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酒飲み・脂肪肝の人 「ウコンのとり過ぎ」に注意

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日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

ウコンといえば、左党の大切なパートナー。私もそうだが、飲み会前にウコンのサプリを飲んでいる人は多いだろう。だが、このウコン、肝機能に問題がある人は控えたほうがいいという話がある。脂肪肝の人などは悪影響が出る可能性があるという。これは本当だろうか。酒ジャーナリストの葉石かおりが、その真偽を専門家に直撃した。

◇  ◇  ◇

飲み会の前はウコン入りのサプリやドリンク剤を飲む――。

多くの左党にとっては「常識」、いわば「飲み会前の儀式」のひとつと言ってもいいだろう。私自身もウコン入りのドリンク剤を飲んでから酒を飲むのと、飲まずに酒を飲んだときでは酔いのまわり方が違うと感じるし、事前に飲んだ後の翌朝は、いつもよりスッキリしているように思う。「ああ、やっぱりウコンのおかげだな」と改めてウコンのすごさに感心したりする。

ところが、今年初めに、そんな悪酔いレスキューの助っ人・ウコンに効果がないという情報がネットをかけめぐった。単に噂レベルではなく、ネタ元が「Journal of Medicinal Chemistry」というアメリカの権威ある雑誌で発表された論文なだけに、ちょっとした騒動にもなったのだろう。こちらの論文はウコンに含まれるクルクミンという成分の効果について検証したもので、論文の中身は薬効を否定しているわけではない[注1]。ネットのニュースはその後、記事に補足がなされ、騒動は沈静化した。

[注1]The Essential Medicinal Chemistry of Curcumin. J.Med.Chem. 2017;60:1620-1637.

さて、話題になったこのウコン、実は、肝機能に問題がある人は控えたほうがいいという話を聞いた。脂肪肝の人などは悪影響が出る可能性があるという。日本人の成人の3人に1人は脂肪肝といわれているのだから、決して他人事ではない。

ウコンといえば、冒頭で触れたように、多くの左党が頼りにする存在なのに控えたほうがいいとは……。ここは真偽を確かめなければなるまい。自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科准教授で、肝臓障害に詳しい浅部伸一さんにウコンの肝臓への影響について話をうかがった。

ウコンによる肝障害が数多く報告されている

肝機能に異常がある人が「ウコン」を摂取することには問題があるとはどういうことか、浅部さんに直撃してみた。

浅部さんは、「肝機能に異常がある人にウコンを勧めない理由は大きく2つあります。1つは、ウコンによる肝障害が報告されているからです。数ある健康食品や民間薬の中でもウコンについての報告が多いのです」と説明してくれた。

「日本肝臓学会が10年ほど前に、民間薬や健康食品など"病院でもらった薬ではない"ものによる薬物性肝障害の調査を実施しました。薬物性肝障害とは、文字通りクスリなどを摂取したことにより肝臓がダメージを受けることです。この調査の結果では、多種多様な原因があったのですが、原因の中で一番多かったのがウコンだったのです。ウコンによる薬物性肝障害は全体の24.8%と断トツで高い結果となりました[注2]。これを受けて、肝臓専門医の間で、ウコンに気をつけたほうがいいという認識が定着したのです」(浅部さん)

[注2]民間薬および健康食品による薬物性肝障害の調査、恩地森一ら 肝臓 2005;46(3):142-148.

「この調査では、死亡例も3件報告されています。そのうちの1つが、ウコンによる急性肝炎から多臓器不全になり死亡した例です」(浅部さん)

なお、この日本肝臓学会の調査によると、薬物性肝障害を発症した人の中で、民間薬や健康食品を定期的に使用していた人は91%で、そのほとんどが毎日使用していたという。また、発症するまでの使用期間は平均で約160日となったが、30日以内というケースも23.6%あった。

原因不明の肝障害、その原因はウコンかも

また、2013年に発表された「健康食品・サプリメントによる健康被害の現状と患者背景の特徴」(Jpn. J. Drug Inform. 2013;14(4):134-143.)でも、健康食品などに含まれる個々の成分での健康被害報告の中で、ウコンの報告数は3位にランクインしている。

「肝機能を高める」と信じて飲んだはずのウコンが薬物性肝障害の原因の一つに!? こ、これは左党としては聞き捨てならない。

実際、浅部さんは、このデータを実証するような患者に接したことがあるという。

「私が勤務する自治医科大学附属さいたま医療センターは、他の病院で原因を特定できなかった患者さんが訪れることが多くあります。肝機能障害を起こし、γ-GTPなどの肝機能値に大きな異常がある患者は、薬物性肝障害である可能性を常に頭に入れて診察します。実際、原因不明の肝障害の方を診察する際、私は患者に必ず3つのことを聞きます。それは『どんな処方薬を飲んでいるか』『サプリ、漢方薬を飲んでいるか』、そして『ウコンを飲んでいるか』です」(浅部さん)

先日も、外来で来た50代の男性で、ウコンが原因で肝障害を起こし、摂取を中断したところ数値が改善したケースがあったそうだ。

「この男性は入院することになるほど、肝機能の数値が悪化していました。この方は、ウコンの成分が入ったサプリを飲むという方法ではなく、ウコンの根の部分そのものを通販で購入して、自分で煮出して抽出して飲むという"ハード"な摂取方法をされていました。ヒアリングでウコンを大量に摂取していたことがわかったため、摂取を中断していただきました。その後、数値が改善したため退院されました」(浅部さん)

では、誰もがこうしたウコンによる薬物性肝障害を危惧しなくてはいけないのだろうか?

