都立西高の宮本久也校長

進学実績は全国の公立高校としてはトップクラスだ。1学年の定員は320人。17年の合格実績では東大が27人、京都大学が14人など国公立大学は162人。東大理科3類や京大医学部医学科など最難関の医学コースへの合格者も出している。東大合格者では公立トップの日比谷高校を下回るが、自由な校風で知られる京大の合格者は過去5年の累計で70人と首都圏の高校では断トツの実績だ。

部活重視、受験専念は秋から

しかし、東大の現役合格率は5割台と決して高くはない。西高出身で東大工学部4年の男子学生は「アメフトの遠藤も、野球の桐生も西高の同級生です。僕もそうですが、朝から晩まで部活に明け暮れたので、受験勉強に専念できたのは秋の文化祭が終わってから。結局1浪しました。恥ずかしながら今も運動ばかりやっています」と話す。

西高は同じ都立の日比谷高校や国立高校とともに人気がうなぎ登りだ。宮本校長は「第1志望で西高に入ってきた生徒は95.2%と極めて高い数字です。開成高校など最難関校に合格しながら、西高に進学した生徒は30人前後いますね」という。第1志望の理由は1位が「自由な校風」で82.6%、「雰囲気がいい」が68.6%、「進学実績がいい」が52.1%だという。「進学実績よりも自由な校風を重視している。だから京大志向の生徒が多いのでしょうか」という。

「文武二道」をモットーとする西高。スポーツなどの部活を大事にしながら、授業力をアップしている。教員は54人だが、レベルは高い。「約1万人いる都立高の教員のなかから、有能な人材が都立の重点校を希望し、その中から面接や模擬授業などを経て選ばれる」。宮本校長は都庁で長年、都立高の強化策に取り組んできた。現在は全国高等学校長協会会長の要職にもある。

それにしても西高はなぜ人気が高いのか。難関大学への現役合格などにこだわれば、「お得な学校」とは思えない。ただ、大手進学塾関係者は「開成など私立の中高一貫校は、中学から入学組は高2までに主要科目の課程をほぼ終了しますから、現役合格では断然有利です。ただ、高校から入学になると、むしろ大変になる。一方で、都立の重点校は、優秀な教師をそろえ、進学実績も伸びている。日比谷と違い、西高は部活重視で浪人は多いですが、体力と精神力を磨いているので、大学新卒の就職には強いという話も聞きます」という。

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