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トーゴ料理、ビール進む味付け アフリカで「餅つき」

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NIKKEI STYLE

「アフリカ料理って、スパイシーとか辛いとかいうイメージがあるでしょう? でも、トーゴ料理って意外や日本人に馴染みのいい料理なんです」。開口一番、そう太鼓判を押したのはカマロ由加里さん。西アフリカの小国トーゴ料理の店「エコ ロロニョン」を、トーゴ人シェフのご主人と共に営む。「素材の味を生かした煮込みなどがあって、日本で刻んだ青ネギを載せるみたいな感覚で、料理には、よく赤タマネギのスライスをトッピングするんですよ」。

トーゴは、北海道の7割程度の面積で、かつてドイツやフランスの統治下にあり食文化が発達していると聞いた。日本には、アフリカ料理をうたう店はあっても、アフリカの特定の国の料理を看板とした店は珍しい。あるイベントに出ていたことで同店を知り、東京・赤坂の店に出向いたというわけだ。

海に面したトーゴは魚料理も豊富。メニューには、カニや海老を使った煮込み料理などがあり目を引かれた。現地でもポピュラーな食材らしい。しかし、どれも初めて見る料理名ばかりで想像が追い付かない。

カマロさんにトーゴ料理の特徴を聞くと、「これは、"アジデシ"を使った料理で、これは"グシデシ"で……」と呪文のような言葉が飛び出した。実は"デシ"というのはソースのことで、トーゴにはポピュラーなソースがいくつかあり、それと食材を合わせ料理に仕立てるのだ。

アジデシは、ピーナッツを使ったソース、グシデシはグシというウリ科の植物の種を使ったソース。ナッツのような風味があるという。「どんな植物なんですか」と聞くと、トーゴ人スタッフ曰く「種が取れる実はメロンにそっくり。でも、果肉は食べられない"ゴミ"。種しか食べないんだ」。

人気のソースには、現地でポピュラーな食材であるオクラやモロヘイヤを使ったものもあるという。「一つのソースで食べるだけじゃなくて、例えばオクラとナッツのソースを合わせたりもするんです」とカマロさん。

彼女自身が現地で食べて特に好きだった料理を聞くと、「グシデシがとてもおいしくて。肉の串焼きにかけて食べたりするのがポピュラーですね。トーゴは暑いので、夕方屋外でビールを飲みながらつまみに串焼きを食べるというのがよく見かける風景。男性だけじゃなく女性もお酒を飲みます」。

トーゴには国産ビールもある。気候から日本のビールよりさっぱりフルーティーな味わいだという。お店で扱っているトーゴビールのひとつを味見させてもらうと、淡い黄金色ですっきりと飲める。夏の盛りにぐっと一杯やりたいタイプの味だ。

「ビールだけじゃなく、『ソダビ』というヤシ酒もポピュラーですね。実ではなく樹液を発酵させて作ったものです。普通の家で作っていて大きなペットボトルに入れ道端で売っているんです。いい香りがして少し甘い無色透明のお酒なんですが、口当たりがいいのに結構アルコール度数が高くて"危険"なんですよ」。瓶詰され製品化されたようなソダビはないため、日本では飲めないらしく残念。

各種ソースを使った料理は、それぞれに合う主食と一緒に食べるという。コメも食べるが、プランテーン(料理用バナナ)、ヤムイモ、キャッサバ(イモの一種)、トウモロコシを使ったものなど、主食のバリエーションは豊富だ。合わせ方は好き好きだが、「この料理にはこれ」という大まかな相性があるようだった。

