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企業のトップが重厚な「社長室」から飛び出し、社員と肩を並べて働くといったい何が起きるのだろうか。それを体験しているのが、米不動産サービス大手、CBRE(シービーアールイー)日本法人(東京・千代田)の坂口英治社長兼最高経営責任者(CEO)だ。同社は2014年、大規模なオフィス改革を実施、社長以下、全員が固定席のない「フリーアドレス」を導入するなどした。個室をもらえることがステータスの大手金融グループから16年10月に転職してきた坂口氏の目に、新オフィスはどう映ったのだろうか。

顔と名前が一致しにくいのが難点

――以前の勤務先、三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、投資銀行本部のマネージングディレクター兼不動産グループ統括責任者でした。CBREのオフィスに来られてどんな印象を受けましたか。

「はじめのうちは多少、戸惑いもありました。面接の際も、『個室がないけれど大丈夫か?』と念押しされました。個室がないことはそれほど気になりませんでしたが、外様でここへ入った場合に何がつらいかといえば、毎日がトランプゲームの『神経衰弱』といいますか、誰がどこにいるか、わからないことです。ふつうはだいたい、社内レイアウトからこの辺は何をしている部署なのだなと理解したり、座っている場所で地位を判断したりできると思いますが、ここはいる場所が毎日変わりますから、それができない。なかなか人の顔と名前が一致しないのが一番苦しいし、今でも悩んでいる部分です」

CBREの社内にあるカフェ

CBREの社内にあるカフェ

――どうやって顔と名前を一致させましたか。

「役職が高い人間とは当然、個別面談をしましたが、その際、秘書と一緒に該当者を探す『旅』に出ました。じつは秘書も毎日、どこにいるのかわからない。いちいち探すのも面倒なときは、コピーも自分でとります。たまに『社長がコピーをとっていると違和感ありますよ』と冗談を言って通り過ぎていく社員もいます」

「(社長が自分でコピーをとることは)前職では考えられないですね。完全なる個室カルチャーの中にいましたから。だいたい窓に面した空間が個室になっていまして、バイスプレジデント、エグゼクティブ・ディレクター、マネジメント・ディレクターの3役には個室が与えられる。それより下のアナリストはたいてい陽の当たらない大部屋にいますから、オフィス空間そのものに『成り上がれ』という暗黙のメッセージが込められていた。そういう意味では、CBREのオフィスはとても新鮮です」

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