海外新卒を獲得 年収1000万円超のグーグルと競うワークスアプリケーションズの牧野CEO

インドでも中国でも、日系企業のブランド力は非常に高いと感じます。製品も会社もすばらしいと考える人が多いです。ただ「新卒で入るにはよくない」と思われているのです。

ベンチャーの企業風土が魅力に

当社が海外で優秀な人材を採用できる理由は2つあります。企業風土と人事制度です。規模はそれなりに大きくなったけれど、当社には、まだ「ベンチャー」の要素があり、次から次へとイノベーションを起こすことを重視しています。「自分で考えろ」という文化です。社外の人には「外国人が多いけれど、外資系企業の日本法人のようではなく、シリコンバレーのベンチャーに似ている」といわれます。もともとそれを模して作った会社なのです。

日系企業では「この人は能力をあるから、すぐ引き上げよう」という人材育成がなかなか難しい。組織の序列を崩すと、追い抜かされた人のモチベーションも下がってしまうでしょう。当社の場合は、順番待ちのようなことは抜きにして、高い報酬を提示します。実績を出せば、報酬もポジションもあがります。これが好まれたのでしょう。

海外では当社も「ファイア(解雇する)」があります。ただ、日本で「ファイア」の仕組みはうまくいきません。失敗への恐怖が先に立ち、イノベーションが生まれにくくなるからです。その意味では、当社は海外の人事制度に日本の風土をかぶせている、というのが正しいかもしれません。

海外での採用は、最初からうまくいったわけではありません。入社した人がやめないで残り、実績になったのが次の学生へのアピールになりました。「こんなに優秀な人たちがいいというなら、自分もいこう」という流れです。ただし、彼らが一生うちで勤めることはまずないでしょう。仕方ないですよね。高度経済成長の国では、自分で事業をするチャンスはいくらでもあるのだから。ただし、入社してから1年の離職率が海外では平均3割程度のなかで、当社は15%程度におさまっています。

牧野正幸
建設会社などを経て1996年にワークスアプリケーションズを設立。2017年2月まで、中央教育審議会委員も務めた。兵庫県出身。54歳。

(松本千恵)

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