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ストレス・疲労に負けない食事 「赤黄緑を1:1:1」

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日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

こんにちは、精神科医の奥田弘美です。初夏の訪れを肌で感じる日々となりました。あなたの心と体はお元気でしょうか? 今回は、ビジネスパーソンに知っていただきたい食の基本に関して書きたいと思います。

ただしあらかじめ申し上げておきますが、本記事は、私が産業医・精神科医として実際に企業で行っている「心と体の健康アドバイス」をベースに執筆しています。そのため厚生労働省の定める日本人の食事摂取基準にできるだけ沿った標準的な食事理論を基本として解説していきます。グルテンフリーなど最近話題の食事法や、サプリメントを使わないと栄養不足になるとか、牛乳を飲んではいけないといった新手の栄養理論は長期的な安全性や普遍的な効果が検証されていないため採用していませんのでご了承ください。

ストレス・疲労に強い人は、食事をおざなりにしない

さて前置きが長くなりましたが、私が多くのビジネスパーソンとカウンセリングを行っているなかで、いつも感じることがあります。それは「ストレスや疲労に対抗する力をコンスタントに維持している人ほど、睡眠と食事を大切にしている」ということ。

ここで強調したいのは、「コンスタントに」という点です。

例えば重責を常に担っているある管理職の50代男性の場合。40代の頃から海外出張をほぼ毎月こなしハードな交渉事も日常茶飯事らしいのですが、いつお会いしても物腰が柔らかく精神的にも安定されています。健康診断の結果も異常値はほとんどありません。

「健康法は?」と尋ねると「寝ないと頭が動かなくなるタイプなので、可能なかぎり6時間は睡眠をとるようにしています。食事は特にこだわっているわけではありませんが、できるだけバランスには気をつけて、食べ過ぎないようにしています」とのこと。

30代の営業職の女性は、男性でもハードルが高いと感じるレベルの数字目標を毎月クリアしているそうですが、いつもニコニコ、はつらつとしています。「ずっと実家暮らしで母が食事にうるさいこともあり、外食するときも栄養には気を配る癖がついています。とにかく睡眠不足にならないようにもしています。寝てないとお客様に対し機転が利かなくなるので」と教えてくれました。

彼らはほんの一例ですが、私の経験上、ストレスや疲労にコンスタントに強く、心身ともにタフな方たちは、奇をてらわない一般的な健康法を自然に習慣として実践していることが多いです。特に食事と睡眠に関しては、ストイックに節制しているわけではないものの基本理論に忠実です。この2つの行為をおろそかにしないことがコンスタントに気力・体力を維持する秘訣であることを、彼らは経験的に学んでいるのでしょう。

働く人の体力・気力・知力の維持に、睡眠がいかに大切であるかについては、第3回「長時間労働はなぜ悪い? 医師が明かす睡眠不足の怖さ」で詳しくお伝えしたので、本稿では省きたいと思います。

その睡眠と同じくらい大切な行為が、「日々の食事」です。食事をおざなりにすることは、体中の細胞に良質な栄養を与えないということ。当然その細胞には、脳細胞も含まれます。

「日々の食事」が思考力・判断力のもと

脳細胞では、冷静な判断力や思考・認知能力に関与するセロトニンや、モチベーションや学習能力、集中力に関与するドーパミンといった神経伝達物質が合成されますが、これらの物質は、食事で取り入れた栄養が原材料となりつくり出されます。また睡眠中には脳の下垂体から成長ホルモンが放出され、損傷した体組織のメンテナンスが行われることで疲れが回復しますが、この成長ホルモンも食事から摂取する栄養で合成されます。

つまり脳細胞に栄養をきちんと送らなければ、仕事に欠かせない思考力・判断力・ひらめきといった知的能力や体力・行動力に影響してしまうというわけです。

良質なガソリンを与えないと車が最高のパフォーマンスを発揮しないのと同じように、人間の体にとって良質なバランスのとれた食事は欠かせません。粗悪なガソリンを入れた車がエンストしまくるように、体も栄養を無視してカロリーだけ入れていてもダメなのです。

しかしこの点を非常に軽視している人が、悲しいかな男女ともに少なくありません。一人暮らしの男性に散見されるのが、「朝は缶コーヒー、昼はラーメンかそば、夜はコンビニの弁当か丼もの」といったパターン。女性の場合はもっと悲惨な方もいて、ダイエット志向が常につきまとっているため、「朝はなしか飲み物、昼はおにぎりと春雨スープ、夜はサラダとお菓子だけ」のような栄養失調パターンも。

こうしたバランスを欠いた食事を続けている人は、若い頃は体力があるため何とか能力を発揮できるかもしれませんが、30代を過ぎると生物学的老化により体力がガクッと衰えるため疲労の蓄積が激しくなります。そのため精神的ストレスや身体的負担が想定外にかかると耐えきれず、体調が悪くなったりメンタル疾患を発症したりして、戦線離脱を余儀なくされるパターンが非常に多いのです。

成人の体は約40兆個の細胞で構成されていると考えられていますが、これらの細胞にコンスタントに働いてもらうためには、体のオーナーである私たちがバランスの良い栄養を「継続して」与えなければなりません。

心や体の栄養に必要な3つの食品グループ

心や体をベストな状態に維持するには、基本的に次の3グループの食品が必要だと、しっかり頭に入れておきましょう。3色に色分けして栄養バランスを覚える方法を学生時代に一度は習ったと思いますが記憶が曖昧になっている人も多いので、この機会に今一度確認なさってください。

(1)赤グループ たんぱく質

肉、魚、卵などの動物性たんぱく質、豆腐、納豆などの植物性たんぱく質、チーズ、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品 (※生クリーム、サワークリーム、練乳は黄グループと考える)

