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NIKKEI STYLE キャリア
リーダーのマネジメント論

2017/5/30

リーダーのマネジメント論

「2つ目は、すべての意思決定に対して説明責任は果たせるかどうか。従業員、株主も含めたステークホルダーに対して、自分たちがなぜこの意思決定をしたのか、今何をしているのか、説明できる能力が従来以上に求められています」

後継者、平時なら内部人材に可能性

――外部の人材を後継者候補として考えていますか。

「次期社長はいつか、タイミングをどう見るかですが、今話した『アステラス製薬が持つべきDNA』とは別に、そのときの経営環境で求められるものが変わるケースがあります。万一、そのとき経営的に苦しくなれば、そちらのマネジメントができる人がステークホルダーから要請されるでしょう。(後継者は)内部も外部も可能性はあります。ただし、私は一定程度今のプランがうまくいく間は、内部人材を選ぶほうが次も成功する確率が高い、という考え方を持っています」

――今、候補者は複数いますか。それともしぼられてきましたか。

「複数います。社長後継者だけではなく、役員や部門の長など、セカンド、サードレイヤーの後継者まですべて持っています。あるポジションについた人間は、業務の責任を果たすと同時に、次の人間を育てることも責任だと明確に伝えています」

業界再編 規模の強さは否定しないが

――日本の製薬大手で売り上げ規模が世界のベストテンに入る会社は一社もない。米欧の製薬大手は再編を繰り返し、巨大化してきましたが、国内にも「メガ・ファーマ」が欲しいという声があります。現在、アステラスは世界で20位以内ですが、今後の戦略をどう考えていますか。

「規模の持つ強さは、全否定するものではありません。様々な提携や買収案件でレースに参加したとき、投資できる金額が規模の大きさで変わりますから。合併前、両社が持っていた投資のレベル感と、アステラスになってからのレベル感を比較すると、合併後にその金額は一挙に大きくなりました。私たちも、過去に何度も『欲しかったけれど負けた、こんな提案はできない』という経験があります」

「一方、資源が大きくなったからといってイノベーションの効果が生まれるわけではない、というジレンマがあります。今度は持続性がなくなってしまう。日本の市場が厳しくなるなか、一番大きなインフラを持つ日本でどうマネジメントできるか、その覚悟とプランがなければ、そこから次の新たな展開が見えにくい。今のところ、私はその説明のストーリーがない。機会があれば柔軟に門戸を開いていこうと考えていますが、今のところ、アステラスのサイズとして大きな支障はないと考えています。自分たちのやりたい領域、投資したい領域で必要な投資ができているし、その領域では一定以上の競争力を発揮できていると思います」

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畑中好彦
 1957年静岡県生まれ。一橋大経済学部卒業後、藤沢薬品工業(現アステラス製薬)に入社。2011年から現職。60歳。

(松本千恵 代慶達也)

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