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伊勢志摩サミット1年、観光効果は「賢島の一人勝ち」

2017/5/26

真珠の取り出し体験をするタイの観光客(三重県志摩市のパール美樹)

 三重県志摩市で昨年5月に開かれた主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)から5月26日で丸1年。サミット会場となった賢島はいまも多くの観光客でにぎわい、各国首脳やその配偶者たちをもてなした三重の名産の数々は売り上げを伸ばしている。しかし、一過性の需要にとどまるケースもあり、サミット効果は地域や施設によって濃淡が大きい。「波及効果は、まだら模様」(三重県の鈴木英敬知事)というのが現状だ。県は「ポストサミット」の経済効果を2020年までに約1489億円ともくろむが、サミットで得た遺産を生かしながら伊勢志摩の魅力を国内外に発信し、その取り組みを持続させていくことが目標達成のカギを握っている。

 取り組みの一環として26日にオープンするのが、近鉄賢島駅の駅舎2階に設けた伊勢志摩サミット記念館「サミエール」だ。「伊勢志摩サミットの記録と記憶を県内外に発信する拠点にしたい」と鈴木知事は意気込む。

■三重の地酒提供するカフェ併設

毎朝、宿泊者を対象にサミットの足跡をたどる館内ツアーがある(志摩観光ホテル)

 記念館には、サミットで使われた尾鷲ヒノキの円卓や首脳らの記名帳、贈答品の実物など約40点が展示されるほか、サミットに関する体験型のクイズ電子パネルも設置された。記念館の整備費約1億円は、官民でつくる「伊勢志摩サミット三重県民会議」への寄付金で賄い、運営は志摩市が担う。初年度の入館目標は約2万2000人。国内で次のサミットが開かれるまで設置する計画だ。記念館の同じフロアには近鉄リテーリング(大阪市)がサミットで振る舞われた三重の地酒などを提供するカフェも併設した。

 サミットの主会場となった志摩観光ホテルでも、サミットの記憶をとどめようと3月、旧本館「ザ クラブ」の一角を使って記念ギャラリーを開設した。乾杯に用いられた四日市万古焼の杯や、首脳たちの胸元を飾った三重県産真珠のラペルピンなどの記念品が展示され、夕食会やワーキングランチのメニューをパネルで紹介している。さらに同ホテルでは毎朝、サミットの足跡を巡る館内ツアーが開かれ、宿泊客の人気を集めている。

 同ホテルにサミットがもたらした効果は数字に如実に表れている。米国のオバマ前大統領が宿泊した旧館「ザ クラシック」の昨年7~4月の客室稼働率は、改装前の一昨年比で36ポイント上昇したという。オランド前仏大統領をはじめ各国首脳が宿泊した新館「ザ ベイスイート」では同26ポイント上昇した。英虞湾を背景に首脳らが記念撮影したベイスイートの屋上庭園には当時の撮影台が置かれ、いまも同じアングルでカメラを構える客が絶えない。

観光客でにぎわう賢島エスパーニャクルーズ(三重県志摩市)

 賢島の観光も好調だ。大航海時代のスペイン船をイメージした遊覧船で英虞湾を巡る「賢島エスパーニャクルーズ」は、昨年7~4月の利用者が前年比で45%アップ。このゴールデンウイークも大型バスの団体客でにぎわった。

 賢島港の前で土産物店を営む岡野洋美さんは「サミットのおかげで賢島の知名度が上がって全国からお客さんが来てくれる。サミットがなかったら、今ごろはどん底に落ち込んで、はい上がれなかったんと違うかな」と振り返る。とりわけ関東方面からの客が増え、1年を通じてみると売り上げは2~3割増えたという。賢島駅前の真珠販売店も売り上げはサミット前に比べて1.5倍になった。

 好調なのは首脳たちが訪れた伊勢神宮(伊勢市)も同様だ。昨年の参拝者は約874万人と前年比で4%増え、このうち外国人は約11万人と同12%伸びた。三重県を昨年訪れた延べ宿泊者数も、式年遷宮の影響で過去最高を記録した2013年を超え、1002万人と初の1000万人を突破。沖縄県に次ぐ全国2位の伸び率を示した。

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