(2)黄グループ 炭水化物・脂質

「炭水化物」は、ご飯やパン、麺類、シリアル、イモ類、コーンなど、「脂質」はバター、サラダ油、オリーブオイルなど (※イモ類、コーンは野菜だが、糖質が多いので黄グループと考える)

(3)緑グループ ビタミン・ミネラル類

野菜や海藻、果物など (※ただし果物は果糖など糖質が多く入っているため黄グループとのミックス食品。肥満を気にする人は黄グループとして捉えたほうがよい)

この3つのグループは次のような働きをします。理解しやすく、かつ覚えやすくするため、私は車に例えて説明しています。

【各グループの働きは?】

(1)赤グループ(たんぱく質)

体そのものをつくる。骨、筋肉、髪の毛、脳、胃や腸の様々な臓器、各種ホルモンといった、体のすべてを構成する大本の栄養。車に例えれば各種部品や車体といった「車本体」をつくる栄養素。

(2)黄グループ(炭水化物・脂質)

細胞が動くためのエネルギーを供給する。体温を産生し、筋肉や心臓や胃腸などの臓器を動かし、ホルモンなどを生成するための化学反応を起こすエネルギーのもととなる。車でいえば、ガソリンそのものの役割。

(3)緑グループ(ビタミン・ミネラル類)

赤グループや黄グループの食品が、胃腸で消化され様々な過程を経て栄養素に変化し、実際に体で役立つ形に変わっていく合成反応の触媒役。ビタミン・ミネラル類がないと食品が栄養素の形まで分解されて細胞に吸収されないし、エネルギーにも変換できない。車でいえばエンジンオイルの役割。

これらの3種類の栄養グループをしっかりバランスよくとることで、体力、気力、知力といった仕事に欠かせない力を細胞がコンスタントに生み出していくことができます。

特に働き盛りのビジネスパーソンの場合、疲労回復物質(イミダゾールジペプチド、カルニチン、コエンザイムQ10など)が豊富に含まれている肉、魚といった動物性たんぱく質と、それらを体内で消化吸収するために不可欠なビタミン・ミネラル類(野菜・海藻など)が不足しないよう注意が必要です。

しかし多忙な人ほど、パンやおにぎり、カップ麺といった炭水化物で安易に空腹を満たすことが多く、良質なたんぱく質とビタミン・ミネラル類の不足により余計に疲労が蓄積しがちです。

多忙ななかでバランスよく食べろと言われると、栄養士さんがしっかり計算した定食をイメージして、「難しくて無理」と思う人も多いようですが、実は意外に簡単。外食が多い人でも、少し気をつければバランスよく食べることができます。要は先に説明したように、赤、黄、緑の3色をそろえればいいのです。

「赤・黄・緑」の量の目安は「1:1:1」

量的な目安とバランスは、手のひらを使って「1:1:1」と覚えましょう。赤グループの肉や魚類、大豆製品は、手のひらサイズ(厚さも手のひら程度)を1つ分、黄グループは、ご飯は軽く握ったこぶし1つ分、パンや麺は両手のひらにのる量を1つ分(厚さも大体手のひら程度)、緑グループは、生野菜ならば両手のひらで1つ分、加熱したものなら手のひら1つ分。1食につき、これでおよその栄養量とバランスは満たすことができます。

 例えばたっぷりの野菜とともに食べる冷しゃぶ定食、肉野菜炒め定食、ショウガ焼き定食や、野菜小鉢がしっかりついた刺し身定食や焼き魚定食、たっぷりのサラダがついたチキンソテーなどをチョイスすれば、外食でも手軽にバランス栄養食を食べることができます。

丼ものや麺類が好きな男性も多いのですが、これら単品ではどうしても手のひら1:1:1のバランス栄養になりません。丼もの、麺類を食べるときは、具に卵や肉、魚介類などたんぱく質ができるだけ多くのったものを選ぶ。ご飯や麺が多ければ少々残し気味にして、代わりに野菜サラダやおひたしなどの野菜小鉢を追加する、といった工夫をすればOKです。

スーパーやコンビニでお弁当を買う時にも、しっかりと肉や魚などのメインディッシュが入っていてかつ野菜のおかずが多いものを選ぶ。時間がなくてハンバーガーやサンドイッチで手軽に済ませたいときも、卵やツナ、ハム類など赤グループができるだけたくさん入ったものを選び、緑グループのサラダや野菜の総菜を組み合わせる。それも難しければ野菜ジュースをプラスするだけでもバランスはかなり改善します。

こうした食に対する最低限の知識を持ち、日々の食事の栄養バランスを少しでも心がけていくことで、疲労やストレスを解消しやすくコンスタントに頑張っていく体と心の基盤がつくれます。毎食バランスを整えることが無理な方でも、1日2食、最低でも1日1食は基本のバランスを意識して食事をチョイスしてください。

このように栄養の基本を最低限押さえると、健康で安全なダイエットも実践しやすくなります。次回はメタボを解消するための食事法のヒントについてお伝えします。

【こちら「メンタル産業医」相談室】

第8回「連休で疲れを残さないコツ 変化はストレスと考える

第7回「『変化疲れ』が五月病の原因に 注意すべきはこんな人

第6回「過労死は『好きで仕事をしている人』にも起こる

第5回「『過労』はサイレントキラー 体力がある人ほど注意

奥田弘美
 精神科医(精神保健指定医)・産業医・労働衛生コンサルタント。1992年山口大学医学部卒。都内20カ所で産業医として働く人を心と身体の両面からサポート。「何をやっても痩せないのは脳の使い方をまちがえていたから」(扶桑社)、「一流の人は、なぜ眠りが深いのか」(三笠書房)など著書多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ、日本人に合ったマインドフルネス瞑想の普及も行う。

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