家計

もうかる家計のつくり方

「断捨離」基準を家族で共有 1年半で貯蓄480万円超 家計再生コンサルタント 横山光昭

2017/5/31

PIXTA

 極力モノを持たずに生活する「ミニマリスト」と呼ばれる人や、「断捨離」の考え方に触発されたパート主婦のUさん(38)が相談に来ました。会社員の夫(36)と小学5年生の息子(11)との3人暮らし。世帯の手取り月収は37万円ほどありますが、毎月、使い切ってしまいます。年間の収支は黒字とはいえ、ボーナスが余った分のみという状況です。

■ミニマリストを知り、焦る

 それでも借金はなかったので、家計への問題意識は希薄でした。しかしミニマリストの存在や断捨離の考え方を知ったUさんは、ミニマリストらがシンプルに暮らしているだけでなく、節約して貯蓄もしていることに気づき、共感すると同時に焦り始めました。

 「『何かやらなくては』と気がはやるばかりで、何から手を付けてよいのかわからず、パニック状態」とUさんは自信なさげに訴えます。この状態ではどんな支出を減らせるかわかりません。家計の状況を聞きながら家計表を作っていくと、全体的に支出が多く、典型的な「メタボ家計」でした。ただ、Uさんは「数字を見ただけではどの支出を減らせばよいのかわからない」と話します。私の指示を待っているのです。

 強制的に支出を削減させても長続きはしないでしょう。どれだけ支出が多いかを自身で理解させるのが一番の近道だと判断し、私の経験に基づく一般的な支出額や理想の支出割合などと、Uさんの費目をひとつずつ比較しました。そして「ミニマリストの人たちや断捨離の考え方は、自分に必要のないものは捨てるということ。つまり、いらない支出も『捨てる』こと」と説くと、Uさんも家計の問題点に気づきはじめました。

■ふるさと納税も活用

 Uさんは「自分でできることから取り組む」というので、きちんと家族と相談しながら話を進めるよう約束しました。まず家計簿をつけてもらい、毎月の家計状況を報告しに来てもらいました。すると、報告のたびに家計はよくなっており、半年ほどたった後の面談ではかなりの改善が見られました。一方、格安スマートフォンへの切り替えや、ふるさと納税を利用した節約などもアドバイスしました。

 食費はとにかく「必要最低限」を目指し、3人で食べる食材以外は買わないことを徹底。夫の昼食は職場で出るので夫の昼食代はなし。お金にゆとりができた月は、ふるさと納税で米や肉、酒などをもらうようにし、その分、食費を削りました。節約の意識が浸透してくると、ファミリーレストランでの食事もそれまでの半分以下で済ませられるようになりました。酒も「ふるさと納税で届いた酒だけでいい」と思えるようになり、酒代がかからなくなりました。固定電話は解約。格安スマホを子どもの分を含め3台契約し、自宅にインターネット回線だけを開設したところ、通信費が半分以上減りました。

■月に14万円超の黒字へ

 支出が減ってくると、「他に『捨てられる』支出はないか」と考えるようになり、息子の塾や通信教育は「きちんとやらないからやめる」、生命保険は「傷病手当や遺族年金があるからかけすぎはやめる」、洋服も「こんなにいらない」、娯楽も「遊びにお金をかけることはない」と切り捨てました。こうして毎月の収支がトントンだった家計が、月に14万2000円もの余剰ができるまでに改善しました。

 夫の会社では夏冬それぞれ90万円以上のボーナスが支給されますが、これまでは無計画に年に数回の旅行に費やし、あまり残っていませんでした。それが今では予算を決めて旅行に行くようになり、ボーナスは半分以上、ときにはほとんど残るようになりました。

 家計の改善を始めてたった1年半強で貯蓄は480万円を突破。非常に速いスピードでお金をためています。

 あまりに多くの支出をあっさり切り捨てるので、楽しく暮らせているのか心配にもなりましたが、相談の際に約束した通り、きちんと家族で話し合って決めたことで、みんなが納得のうえで支出をカットしていったのです。家族の団結力が増し、心の絆も強くなったそうです。

■必要、欲しい、不要を共有

 「あるだけお金を使っても生活自体は破綻せず安定もしていたので、貯蓄がないことに疑問すら持たなかった」と振り返るUさんは、貯蓄を順調に増やす一番のコツを「自分や家族の中で、必要か不必要かという基準をしっかりと持つこと」だと話します。

 Uさんのような考え方は、貯蓄を増やす家計づくりには一番大切なものです。家族でストイックに、とはいえ自然に支出減に取り組んだので、貯蓄はどんどん増えました。それはこれからも変わらないでしょう。Uさんの姿勢を受け入れ、協力した家族もすばらしい。家族みんなを巻き込んで、目標を共有して取り組んだ結果です。支出を減らし、貯蓄するには「必要」「欲しい」に加え、「不要」という判断基準を家族で共有するということが大切だということを改めて実感した事例でした。

(「もうかる家計のつくり方」は隔週水曜更新です)

横山光昭
 マイエフピー代表取締役、家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。お金の使い方そのものを改善する独自のプログラムで、これまで1万人以上の赤字家計を再生。書籍・雑誌の執筆や講演も多く手掛け、「はじめての人のための3000円投資生活」(アスコム)は47万部を超え、著書累計は218万部。

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