不動産・住宅ローン

プロが教える住まいのキホン

住まいの性能、チェックポイントは? コスパも考慮を 建築家・一級建築士 米田耕司

2017/7/5

PIXTA

 最近、耐震や3階建て、省エネなどいろいろな住まいの性能が盛んにテレビなどで宣伝されています。一方、耐震性を重視して頼んだはずなのに筋交いの金物が不適切であったり、フラット35の高性能な省エネ基準をクリアできるように依頼したのに室内に冷気が巡ったりする、といった不具合の相談や対策の助言を求められることがあります。ひと言で「性能」といっても具体的にはどのようなことに注意すればいいのでしょうか。

 住まいを性能という観点から見た場合、安全で耐久性があり、必要な設備を備えた「家族を守るシェルター」としての役割が基本です。加えて住む人が使いやすく、長期間、快適に過ごせる「空間的な性能」を持っていることも大切なことです。「空間的性能」とは以下のようなことを指します。

 建物の内部と外部が効果的につながっているか。各室の動線のつながりや上下階の空間的なつながりが合理的か。バランスのとれた外観になっているか。視覚や触感など五感に働きかける形や素材、色彩などに心地よさ、楽しさ、豊かさが感じられるかどうか。これらに加えて、街並みの中での個性や審美性といったものも「空間的な性能」です。

 こうした空間的性能を支えるのがいわゆる「技術的な性能」です。耐震性・耐久性に加え、日常生活やシックハウス対策など安全面への配慮が十分かどうか、火災に対抗する抵抗力はどの程度なのか、安全に避難できる設計となっているかなどです。また断熱性については、最近ではゼロエネルギーハウス(ZEH)といって、住宅の燃費性能を上げるために外壁や屋根などの断熱性を向上させたうえ、太陽光発電などでつくられる再生エネルギーが省エネ住宅家電などで消費されるエネルギーを上回るよう設計される時代になっています。

■性能を示す基準は?

 では住まいの性能を示す基準にはどんなものがあるのか確かめてみましょう。はじめに挙げられるのは建築基準法関連法令でしょう。この法律には、建築物の性能について居室の採光、換気、構造耐力、耐火避難などの最低限の基準が示されています。ほかにも住宅支援機構の共通仕様書や日本建築学会標準仕様書などがあります。

 さらに「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(通称「品確法」)による住宅性能表示制度による性能の基準があります。性能評価申請をする場合、必ず表示しなければならない項目は(1)構造の安定(2)劣化の軽減(3)維持管理・更新への配慮(4)温熱環境――の4項目です。

 「等級」は性能を測るうえでの尺度となります。例えば耐震等級の場合は建築基準法による性能を等級1とすれば、数字が増すごとにこれを上回る性能となります。この制度を利用することによって、消費者は同じ物差しで性能を比較することができます。

■性能レベルを知るには?

 これらの性能に関する情報はどうやって入手できるのでしょうか。まず設計者または施工者に相談して必要な性能等級を決めてから、性能評価機関に設計図書の審査申請を行い、設計住宅評価書を発行してもらう必要があります。また施工が完了したら、実際にできた住宅の検査を受けて建設住宅評価書を発行してもらわなければ、実際に有効かは確認できません。これは、通常必要な建築確認による手続きとは別に有料で申請します。表示制度の費用の相場は10万円から20万円です。住宅の面積や評価機関によって料金は異なるため、ホームページなどで確認しておきましょう。一般的に設計料または工事費用と同時に請求されます。

 人の住まいには、それぞれの立地条件やライフスタイルがあり、メディアで宣伝される性能には過剰で不要なものもあります。コストパフォーマンスを考慮したうえで必要十分な耐震性能や省エネ方式などを選ぶことと、工事契約時に確認をする姿勢が大切です。

米田耕司
 建築家(日本建築家協会登録)。一級建築士事務所米田耕司建築研究室主催。建築相談委員として長年、市民の建築相談を受ける。紛争解決にも取り組むようになり、弁護士会などで講演経験も多く、法曹界との親交も深い。私的鑑定書作成や公的機関の紛争処理専門委員などの経験が豊富。東京都世田谷生区生まれ。趣味は、音楽、フライフィッシングや卓球など。

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