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キリンビール社長の布施孝之氏

キリンビール社長の布施孝之氏

国内のビール各社は日々熱戦を繰り広げている。かつての王者キリンビールは、「スーパードライ」のアサヒビールにシェアで抜かれた。サントリービールもプレミアムビールで攻勢をかけている。王者復活に挑むキリンビール社長の布施孝之。5月26日から「仕事人秘録セレクション 布施孝之」(日経産業新聞)を公開するのを前に、ビールにかけた男の姿に改めて迫った。

熊本地震、サントリーに電話

2016年の4月、キリンビールの布施孝之がサントリービール社長(当時)の水谷徹に電話を入れた。熊本地震発生の1~2日後のことだ。九州熊本工場(熊本県嘉島町)の被災でてんてこ舞いの水谷。「こんな大変な時に……」。しかし、布施の第一声を聞いた水谷は思わず涙ぐんでしまった。「何かお手伝いさせていただけませんか」。布施はこう言ったのだ。布施とはそういう男だ。

布施の会社人生はキリンという会社の斜陽の軌跡とピタリ重なる。早稲田大学の商学部を卒業し、布施が入社した1982年、ビール系飲料市場全体に占めるキリンのシェアは62.4%だった。まさにキリンの絶頂期で、国会ではキリンによる市場の寡占状態は「独占禁止法に抵触するのでは」といった議論が真面目になされていたほどだった。

それから35年。キリンのシェアは雪崩を打って下がり続ける。免許制だった酒類の販売が解禁されると、販売ルートをほぼ独占してきたキリンの優位性は一気に崩れた。「苦くて重いビール」から「コクとキレ」に変わった消費者の嗜好の変化にも名門キリンはついて行けなかった。

東大、京大以外はその他

布施は入社試験に挑んだ際、入り口が「東大」「京大」「その他」と区別されていたことに「大変、驚いた」と告白しているが、こうしたエピソードに象徴されるように旧態依然の巨大戦艦は一気に押し寄せる激流に翻弄され続けた。

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