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海外運用会社が腕振るう 隠れた実力投信を探る QUICK資産運用研究所 北澤千秋

2017/5/24

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 投資信託には、隠れた実力ファンドが少なからずある。中でも注目したいのは、海外の特色ある運用会社が実質的に運用している投信だ。運用哲学が明確でどんな市場環境のときにも戦略がぶれないファンドや、表面上の残高は小さくてもその投信がお金を預けているのは数兆円規模の世界的な人気ファンド、という例もある。外国株式や外国債券型など外モノの投信を買うなら、海外の個性的な運用会社が腕を振るうファンドも候補にしてみたい。

■割安株に厳選投資の個性的な投信

 外国株式や外国債券で運用する投信には、表面上は国内運用会社のファンドでも、実質的な運用は海外の運用会社に任せている例が多い。そして、その運用会社は日本での知名度こそ低いが、世界の年金基金などから高い評価を得ている有力会社という例がある。実質的な運用会社の名前や海外の親ファンドは、投信の目論見書で確認しなければわからない。このため実績があるにもかかわらず、約6000本もの公募投信の中にまぎれて、埋もれてしまっているケースも目立つ。

 そこで、今回は独立系ファンドコンサルタントの吉井崇裕氏に、海外での評価は高くても日本では注目度が今ひとつ、という隠れた実力ファンドを選んでもらった(「海外の有力運用会社が運用する主なファンド」の表を参照)。

 表の中で日本での運用期間が最も長いのは、朝日Nvestグローバルバリュー株オープンだ。実質的な運用会社は割安株投資で有名な米ハリス・アソシエイツ。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も外国株の運用を委託している。企業価値に比べて株価が割安と判断した企業を厳選し、40銘柄程度に投資している。

 投資手法は典型的な逆張りで、株価の下落局面ではここぞとばかり買い下がるため、基準価格は大きく下がることもある一方、その後の戻り相場では大勝ちが期待できる。少々クセの強い、個性的なファンドではある。

 年率の標準偏差(リスク=想定される価格のブレ幅)は20%超と高い。しかし、変動率の大きなファンドだからこそ、長期の積み立て投資の対象とするなら妙味がありそうだ。世界的な株安などで基準価格が大きく下がった局面で、その後の回復を期待して買うという投資法も考えられる。

■世界最大の債券ファンドで運用

 DC外国株式ファンド(大和住銀)を実質運用するのは米T・ロウ・プライスで、こちらはハリスとは対照的に成長株投資で知られている。過去10年ではベンチマーク(運用成績の比較対象指数=MSCI-KOKUSAI)を上回る成績を安定的に上げている。

 ラッセル・インベストメント外国株式(DC)は、それぞれ特徴が異なる複数の運用会社に運用を分担させるマルチ・マネジャー方式を採用している。アナリストによるボトムアップ運用が持ち味の米エムエフエス、モデル運用の米ニューメリックなど、委託先には世界的に有名な運用会社が並んでいる。

 このファンドは個人型確定拠出年金(DC)専用だが、昨年6月には親ファンドを同じにする公募投信も設定した。実質信託報酬は1.3%とDC専用(1.46%)より低い。

 外国債券型では、テンプルトン世界債券ファンドの実質的な運用規模が飛び抜けている。この投信がお金を預ける「テンプルトン・グローバル・ボンド・ファンド」は残高が4兆円を超える世界最大の債券ファンド。ファンドマネジャーは通貨取引で市場に大きな影響力を持っている。

 エマージング・ソブリン・オープンは新興国のドル建てのソブリン債(国債など)に投資する投信。米国で最も古い運用会社の1つであるウエリントンが運用を指図している。変動率の大きな新興国債を投資対象としながら、過去10年で年率5%台の安定的なリターンを上げてきた。

■名前倒れで鳴かず飛ばずの投信も

 海外で評価の高い運用会社が実質的に運用を任され、成績好調なファンドは他にもある。そうした投信は今はやりの売れ筋や、残高の大きさに気を取られていると見逃してしまう。たとえその投信の残高が小さくても、親ファンドの規模が大きければ繰り上げ償還となる可能性は低い。残高の大小ばかり見て投信を選ぶのは得策ではない。

 半面、世界的に有名な運用会社が関わっていても、成績が振るわない投信が多くあるのも事実だ。ことにヘッジファンド型などでは鳴り物入りで日本に紹介されながら、鳴かず飛ばずのファンドが目につく。日本に持ち込むに際して為替リスクの管理が不十分だったり、国内の規制でファンドの性格が本来とは違ってしまったりするケースもあるようだ。

 どんな会社、ファンドマネジャーが運用を任されているかや親ファンドの特徴は、投信選びに際して重要な情報になる。ただし、「うたい文句をうのみにせず、運用実績をしっかり確認してから投資する」(吉井氏)のが鉄則だ。

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