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100均のiPhone充電ケーブル 機能制限に要注意

日経トレンディネット

2017/5/25

日経トレンディネット

 最近の100円均一ショップ(100均ショップ)は、日常生活に必要なものは何でもあるのではないか、と思えるぐらい品ぞろえがよい。iPhoneの充電に使うケーブルも、多くの100均ショップで販売されている。

 気になるのは、純正ケーブルの代わりとして使えるのかどうかだ。ケーブルおよび関連商品を購入し、実際に給電能力の違いを比べてみた。

 今回は、ダイソー3店舗、セリア2店舗、キャンドゥ3店舗の計8店舗を回って商品を集めた。どのケーブルも明確に「iPhone 7」対応とは表示されていないが、今回はiPhone 7(iOS 10.3.1)で使用した。いずれも特に問題なく充電できた。

■充電専用で、急速充電には非対応

 iPhoneの純正ケーブルは「Lightning - USBケーブル」と呼ばれている。iPhone本体のLightningポートを、充電器やパソコンのUSBポートに接続して使用する(以下、Lightningケーブルと表記)。

 純正のLightningケーブルのプラグ部分はリバーシブルで、上下関係なく接続できる。また、充電機能以外に、パソコンに接続したときにパソコンのiTunesなどとデータを同期し、バックアップする機能もある。

 一方、今回、100均ショップで確認したiPhone用の充電ケーブルはいずれも「充電専用」と記されており、パソコンとの同期には使えなかった。またiPhoneと接触する金属端子は片面にしかない。充電するにはケーブルに「UPSIDE」と書かれた面を上にしてiPhoneに接続する必要があり、注意が必要だ。

 また、どのケーブルも1.5A以下の充電器にしか対応しておらず、2A以上の電流を流す「急速充電」には使えない。誤って急速充電器と接続すれば、ケーブルや充電器の破損、最悪はiPhoneの故障原因になる可能性があるので注意しよう。iPhoneに付属の充電器は1Aなので問題なく使える。

 製品の比較のため、純正LightningケーブルをiPhone付属の充電器に接続し、流れる電流を測定したところ、0.97Aでの給電となった。こちらを参考値として、ケーブルの形状ごとに比べていこう。

端子が片面にしかないため、iPhoneに接続するときは「UPSIDE」と表示のある側をiPhoneの前面に向けて接続しなければ充電できない
1.5A以下の充電器で使用するようにと表示されている。2A以上を使う急速充電器には対応していない
電流・電圧テスターを使って、急速充電可能な充電器にLightningケーブルを接続して測定したところ1.77Aで安定。付属の充電器では0.97Aだった

■一般的なストレートタイプは?

 今回、確認した100均ショップの電気機器コーナーには、必ずiPhone用の充電ケーブルがそろっていた。iPhoneの充電ケーブルを家に忘れて出かけても、近くに100均ショップがあればほぼ手に入ると考えてよいだろう。種類は少なく、タイプごとに1種類の製品を大量に並べて販売しているといった印象だ。

 ここでは、セリアとキャンドゥ両方で手に入る一般的なストレートタイプ「iPhone用USB充電ケーブル」とダイソーの「iPhone 6対応充電専用USBケーブル」を紹介する。

◎iPhone用USB充電ケーブル(セリア、キャンドゥ)

 USBプラグ側に「CHARGE ONLY」、Lightning端子側に「UPSIDE」と小さな文字でプリントされている。長さは60cm。ケーブル部分は、純正のLightningケーブルよりも細い。そのため、まとめやすい点はメリットだ。プラグは艶のあるプラスチックで成型されていた。

 ただ、急速充電可能な充電器に接続しても、急速充電はできなかった。iPhone付属の充電器で使うぶんには、純正のケーブルと給電能力には違いはなかった。

急速充電対応の充電器に接続しても0.97Aでの給電。iPhone付属の充電器では0.98A

◎iPhone 6対応充電専用USBケーブル(ダイソー)

 セリア、キャンドゥのケーブルと比較して、プラグの形状、ケーブルの太さと材質はほとんど変わりがない。長さも60cmと同じ。

 ダイソーのケーブルは、プラグの表面がざらざらとしたナシジ加工されている点と、「CHARGE ONLY」と「UPSIDE」の表記がプラグ部分に刻印されている点が異なる。プラグ部分は抜き差しするときに触れることが多いので、プリントだと消えてしまうかもしれないが、刻印ならその心配はないだろう。

急速充電対応の充電器に接続しても0.97Aでの給電。iPhone付属の充電器では0.98A

 今回紹介した商品はどちらも、性能的には違いはない。個人的にはダイソーの刻印のセンスが今ひとつに感じた。一方、セリアとキャンドゥのケーブルは小さく感じのよいフォントでプリントされている点で、こちらをおすすめする。

■簡単に巻き取れるタイプは?