事前にネットで見た主食で気になっていたものがあった。「フフ」だ。

ヤムイモから作る食べ物で、真っ白真ん丸の大きな蒸しパンのように見えたが「これはお餅みたいに、ヤムイモを杵でついて作るんですよ」とカマロさん。

スマートフォンの動画で見せてくれた現地のフフ作りの様子は、まさに餅つきと同じ。4人の男女が杵を持ち、日本のものより小ぶりの臼に入れたヤムイモをついていた。

店を見まわすと、壁に飾られた布にもこの"フフつき"の様子が染め上げられている。トーゴの食を代表する風景のひとつなのだろう。

「フフに合う」と薦められた料理と一緒に出てきたものを食べてみると、フフ自体も軟らかなお餅のよう。しょうゆと海苔で食べてもいけそうだ。フフにカマロさんが合わせたのが、グシデシを使った鶏肉の煮込み。

オクラやナスが入っていて、ソースはクリーミーで香ばしい。グシはウリ科の植物だと聞いて、もっとあっさりとした味を想像していたので意外だった。ソースはコクがあるので、なるほど淡白なフフと相性がいい。

先のイベントではアジデシというピーナッツソースを使った鶏肉の煮込みをクスクスにかけた料理を食べたのだが、ピーナッツの深いコクとは異なるゴマソースのような味わい。料理にはトーゴ人スタッフがトウガラシのペーストを添えてくれた。好みで辛さを調節しながら食べてくださいというわけ。真っ赤なペーストとソースを合わせると、スパイシーさを楽しめる。

店にはトーゴ大使館の人が来店した際に必ずオーダーするという料理もあった。「ボマニャニャ」だ。

これは、揚げた魚を、海老、カニ、青菜と一緒にグシデシで煮込んだもの。海老、カニを使っているためだろう。同じグシデシ料理でも鶏肉の煮込みより鮮やかなオレンジ色のソースには、魚介類から濃厚なだしがでていて別のうまみがある。

「これには、ご飯や『アボロ』というトウモロコシの蒸しパンを合わせるのがお薦め」とカマロさん。出してくれたアボロを食べてみた。もっちりとした蒸しパンで、ほんのり甘く、これだけでおやつにしたい味。

アボロには、オクラのソース「フェトゥリデシ」を使った料理も合うという。店で出していたオクラソース料理は、揚げ魚と海老、カニをこれに合わせた、やはり魚介のだしが効いた一品。ねっとりとした刻みオクラがたっぷり入った魚介だしの淡白な味わいで、ご飯にかけてもおいしそうだ。

聞けば、トーゴでは現地ならではの「ある肉」をこうしたソースで調理したものもポピュラーだという。その肉とは「アグチ」。大型の野ネズミだ。鶏肉などより値段も張る「高級食材」らしい。「開いて燻製焼きのようになったものをよく売っているんですよ」とカマロさん。

このアグチ、トーゴ人スタッフには人気で、日本で食べられない大好きな故郷の味を聞くと、真っ先に出てきたのはこのアグチだった。一緒に食べる主食はフフが定番。「僕は頭の部分が一番好き。フンもおいしいんだよ!」というスタッフの言葉に思わず目を白黒させてしまった。

ソースを使った料理以外の人気料理がないかと聞いてみると、カマロさんは「アグルーザ・ダボドラフォ」という骨付ローストポークを教えてくれた。好みで主食を選ぶほかの料理とは違い、これはキャッサバを練って作る「ピノ」と呼ばれる主食と一緒に食べるものだという。

実は、未知の食べ物であったほかの料理に比べ「なんとなく料理の味のイメージが浮かぶなぁ」と思っていたのだが、食べてみてびっくり。これは絶対リピートしたい!というおいしさだったのだ。

一見硬めの蒸しもののように見えた"伏兵"ピノに心をつかまれた。運ばれてきた料理を食べてみようと、スプーンで崩しにかかったところ思いもかけない弾力があり、想像よりずっと軟らかかったのだ。

さらに口に入れてみると酸味が効いていて、これだけでもおいしく食べられる。酸味はキャッサバからくるもので、この酸味が香ばしい焦げ目がついた骨付ローストポークにぴったり。この店のピノにはトマトも混ぜられ、これまた食欲をそそる。今夏はトーゴビールと一緒にこの料理をまた楽しもう、と心に決めたのだった。

(フリーライター メレンダ千春)

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