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お酒で顔が赤くなる人「骨粗しょう症・骨折」に注意

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

日本人の約半数はお酒に弱く、飲酒により顔が赤くなる体質だといわれています。慶應義塾大学医学部整形外科学教室の研究者らは、お酒を飲むと顔が赤くなる人では、飲酒とは無関係に、骨粗しょう症とこれによる大腿骨近位部骨折(大腿骨の付け根付近の骨折)のリスクが高いことを明らかにしました。

脚の付け根を骨折しやすい体質は遺伝する?

骨の内部がスカスカになって骨折しやすくなる骨粗しょう症の患者に発生する、最も深刻な骨折が大腿骨近位部骨折です。この部分を骨折すると、ほとんどの場合手術を受けることになり、長期間にわたって歩行が困難になります。このため、特に高齢者では治療期間中に急激に足腰が弱り、骨折が治っても寝たきりや要介護状態になってしまうケースがたくさん見られます。

以前から、家族の中に大腿骨近位部骨折を経験した人がいる場合には、自身もこの骨折を起こしやすいことが知られており、遺伝子が関係するのではないかと推定されていました。そこで著者らは、大腿骨近位部骨折のリスクに、アルコールを代謝する酵素の一つである2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の遺伝子の変異が関係するのではないかと考えました。

ALDH2は、アルコールが体内で分解される過程でできる有害物質であるアセトアルデヒドを酢酸に変える酵素です。このALDH2を構成するアミノ酸の1つが、「rs671」と呼ばれる特定の変異によって別のアミノ酸に入れ替わると、アセトアルデヒドの代謝が遅くなる、または進まなくなり、「お酒に弱い人、または全く飲めない人」になることが分かっています。こうした体質の人は、飲酒すれば顔が赤くなることが知られています。

この変異を持つALDH2はALDH2*2と呼ばれます。ALDH2*2の保有率は人種により異なり、日本を含む東アジアで最も高いことが明らかになっています。

ALDH2*2を持つモデルマウスでは、アルコールを与えなくても、血清中のアセトアルデヒド濃度が正常マウスより高いことが示されており、この酵素は、アルコールの代謝以外にも、日常的に何らかの機能を果たしていると考えられています。また、慶應義塾大学の研究者らは先に、このモデルマウスの骨量が正常マウスに比べ低いことを明らかにしていました。

そこで今回は、骨粗しょう症リスクの高まる閉経後の女性を対象に、ALDH2*2の保有と、大腿骨近位部骨折および骨粗しょう症の関係を調べました。(1)大腿骨近位部骨折と診断された女性、または、(2)骨密度の測定結果に基づいて骨粗しょう症と診断された女性のうち、一定の条件を満たした248人を骨粗しょう症群としました。うち92人は大腿骨近位部骨折、156人は骨粗しょう症と診断されていました。一方、骨折と骨密度の低下が見られなかった48人を正常群としました。

骨折・骨粗しょう症の人はALDH2*2の保有率が2倍以上

骨粗しょう症群のうち、骨折があった92人中53人(57.6%)がALDH2*2を保有していました。正常群では48人中17人(35.4%)でした。骨折のある人がALDH2*2を保有している可能性が正常群に比べてどれだけ高いか(オッズ)を計算すると、2.48倍で、対象者の年齢とBMIを考慮しても、2.33倍になりました。

骨粗しょう症群全体では、ALDH2*2保有者は248人中131人(52.8%)で、オッズは正常群の2.04倍、年齢とBMIを考慮しても2.11倍でした。

次に、対象となった女性の一人ひとりに、飲酒すると顔が赤くなるかどうかを尋ねて、答えが「はい」だった人がALDH2*2を持つ可能性を検討しました。その結果、「はい」という回答を利用すれば、感度[注1]80.0%、特異度[注2]92.3%という高い精度でALDH2*2の保有を予測できることが明らかになりました。したがって、遺伝子検査をしなくても、飲酒すると顔が赤くなるかどうかが分かれば、骨折しやすいかどうかが高精度に推定できると考えられます。

ビタミンEをとれば骨折リスクを減らせる?

さらに研究者らは、なぜアセトアルデヒドの代謝が進まないと骨折リスクが高まるのかを知るために、マウスの細胞を使った実験を行いました。

骨粗しょう症は、骨を作る骨芽細胞の働きより、骨を吸収する破骨細胞の働きが強くなると生じます。そこで、将来骨芽細胞になる細胞と、破骨細胞になる細胞の培養液にアセトアルデヒドを加えたところ、どちらの細胞も正常に機能しなくなりました。抗酸化作用を持つビタミンE (水溶性ビタミンE誘導体)をアセトアルデヒドとともに加えたところ、骨芽細胞になる細胞の機能のみ正常に戻りました。

今回得られた結果は、以下のことを示しています。

・ALDH2*2を保有する人は、飲酒とは無関係に大腿骨近位部骨折および骨粗しょう症を起こしやすい

・ALDH2*2を保有するかどうかは、飲酒によって顔が赤くなるかどうかを指標に予測できる

さらに、ALDH2*2を保有する人の骨折リスクはビタミンEの摂取により低下する可能性も示唆されましたが、マウスの細胞を使った実験結果であるため、さらに研究を進める必要があると著者らは述べています。

論文は、2017年3月27日付のScientific Reports誌電子版に掲載されています[注3]

[注1]感度:陽性のものを正しく陽性と判定する確率。感度が高いと、見落とし(偽陰性)が少ない。
[注2]特異度:陰性のものを正しく陰性と判定する確率。特異度が高いと、過剰診断(偽陽性)が少ない。
[注3]Takeshima K, et al. Sci Rep. 2017 Mar 27;7(1):428. doi: 10.1038/s41598-017-00503-2.
大西淳子
 医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

[日経Gooday 2017年5月10日付記事を再構成]

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