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謎の人類ホモ・ナレディ 現生人類と同時期に生きたか

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ナショナルジオグラフィック日本版

謎の人類ホモ・ナレディが人類進化の系統樹に加えられてから1年半。南アフリカで発掘調査に携わっていた研究チームが新たな分析結果を発表した。発見された当初は、奇妙に原始的な体の特徴からかなり古い時代の人類と考えられていたのだが、実はそれよりもはるかに新しく、初期のホモ・サピエンスと同じ時代に生きていた可能性があるというのだ。

ホモ・ナレディが初めて発見されたのは、2013年のことだった。ヨハネスブルクにあるライジング・スター洞窟の中で、2人の洞窟探検家が大量の骨の化石に行き当たった。アフリカ大陸で、これほどの量の化石が1カ所から発見されたのは、他に例がない。回収して調べてみるとそれらは、脳が小さく、肩と胴は類人猿のようで、別の部分は人間とほぼ変わりない特徴を持つ未知の初期人類の骨であることがわかった。新たな種は、ホモ・ナレディと名付けられた。ナレディとは、現地の言語ソト語で星という意味である。(参考記事:「謎の人類ホモ・ナレディ、手足は極めて異例だった」)

そのホモ・ナレディに関する最新の論文が、2017年5月9日付の科学ジャーナル「eLife」に発表された。その中で、南アフリカにあるウィットウォーターズランド大学の古人類学者でナショナル ジオグラフィック協会付きエクスプローラーでもあるリー・バーガー氏率いるチームは、発見されたホモ・ナレディの年代を33万5000~23万6000年前の間と特定した。また、ライジング・スター洞窟に第2の空間が見つかり、そこからさらに年代不明のホモ・ナレディの骨が見つかったと報告した。

この年代が正しければ、我々現生人類の祖先である脳の大きな種が進化する一方で、小さな脳を持つ別の人類が存在していたことを意味する。その祖先は、恐らく200万年前、またはそれ以前から続いてきた系統かもしれない。また、化石の年代は中期旧石器時代の初期にも重なっており、そこからさらに論争の火種になりそうな仮説も浮上する。つまり、南アフリカで出土しているこの時代の石器は、現生人類だけの手によるものではないかもしれないという説だ。

年代を絞り込む

ホモ・ナレディの存在が初めて公表された2015年当時、まだいくつか不明な点が残されていた。他のヒト属(ホモ属)とどう関係しているのか。体の特徴が示す通り、「ヒト属のルーツ」として系統樹の根元部分に書き加えてよいものなのか。そして、発見された化石の年代もまだ特定されていなかった。

そこで、まず年代を調べるため、骨の一部を覆っていた石灰の層である流華石(フローストーン)の放射性炭素年代測定を行った。すると、2つの別々の研究室が同じように流華石の年代を約23万6000年前と測定した。ということは、その下に横たわっていたホモ・ナレディの骨はそれよりも古いということになる。

ではどこまで古いのかとなると、これがまた難しい。骨のさらに下からは流華石が見つかっていない。そこで、堆積物の粒子とホモ・ナレディの3個の歯をいくつかの異なる測定法にかけた結果、最も古くて33万5000年前という数字にたどり着いた。

米ウィスコンシン大学マディソン校の古人類学者で、ホモ・ナレディ研究チームの一員でもあるジョン・ホークス氏は、「この数字にはかなりの自信を持っています」と語っている。

洞窟に第2の空間を発見

研究チームはさらに、ライジング・スター洞窟から第2の空間が見つかり、そこからもホモ・ナレディの化石が発見されたと発表した。最初の空間「ディナレディ」の発見者でもあるスティーブン・タッカー氏とリック・ハンター氏が、2013年11月に現地を調査中に見つけたという。

第2の空間は「レセディ」(地元のセツワナ語で光という意味)と名付けられ、ディナレディから100メートル以上離れた場所にあった。

ディナレディからは1500点以上のホモ・ナレディの標本が回収されたが、レセディからは今のところ130点ほどの標本が回収されている。その中には、2人の大人と少なくとも1人の子どもの骨が含まれていた。大人のうちの1人はおそらく男性で、その頭骨は顔の部分がほぼ全てそろっており、体の骨格も驚くほど完璧に近い状態で残されていた。おかげで、ディナレディの化石だけではわからなかったことも明らかになるだろうと期待されている。チームは、この男性を「ネオ」と名付けた。ソト語で、「贈り物」という意味である。

洞窟は遺体埋葬場だった?