 リール式と呼ばれるケーブルも人気がある。ケーブルの中央に巻き取り装置(リール)があり、端子を左右に引くと引き出せ、もう一度引くと自動的に巻き取られる点が便利だ。そのためケーブルを絡まないようにまとめる手間がかからない。

 リール式のケーブルも100均ショップで販売されていた。ただし店舗によっては扱っていない場合があった。iPhone側プラグ部の構造や急速充電に使えない点は、ストレートタイプと同じだ。

 ここでは、セリアとキャンドゥ両方で手に入る「iPhone用リール式充電ケーブル」とダイソーの「iPhone 6対応充電用USBリールケーブル」を紹介する。

◎iPhone用リール式充電ケーブル(セリア、キャンドゥ)

 表記されている「ケーブル長70cm」は、最大に引き出したときのケーブルの長さ。実際に測定すると69cmほどだった。プラグ部を含めると75cmとなる。無段階で引き出せるわけではなく、一定の長さごとにストッパーが働くため、1段階引いた状態ではケーブル部が約15cmだった。リールから引き出さない状態でも使える。

 給電能力は0.56Aとストレートタイプの約58%と低く、充電時間が1.7倍かかる計算だ。

0.56Aとかなり小さめの電流で充電される。ストレートタイプのケーブルの約58%

◎iPhone 6対応充電専用USBリールケーブル(ダイソー)

 ダイソーのリール式ケーブルは216円(税込み)。108円の商品は見当たらなかった。長さは70cmだが、セリアとキャンドゥのケーブルよりも少し太め。また、ケーブルを巻き取るためのリール部分も一回り大きい。コンパクトなセリアとキャンドゥのケーブルを見てしまうと、216円が高く感じてしまう。

 しかし給電能力を測定すると0.64Aとセリアとキャンドゥのケーブルよりも、少し大きな値が出た。それでもストレートケーブルの1.5倍の時間がかかる計算だ。

電流を測ってみると0.64A。ストレートタイプの66%。セリアとキャンドゥのケーブルよりも大きい

 コンパクトさを取るならセリアとキャンドゥのケーブル。給電能力を取るならダイソーのケーブル。ここはコンパクトさと108円で買える点でセリアとキャンドゥのケーブルをおすすめする。

■急速充電対応ケーブルやアダプターはどれがいい?

 Androidスマートフォンや周辺機器などで使われているMicro USBプラグのケーブルであれば、100均ショップでも「2.4A対応」などと表記のある急速充電対応ケーブルが売られている。

 Micro USBをiPhoneに接続できるように変換するアダプターも販売されているので、これを使ってiPhoneに接続すれば急速充電できるだろうか?

 使用したのはセリアとキャンドゥの「iPhone用Micro USB変換アダプタ」、ダイソーの「iPhone 6対応充電専用micro USB変換アダプタ」だ。どちらの商品も「1.5A以上の充電器は使用不可」と書かれているので、あまり期待できないが測定してみよう。

スマートフォン用急速充電専用ケーブル(ダイソー)。iPhoneでは使えないが、他のスマートフォン用には急速充電対応のケーブルが売られていた

 ケーブルは全てダイソーの「スマートフォン用急速充電専用ケーブル」でテストした。なおケーブル単体では急速充電対応のモバイルバッテリーに、1.7Aで給電できることを確認している。

◎iPhone用Micro USB変換アダプタ(セリア、キャンドゥ)

◎iPhone 6対応充電専用Micro USB変換アダプタ(ダイソー)

 Micro USBプラグをiPhoneに接続できるように変換するアダプターは、両方とも武骨なデザインだ。これまで紹介してきたケーブルと同様に、片面のみ認識するので「UPSIDE」と書かれた面を上にしてiPhoneと接続する必要がある。

 給電能力を測定すると急速充電はできなかった。セリアとキャンドゥのケーブルは0.71A、ダイソーは0.64Aと、どちらもiPhone用のストレートケーブルよりも小さい値になってしまった。

 この結果から、アダプターを使ってiPhoneに接続するメリットはなく、給電能力の低下を考えてもiPhone用のストレートケーブルを購入したほうがよい。

Micro USBプラグをiPhoneに接続できるようにするアダプターを使うと、iPhone用の充電ケーブルを使うよりも給電能力が落ちる

■100均商品の問題点は……

 iPhoneで安全に使えるケーブルは、アップルの基準で「MFi」(Made For iPhone/iPad/iPod)という認証が与えられる。今回、紹介した100均ショップのケーブルは、どれもMFi認証がなかった。

 MFi認証されていないケーブルを使ってiPhone本体が故障した場合は自然故障とは認められず、保証期間内でも有償修理になる可能性があるため注意が必要だ。

 またMFi認証されたLightningケーブルには専用チップが搭載されており、ベンダーごとに識別番号が登録されているためOSのバージョンが上がっても使える。一方、100均ショップの充電ケーブルに「iOS 10.0.1で動作確認済み」などの条件が記されているのは、iPhoneのソフトウエアのバージョンアップによって使えなくなってしまう可能性があるからだ。

 これらの点に留意し、自己責任で使うなら、手に入りやすい100均ショップの充電ケーブルはメリットがあるだろう。

 急速充電に対応していない点にも注意しておく必要がある。iPhoneに付属する標準の充電器を使っているぶんにはあまり問題はないが、モバイルバッテリーも併せて使っているなら、100均ショップの充電ケーブルはおすすめしない。

 現在主流のモバイルバッテリーは2A以上で給電する製品がほとんどで、100均ショップのケーブルは使用不可。もし使ったとしても1A以下の給電となり、iPhoneを急速充電できない。

 モバイルバッテリーを充電するための専用充電器も2A以上がほとんどなので、100均ショップの充電ケーブルでは充電器を使い回せない。この場合、アップル純正のLightningケーブルか、MFi認証されたサードパーティー製ケーブルの使用をおすすめする。

iPhoneに付属する充電器は1Aでの給電なので、100円ショップの充電ケーブルでも使用範囲内。この充電器で使うようにしたい

(ライター 伊藤朝輝)

[日経トレンディネット 2017年5月9日付の記事を再構成]

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