ひげを目立たなくするギア 男性向け美容家電のスゴ技
美容に関心がある男性が増えている。髪形や肌、ムダ毛に使う男性が増えるのに伴い、男性向け美容市場も拡大。さまざまな家電も登場している。そこで今回は、自宅で手軽にケアができる男性向け美容家電を取り上げてみた。
男性が美容に気を使うのも身だしなみ
男性用化粧品が市場を広げている。経済産業省生産動態統計年報によると、2006年の男性皮膚用化粧品出荷額は150億6100万円だったのに対し、15年は216億3000円と、およそ10年で約1.5倍に増加。東京・銀座にオープンした「GINZA SIX」に誕生した大手化粧品メーカー・資生堂が展開する「SHISEIDO」のブランド直営店でも男性用化粧品を扱う専用コーナーが設けられるなど、男性美容に対する需要が高まっている。特にビジネスパーソンの間では、「美容も身だしなみの一つ」という考えが浸透しつつあるようだ。
理美容家電を多く扱う小泉成器が、メンズビューティー家電を発売したのは07年。男性向け製品を展開しているメーカーはほとんどなかったが、「当時行った男性の美容に関するアンケートでは、男性の7割が身だしなみを気にしており、20代男性の4割が髪形や顔のおしゃれにこだわっているとの回答が得られた」(商品事業部広報・販促企画課 小出雄平氏)。この結果から、男性の美容に対する意識の高まりを実感し、男性が使いやすいデザインと機能を持つ男性向け製品の開発を本格化させたという。現在、KOIZUMIブランドとしてメンズビューティー家電を7製品展開している。
美容家電メーカー、ヤーマンは今年1月に、ひげを目立たなくする美容家電「メンズ・レイボーテ」の予約受け付けを開始したところ、予想を大幅に上回る予約が入った。同社プロモーション企画の町居千都氏によると「ここ数年で予約がもっとも多かった製品の数十倍の予約が入り、販売目標自体も大幅にプラス修正することになった」。3月の発売後の売り上げも順調。特に20~30代の男性の関心の高さを実感しているという。「脱毛サロンは敷居が高い、忙しくて通う時間がないという男性から支持されているのでは」と分析する。
当たり前になりつつある男性美容。しかし「何から始めたらいいかわからない」という男性もまだ多いだろう。そこで今回は、手軽に使い始められる男性向け美容家電を分野別に4製品紹介する。
眉毛をケアして印象をすっきり/フェイス&マユシェーバー
手軽に顔をスッキリした雰囲気にしたい人におすすめなのが、眉の手入れだ。眉の形を変えると顔のイメージが変わるのは知られた話だが、例えば眉まわりのムダ毛をそるだけでも、目元を明るく見せることができる。また髪の毛やヒゲ同様、眉毛もボサボサしているより、長さや形が整っていたほうが清潔感を感じさせる。そんな眉ケアに使いやすいのが、小泉成器のメンズビューティーシリーズ「フェイス&マユシェーバー KMC-0650/K」だ。
眉の長さを整えるときは、眉用シェーバーの上から「マユコーム」を取り付け、眉に垂直に当てながらゆっくり移動させるだけ。コームがそりすぎを防止するため、失敗も少ない。マユコームは、5ミリと8ミリの2種類が付属しているので、まずは8ミリから試してみるといいだろう。眉の輪郭を整えたいときはマユコームを外し、眉の輪郭からはみ出ている部分に刃を当ててゆっくり動かすだけ。鼻の周りやもみあげの周りなど、ヒゲ用シェーバーでは整えにくい部位のうぶ毛には、顔そり用のフェイスシェーバーが便利だ。
海外出張でも使える/ストレートアイロンKMC-0610/K
眉の手入れの次は髪の毛を整える家電を。寝癖を直したり、毛先に動きを出したり、ヘアスタイルを決めたいときに活躍するのが、同じく小泉成器の「ストレートアイロン KMC-0610/K」だ。プレート温度は最高160度に達し、短時間で髪をセットできるという特徴がある。寝癖やうねりが気になる場合は、プレートで毛束を挟んで毛先に向かって滑らせるだけ。一方、毛束を挟んで手首を回せば、外はねやボリュームアップが楽しめるので、仕事とプライベートで使い分けられる。
一般的な女性用に比べ、幅160×奥行き26×高さ59ミリ、質量170グラムと軽量かつコンパクトなので、髪が短い男性や、ヘアアイロンは初めてという人も扱いやすい。電源は「AC100- 240V」を採用しているので、海外旅行にも持っていくことができる。
汚れ落ちは手洗顔の10倍/メンズビザピュア
次に紹介するのは洗顔のための家電だ。「男性美容に興味はあるが続けるのは面倒」という人は、毎日の洗顔を手洗顔から電動洗顔ブラシに変えてみてはどうだろう。フィリップスの「メンズ ビザピュア MS5075」は、ブラシが自動で回転しながら振動を加える独自の動きで汚れを落とす電動洗顔ブラシ。14年にフィリップスが行った実験によると、洗顔料を使用して手洗顔でファンデーションを落とした場合と比較して、メイク汚れが最大10倍落ちるという結果が出たという。この洗浄力は、外回りなどで皮脂やホコリなどの汚れが毛穴にたまりがちな男性にも功を奏する。
ブラシには、毛穴の大きさに近い50~75ミクロンの繊細な毛を植毛。音波振動で皮脂汚れや古い角質を浮き立たせ小鼻の黒ずみや生え際の汚れもしっかり落としてくれる。毛穴にたまった汚れを落とすことで、洗顔後のスキンケア成分の浸透が高まるなどの効果が得られるという。
メンズビザピュアは、女性用のビザピュアに比べて長さが短く、電動シェーバー感覚で使えるデザインになっている。ブラシで洗顔フォームを泡立ててくれるので、シェービング前に使うのもいいだろう。
ひげが目立たなくなる/メンズ・レイボーテ
最後に紹介するのはひげのケア家電。朝、ひげをそったのに、夕方にはうっすらと目立ち始めると悩んでいる人も多いだろう。ヤーマンの「メンズ・レイボーテ」は、そんなヒゲを目立たなくするという男性向け光美容家電だ。
光美容とは、光(フラッシュ)を使ったムダ毛ケア方法の一つ。特殊な光を肌に照射すると、肌より色の濃い毛に光が吸収され、毛にダメージを与えることができる。この照射を定期的に行うことで、徐々に毛が生えるペースを遅らせる仕組みだ。なお脱毛ではないため、永久に毛が生えなくなるというものとは異なる。
光美容は女性のムダ毛ケア法としては一般的で、多くの脱毛サロンでも採用している技術の一種。家庭用としても、ヤーマンをはじめ、パナソニック、フィリップス、ブラウンなど、理美容家電を扱う各メーカーが製品化している。ヤーマンでは、女性用の「レイボーテ」シリーズを以前から販売していたが、これを男性のひげにも使いやすいよう改良したのがメンズ・レイボーテだ。
ヤーマンの町居氏によると「以前から女性用レイボーテはひげに使えるのか、という男性からの問い合わせは多かった」という。しかし周囲の肌より色の濃い毛に反応するフラッシュは、太くて濃いひげに使用すると痛みを感じやすい。そこでひげの状態に合わせてフラッシュの出力をレベル1~5で選べるようにした。さらに一度に強いフラッシュを当てるのではなく、出力の弱いフラッシュを高速連射することで痛みを感じにくくするという「敏感肌モード」も搭載する。
(家電ライター 田中真紀子)
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