食事を介して摂取したコレステロールは、ASCVDの危険因子である血中コレステロール値を上昇させる可能性があります。「既存のエビデンスは、鶏卵やその他のコレステロール含有量が高い食品の摂取を、できるだけ控えるべきであることを示している」との見解をFreeman氏らは示しています。

【抗酸化物質を含む野菜・果物】

ブルーベリー、イチゴ、ラズベリーなどは、抗酸化作用を持つアントシアニンを多く含みます。週に3皿の摂取が推奨されています。アントシアニンは、赤キャベツ、赤ラディッシュ、ナスなどの野菜にも含まれています。アントシアニンを多く含む野菜や果物の摂取は、降圧効果をもたらし、心筋梗塞、糖尿病のリスクを下げます。ASCVDリスク低下のための抗酸化物質源として、野菜と果物が有用であることを示す確かなエビデンスが存在します。

【抗酸化サプリメント

野菜や果物の代わりに抗酸化サプリメントを摂取しても健康利益が得られると報告した研究が一部にありますが、多くは、抗酸化サプリメントは高用量でも効果がない、または有害になりうることを示しています。サプリメントの健康への影響を明らかにするためにはさらなる研究が必要です。

【ナッツ(ピーナッツも含む)】

健康な食事法にナッツを組み込めばASCVDの危険因子が改善すること、循環器疾患の発症が抑制されること、2型糖尿病のリスクも下がることが示されています。ただしカロリーが高いため1日30gを目安とすることが望ましいです。

【緑の葉物野菜】

ルコラ、スイスチャード、セロリ、ケール、サヤインゲン、ホウレンソウ、アスパラガス、ブロッコリー、パセリ、ズッキーニなどの日常的な摂取が、ASCVDの危険因子を改善し、ASCVDリスクを低減し、2型糖尿病の発症率を低下させることが示されています。

【ジューシング】

ジューサーを使って作った果物と野菜のジュースをベースとし、プロテインやサプリメントを追加する場合もあるジューシングは、米国では非常にポピュラーです。しかしその利益を、原材料となる野菜や果物をそのまま、または加熱して摂取した場合と比較した研究はほとんどありません。

「ジューシングは、ビタミン、ミネラルなど一部の栄養素の吸収率と利用率を向上させますが、絞りかすに含まれる繊維質や栄養素は除去されます。また、野菜や果物をそのまま食べるより簡単に熱量を摂取できるため、総摂取熱量が増えないよう、蜂蜜などの糖分の添加は避けましょう」とFreeman氏らは述べ、きちんとした比較研究が行われるまでは、野菜や果物をそのまま食べる方が好ましいとの考えを示しています。

【グルテン】

グルテンの摂取により症状が現れる病気(セリアック病など)の患者は、グルテン除去食をとる必要があります。ところが近年、減量や健康利益を得るためにグルテンを食べない人が増えています。実際には、グルテン摂取と体重の関係を示したエビデンスはなく、循環器疾患への影響も不明です。

まとめ

TVや雑誌で取り上げられる「〇〇ダイエット」や「健康に良い食べ物」を試す前に、その効果が科学的に証明されているのかどうかを確認することが大切です。上記のような、循環器疾患の予防と治療において有益であることが示されている食品・食事法は、世界的な健康増進に役立つと著者らは考えています。

論文は、Journal of the American College of Cardiology誌電子版に2017年2月27日に掲載されています[注2]

[注2] Freeman AM, et al. J Am Coll Cardiol. 2017 Mar;69(9):1172-1187. doi: 10.1016/j.jacc.2016.10.086.
大西淳子
 医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

[日経Gooday 2017年4月13日付記事を再構成]

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