2017年4月に開業した大型商業施設「ギンザシックス」。国内外の有名ブランドや「蔦屋書店」などの専門店が241店が入居し、銀座の象徴ともいえる中央通りに面する側には、仏クリスチャン・ディオールや仏イブ・サンローランといったそうそうたる高級ブランドが路面店を構える。入居店舗のうち121店舗が旗艦店と位置付けており、テナント側からの期待も高い。

地下2~地上6階は化粧品、ファッション衣料、書籍などの小売り店舗が入り、さまざまなレストランも軒を連ねる。地下3階には多目的ホール「観世能楽堂」があり、能以外にもさまざまな公演を開催する予定だ。特徴的なのは、観光案内所や観光バスの乗降所があり、外国人観光客向けのサービスが充実していること。銀座という土地柄から、外国人観光客にとっても便利な施設となることを目指している。

ギンザシックスを運営するのは、GINZA SIXリテールマネジメントという会社。これは、大丸松坂屋百貨店、森ビル、LVMHグループの不動産投資会社・L キャタルトン リアルエステート、住友商事の4社がギンザシックス運営のために設立した共同出資会社だ。「各社からエース級の営業担当者を募った」とGINZA SIXリテールマネジメント取締役の光田寛和氏は話す。初年度に売り上げ600億円と2000万人の来館者数を見込む。

この新会社にはギンザシックスのマーケティング戦略を担う「サービス企画部」という部署がある。同部の役割は顧客との接点やコミュニケーションを設計して運用すること。具体的にはスマートフォン向けアプリ「GINZA SIXアプリ」の開発運用と、観光案内所や優良顧客向けラウンジの運用などを担う。当初はプロモーション部門と統合する予定だったが、「アプリなどを開発する過程で、ソフト面がほかの商業施設との差異化のポイントとして重要になってきたことから独立させた」(光田氏)という。

顧客との関係はアプリで構築

マーケティング戦略の根幹は、「サービス企画部で開発するアプリを軸に顧客との直接の接点を構築する」という考え。その理由を光田氏は「魅力的な商業施設が開業するたびに、新しい施設へと消費者は移り変わっていく。そんな、ほかの施設に浮気しがちな顧客を引き止めたり、帰ってきてもらうには、しっかりとした関係性を構築しなければならないから」と説明する。

このマーケティング課題を解決するために、ギンザシックスでは従来の百貨店事業のCRM(顧客関係管理)施策を踏襲しなかった。「百貨店はどこも、ポイントカードや外商カード、クレジットカードなど、たくさんの種類のカードを発行している。そのため顧客構造が分かりにくくなっている。データも分散化しているため、(従来型の百貨店のクレジットカードは)CRM用途には使いにくい」(光田氏)。そのためギンザシックスでは、従来型百貨店の轍(てつ)を踏まないよう、「(親会社である)J.フロントリテイリングからも、サービスとツールの整合性が取れた新たな顧客構造を設計するよう求められた」(光田氏)という。

実際、ギンザシックスのロイヤルティープログラムは、非常に明快な構造になっている。顧客のステージは年間購入額で3段階あるだけ。100万円未満の「ブロンズステージ」、100万円以上300万円未満の「プラチナステージ」、300万円以上の「ダイヤモンドステージ」である。ステージが上がると、駐車場を無料利用できる時間が延びるなどの優遇措置が受けられる。最上位のダイヤモンドステージでは、5階に設けられたラウンジを利用できる。

このように顧客の構造を明確にする一方、会員のすそ野を広げる。その中核を担うのがスマートフォン(スマホ)用の「アプリ」だ。来館者はアプリをダウンロードして会員登録するだけで、一定のサービスを受けられる。まずはポイントプログラム。アプリには一人ひとり異なるバーコードを表示する機能があり、商品購入時にアプリを提示するだけでポイントがたまる。

一方で、無料発行するポイントカードは用意していない。理由は想定している顧客層にある。「百貨店は一部の優良顧客に支えられている。一方、ギンザシックスは外国人観光客なども含めて、来店回数が年に数回の顧客をどれだけ作れるかが重要になる」(光田氏)。これだけさまざまなカードがあふれている時代に、年数回しか来館しない施設のポイントカードを常に財布に入れて携帯してもらうことは難しい。

アプリであれば、普段は使わなくても、物理的に財布を圧迫するようなことはないため、ポイントカードをアプリ化することが、ギンザシックスの顧客に広く利用してもらうには最適、と判断した。そしてアプリの登録情報に関連づける形で、どういった店で買物をしているかをデータとして蓄積する。この情報に基づき、それぞれの顧客の趣味嗜好に合わせて、パーソナライズした情報発信に活用していく。

アプリにはほかにも、便利にギンザシックスを利用するための機能が多数盛り込まれている。「レストラン予約」機能はギンザシックス内のレストランをアプリから予約できるもの。駐車場の空き情報もアプリに配信していく。アプリから、来店する前に混雑状況を把握できる。

こうした機能はあくまでギンザシックスの利用を想定した機能だが、ギンザシックスの外でも利用できる機能も用意した。それが「MAGAZINE」機能だ。グライダーアソシエイツ(東京都港区)が提供するキュレーションメディア「antenna」と連携し、antennaの記事がギンザシックスアプリでも読める。銀座に関する情報はもちろん、ファッションやライフスタイルに関するさまざまなコンテンツが配信される。こうした情報も充実させ、店舗外でもアプリを利用してもらうことでブランドとの接点の拡大を狙っている。

館内180カ所に「ビーコン」を設置

ギンザシックスでは"スマホ時代"にふさわしく、その施工段階からデジタル技術を活用したサービス展開や、情報発信を想定した設備投資をしている。「ビーコン」もその1つだ。ビーコンとはスマホの持つ近距離無線通信「Bluetooth」を利用し、近くにいるスマホと通信をしてサービスを提供したり、情報を発信したりできる小型の機器のこと。ギンザシックスには、このビーコンが180カ所に埋め込まれているという。

このビーコンを利用して、店舗へのナビゲーションサービスを開始。広い館内で目的の店舗にスムーズにたどり着けるよう、道案内をしている。

さまざまなアプリで使われるGPS(全地球測位システム)だが、ビル内では衛星からの電波が拾えないことが多い。だがビーコンを使うことで、来店者が、今、どのフロアのどの位置にいるのかを正確に表示できるようにした。アプリから目的の店舗を選ぶとその店舗までの最短ルートが表示されるため、迷うことなく目的地にたどり着ける。

ビーコンはテナントに対するマーケティングデータの提供にも活用する。来館者がどういった経路で店舗内を回遊しているのか。どういった場所に人が滞留するのか、といったことを人流のデータから分析できる。その結果を入居テナントに提供していくことを検討している。

サービス企画部の西岡和也氏は、「店外にいても楽しめるコンテンツの提供や、クーポンなどのお得な情報の発信、館内でのサポートサービスなど、館内外で人に寄り添うパートナーとして利用されるアプリを目指し、新たな機能やサービスも開発していく」と言う。将来的にはアプリを活用した決済サービスも検討している。利便性の高いアプリを提供することで、施設と消費者の関係性を築くことで、継続的な来館や売り上げ増加への貢献を目指す。

(日経デジタルマーケティング 中村勇介)

[日経デジタルマーケティング2017年6月号の記事を再構成]

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