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出世の近道 経営者になるための3つの質問 20代から考える出世戦略(8)

2017/5/23

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どのような形であれ、出世するためには経営者的な感覚を身に着けることが近道です。会社で出世する場合はもちろんですが、起業する場合も、経営者になることが出世だからです。また、独立してフリーランスになるにしても、副業で稼ぐにしても、それらは「経営」によって収入を得る方法だからです。だから今自分がいる組織の社長や、社長に近い経営層から学んでおいて損はありません。そんな場面で、彼らが本音で語ってくれるようになる質問があります。

■あなたが経営者になる日は必ず来る

今サラリーマンとして働いている人も、やがて必ず経営の視点を持つタイミングがきます。

それは、自分で会社を興して社長になる、ということばかりではありません。パナソニックグループの創業者である松下幸之助氏はかつて、全ての人は自分にまかせられた仕事において責任を持つ経営者である、という意味での「社員稼業」という言葉を示していました。

新卒で入った会社で定年まで勤めあげることがあたりまえの時代ですら、従業員であっても経営者の意識を持つべし、という教訓があったわけです。ましてや現在のように、誰もが転職を常に視野に入れることができるのなら、自分自身が持っている能力や経験について冷静に判断して「経営」することの重要性は一層高まっています。

たとえば、副業や複業もそれほど難しくなくなっています。そんなとき、いきあたりばったりでモノの売り買いや自分自身のスキルを提供するのではなく、「経営」の観点から先々を見据えて行動することはとても有効です。

そのために今周囲にいる経営者との関係を大事にしておいたほうが得策です。今自分がいる会社の経営者でも構いませんし、友人・知人で、実際に経営をしている人たちでもよいのです。そして彼らから学ぶために、次のような質問をしてみましょう。

■経営者をドキリとさせる3つの質問

最初の質問はこういうものです。

「創業するときに、何を実現したくて創業しましたか?」

この質問に対して、ほとんどの経営者はなにがしかのビジョンを答えてくれるはずです。「社会をもっとよくしたかった」という社会貢献的なビジョンを語る人もいるでしょう。あるいは、「提供するサービスによって多くの人に便利さを届けたかった」と語る人もいるでしょう。あるいは、「いや実現したいもの、なんていうたいそうなモノはなかった。とにかく食うために必死だったんだ」という話をされる方もいるでしょう。

創業時の事を思い出すとき、成功している経営者ほど、当時を懐かしみます。そしてこの質問をしてきたあなたに対して、多少の好意に近い感情を持つはずです。

ただし、この思いを聞くあなたは、その言葉をそのまま信じてはいけません。そして次の質問を投げかけてみましょう。

「1年前に、1年後に何を実現したいと思っていましたか?」

この質問をされたとき、多くの経営者は、財務的な数値や売上シェア、開発したい製品や改善したい業務プロセスなど、実務的なことを考えることが多いように思います。ある伸び盛りのベンチャー企業社長にこの質問を投げかけた際には、こんな答えをいただきました。

「1年前だったら、売上を倍にしたいと思っていましたね。従業員にそのことを伝えたら猛反対を受けました。けれども、足りない売上はM&A(買収・合併)で買うから、できるだけやってほしいと伝え直すことで、みんなのチャレンジを引き出せましたね」

非常にアグレッシブなこの会社は、今もなお成長を続けています。

しかし別の経営者はこんな風に答えてくれました。

「1年前はたしか……ちょうど業界的な不況のまっただなかで、とにかくコストカットと新規受注に必死でした。だから1年後にはなんとか黒字に戻したいと考えていました」

目の前の課題が大きければ大きいほど、先の見通しよりもまず乗り越えることを考えます。それは当然のことですし、そうしなければ事業は継続しません。

この二つ目の質問は、経営者に現実を思い出してもらうためのものです。一つ目の質問で過去を思い出し、二つ目の質問で現実を思い出す。そんな状態にある経営者に、3つ目の質問をします。

「何年後でもいいので、今から実現したいことはありますか?」

そして、目の前で質問を受けてくれている経営者をじっと見つめてみましょう。

おそらくこの質問に対する答えはすぐにでてきません。私がたずねた際にも、ほとんどの経営者が一瞬黙り込みました。それから、ていねいにつむぐように言葉を聞かせてくれました。そこでつむがれる言葉こそが、質問しているあなたが学ぶべき経営の本質なのです。

実はこの質問は、かつて私がとある人に投げかけられたものです。一つ目の質問で創業時を思い出し、二つ目の質問で現実に引き戻され、そして三つ目の質問で忘れていたものを思い出したのです。

■経営とは志を持ち続けること

極めて優れた一部の経営者以外は、創業時の志をやがて忘れてしまいます。そして日常の中に埋没していきます。ある程度の成功で満足してしまうことはとても多いし、それ以上に、厳しい現実の前で多忙でありつづけるとき、遠くを見つめるための志は薄れてしまいがちです。やがて目の前の売り上げをつくることや、コストの見直しに全力を尽くすことが経営だ、と考えてしまうこともあります。

しかし先のことを考えておかなければ、ただ毎日が矢のように過ぎていくだけにもなるのです。だからこそ、経営者は創業の志を思い出し、時にはそれを修正しながら、自分の中で持ち続けなければいけないのです。

そして、そのことを思い出した経営者の言葉を直接聞くことで、たとえ今は経営をしていないとしても、経営者の悩みや喜びを知ることができます。

初めに何を思ったのか。

昨日何を思ったのか。

明日、何を思うのか。

このような問いかけを、会社で働いている時点で自分自身にすることができれば、その人は既に経営者の視点を持っていると言えます。日々に埋没することなく、新しいものを創造してゆける経営者として、新しい道筋を手に入れられるはずです。

平康慶浩
セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで130社以上の人事評価制度改革に携わる。大阪市特別参与(人事)。

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