「薬物性肝障害は、肝臓に何らかの問題がある人に起こりやすいことがわかっています。ですから、注意が必要なのは、脂肪肝など肝機能に問題がある人、アルコールを常飲する習慣がある人などです。私はそうした方にはウコンは勧めていません」(浅部さん)

ウコンに含まれる「鉄」が肝臓に悪い?

また、脂肪肝などの人にウコンを勧めないもう一つの理由が、ウコンに含まれる「鉄」にあると浅部さんは話す。

「ウコンのサプリには比較的多量の鉄を含むものがあります。しかし、鉄の含有量が記載されていないものがあるのです。鉄は一部の肝臓の悪い方に悪影響を及ぼすことがわかっています。その代表が、C型肝炎や脂肪肝です。貧血予防に効果があることで知られる鉄ですが、摂取過多で肝臓に蓄積すると、フリーラジカル(活性酸素)を発生させ、肝細胞を傷つけ、炎症を悪化させます。線維化[注3]が進んで肝臓が硬くなるなどして、肝硬変や肝がんになる可能性も高まります。私のこれまでの治療経験では、脂肪肝の人の血液を調べると、ほとんどの人が鉄が過剰でした。このため、脂肪肝の人はウコンは制限したほうがいい。同じく鉄を含むシジミなども同様です」(浅部さん)

[注3]慢性的な炎症が起こることで肝細胞が死滅・減少し、線維組織が増殖していくこと。肝臓全体が線維化すると肝硬変などになる。

「鉄分は多く摂取したほうがいいと思っている方が多いと思いますが、それは女性の話です。月経のある女性は鉄分を補給する必要がありますが、男性は鉄不足なることはまずありません。中でも日常的にアルコールを常飲する習慣のある方や脂肪肝の方は鉄過剰の傾向があるので注意が必要です」(浅部さん)

「肝機能を高めるから」と信じ、積極的にウコンやシジミなどを摂取している人は少なくないはずだ。「肝臓にいい」「鉄分が豊富だから」とレバーを食べるようにしている人もいるだろう。そんな人にとって、この事実はかなりショックに違いない。もちろんご多分に漏れず、筆者も大打撃を受けている……。

過度な心配は不要だが、肝障害がある人は避けたほうがいい

となると、結局のところウコンは飲まないほうがいいってことなのか、そこが知りたいところだ。

「肝機能障害がない健康な人が、コンビニで買えるドリンク剤をたまに飲む程度であれば、過度に心配する必要はありません。実際、飲酒30分前にウコンに含まれるクルクミンという成分を飲んだ人は、アセトアルデヒドの血中濃度の上昇が抑えられたという報告もあります[注4]。葉石さんのように『効く』という実感を持つ人が多くいるのは確かです」(浅部さん)

[注4]Biol Pharm Bull. 2011;34(5):660-5.

「ウコンによる薬物性肝障害の報告例が多いのは、ウコンがことさら危ないからではなく、ウコンを飲んでいる人が多いからだと推測されます。ただし、先に挙げたように、ウコンを煮出したり、ウコンを精製した粉を飲むなど、濃度が高いものを長期間、大量に飲むのは注意が必要です。健康食品などは、1回飲んだだけで問題が起こるというケースは少なく、継続的に飲み続けて肝臓を壊すケースがほとんどです。そして、肝臓に問題のある人、例えば脂肪肝の人などは避けてください」

「ウコンに限ったことではなく、どの健康食品についても言えることですが、副作用が全くないものはまずありません。健康に不安のある方こそ、医師に相談してから飲み、飲み続ける場合は定期的な検査をされることをお勧めします」(浅部さん)

◇  ◇  ◇

たとえ健康食品であっても、自己判断で摂取するのは危険ということか。今はネットで一部ながら医薬品までもが購入でき、サプリメントはコンビニでも買える時代。それ故に自己判断で「効く」と思ったものに安易に手を出してしまいがちだが、そこには常に危険が伴うことを忘れてはならない。左党にとっては身近な存在のウコン。今一度、いい付き合い方を考えてみよう。

浅部伸一さん
 自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科准教授。1990年、東京大学医学部卒業後、東京大学附属病院、虎の門病院消化器科等に勤務。国立がんセンター研究所で主に肝炎ウイルス研究に従事し、自治医科大学勤務を経て、アメリカ・サンディエゴのスクリプス研究所に肝炎免疫研究のため留学。帰国後、2010年より自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科に勤務する。専門は肝臓病学、ウイルス学。

[日経Gooday 2017年5月2日付記事を再構成]

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