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ユニリーバの先進働き方改革 成功した5つの理由 ユニリーバ・ジャパン「WAA」(後編)

2017/5/24

 こんにちは、ジャーナリストの白河桃子です。

 働く場所と時間を自由に選択できる制度「WAA(Work from Anywhere & Anytime)」の導入と、残業時間を月45時間以内という目標設定。ユニリーバ・ジャパンが2016年7月からスタートした大胆な働き方改革は、大手メディアからSNS(交流サイト)まで大きな反響を呼びました。

 前編の「働く場所も時間も自由 ユニリーバの先進働き方改革」に続く、後編では改革を進める中で見えてきた課題や成功の秘訣について、同社の取締役人事総務本部長、島田由香さんに詳しくお話を伺いました。

■実施後、ポジティブな意見が圧倒的多数に

──WAAがスタートしてから約10カ月が経過しました。社内の反応や変化はいかがですか。

取締役人事総務本部長の島田由香さん(写真:吉村永)

 導入後、1カ月、3カ月、6カ月、そして10カ月の段階でアンケートを実施しました。回答率はだんだんと上がっていって最新のアンケートで約57%です。

 一度でもWAAを実施した人は、1カ月後は68.4%、3カ月後は88.1%、6カ月後は89.0%、そして10カ月たった今は91.7%になります。だんだん伸びてきたことが分かります。使用頻度は、この1年を通じて月1~2回が4割程度で最も多く、次に週1~2回と答えた人が2割程度でした。

 6カ月後のアンケート結果をまとめますと、「毎日にポジティブな変化がある」と答えた人は、67.8%。労働時間が「短くなった」と答えた人は24.6%、「長くなった」と答えた人は4.9%、あとは「変化なし」です。10か月後のアンケートでは少し表現を変えて「新しい働き方により、毎日が“よくなった”」と回答した人が66.8%という結果になりました。

 残業時間が80時間を超えている人は、導入前ですと多いときは月15人前後、少ないときは2~3人いましたが、導入後は月0~1人に減少しました。

 生産性は「導入前を50とした場合、現在の生産性を0~100のうちから答えてください」という質問で問う「実感値」を採用しました。その結果、平均で66でしたので、単純に計算して30%上昇。「生産性が上がった」と答えた人は、71.6%、「下がった」と答えた人は3.3%でした。

 「下がった」と答えた3.3%の人の理由をひも解いていくと、2通りしかありませんでした。1つは、「声をかけたいときにいないから、コミュニケーションがとりにくくなった」。もう1つは、「社外からスカイプがつながりにくい」というシステム上の問題でした。

白河桃子さん(写真:吉村永)

――家で仕事がしにくいという声はありませんでしたか? ある会社でリモートワークをやろうとしたら、「子どもが小さくて、妻が邪魔だから帰ってくるなと言うのです」という意見が若い男性から出たそうです。日本は家も狭いし、書斎もありません。

 そうした悩みには外部会社のコワーキングスペースと提携して対応しています。いくつかの会社のサービスをトライアル利用し、社員の利用状況や効果をみているところです。

 ほかにも、WAAを実施したことでどのようなメリットがあったのか挙げてもらったところ、特に印象的だったのは、「病院・通院・家の用事や子どもの学校のイベント(保護者会や手伝い)に、有給休暇や半日休暇を使わずに時間をとることができた」というものです。

 つまり、みんな半休や有給を取るときは、やらなければならない用事ではなく、本当は旅行や趣味のようなポジティブな使い方をしたいと思っているということです。

 WAAによって時間のコントロールをしやすくなり、有給をポジティブな目的で取得できるようになったことは、すごくハッピーなことだったという声がたくさん上がりました。

 もう一つ、特筆すべきは「通勤ラッシュの回避」です。「これがどれほど心と体を楽にしてくれるのか、初めて知った」といった声がたくさんありました。朝、子どもとゆったりと時間を過ごせるようになったことで、家族のつながりも強まったという報告もあります。

 私は、WAA導入当時から裏アジェンダ(課題)として、「通勤ラッシュ撲滅」を掲げています。

 満員電車で1時間以上もかけて出社するだけで、体力も気力も相当削られます。これほど無駄でマイナスなことはありません。

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