レセディの発見は、ホモ・ナレディについて議論になっている仮説のひとつを裏付けるものであると、バーガー氏のチームは主張する。その仮説とは、ホモ・ナレディがライジング・スター洞窟を遺体の埋葬場として利用していたというものだ。

そもそもこのような説が生まれたのは、第1の空間ディナレディの存在自体、説明のつけようがなかったためだ。そして、後から発見されたレセディも同じように謎めいていた。2つの空間から発掘された骨はほぼすべてホモ・ナレディのものだったのだが、これはきわめて珍しいことである(レセディには、他の動物の骨も一部含まれていた)。さらに、どちらの空間も他の出入り口が発見されていない。

「洞窟内の離れた2つの場所で、成人や子どもを含め複数の遺体が似たような状況で積み重なっている。これがどんな自然現象で起こるというのでしょう。とても、偶然にこうなったとは思えません」と、ホークス氏は言う。

しかし、他にももっと証拠がなければ考慮にも値しないと主張する研究者も多い。英ロンドン自然史博物館の人類学者クリス・ストリンガー氏は、最新の論文を読んでこう語る。「私を含め多くの専門家にとって、ゴリラほどの大きさの脳しか持たない生き物が、このような複雑な行動を見せるとはとても考えられないのです。その上、洞窟に入るにはたいまつなどの明かりが必要で、それはつまり火を扱うことができたということです」

一方で、チームメンバーも他の専門家も、ホモ・ナレディが本当に死者を葬っていたのだとすれば、必ずしも人間がやるような儀式や理由付けを伴う必要はなかったとも指摘している。

ウィットウォーターズランド大学のポスドク研究員オーロラ・バル氏は、「埋葬をしていたと結論付けるのには、慎重になるべきです。彼らは穴を掘っていたわけではありませんし、道具もありません。これは、ホモ・サピエンスやネアンデルタール人に見られるような、いわゆる埋葬の儀式とは違うのです」と話す。バル氏は2016年に、遺体埋葬説に批判的な論文を書いている。

ホークス氏は、「私たちは、人間はとても賢く、何にでも理由をつけるものだと思いがちですが、私は、理由についてはそれほど重要視していません。ただ単に、遺体が動物に食べられたり、風雨にさらされるのを避けたかったというだけのことかもしれません」と語る。

石器を使っていた可能性も

レセディで見つかった骨は、まだ年代が特定されていない。また、ディナレディの測定結果からも、ホモ・ナレディが種としてどれくらいの期間存在していたのかはわからない。しかし、これらの骨の年代は、中期旧石器時代の初期にかかっている。その時代は、まだ複数のヒト属が混在し、現代のように1本の系統だけにはなっていなかった。

33万~23万年前、地球上には現生人類の祖先だけでなく、ヨーロッパとアジアにはネアンデルタール人が、アジアにはデニソワ人がいた。そしておそらく一部にはホモ・エレクトスや、ホモ・フロレシエンシス(フローレス原人)の祖先も暮らしていただろう。ホモ・ナレディは、この時期にアフリカに存在していたことが確認された最初の種ということになる(ただし、初期のホモ・サピエンスがわずかながら既に存在していたという証拠は見つかっている)。

しかしいまだに、ホモ・ナレディが系統樹のどの位置に加えられるべきなのかはわかっていない。ほとんどの研究者は、ホモ・サピエンスの直接の祖先は180万年前に出現したホモ・エレクトスであるという点で同意している。しかし、バーガー氏の分析では、骨の年代が比較的新しいという点はともかく、その形態から見ればホモ・ナレディのほうが人間の祖先候補として適しているのではないかとも考えられる。

バーガー氏のチームはさらに、もしホモ・ナレディと現生人類が同じ時代に生きていたとしたら、南アフリカ各地で見つかっている当時の石器は、人間が作ったものではない可能性があるとも主張している。「石器を作るという行為は、知能の高い現生人類の証拠と考えられてきましたが、この地域から最も多く見つかっているヒト属の化石は、ホモ・ナレディのものです」と、ホークス氏は指摘した。

バーガー氏も、「道具を作っていたといえば、すぐに人間だと決めつけてしまいがちですが、ならば科学のルールに則って、証拠を見せてほしいと言いたいですね」と話す。

ホークス氏の見積もりによれば、ディナレディはまだ全体の5%も発掘されていない。レセディにも、まだ化石が眠っていると考えられている。近くには他にも洞窟があり、発掘隊は太古の人類のさらなる証拠を探して調査を続けている。

(文 Michael Greshko、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2017年5月12日付]

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