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一方、メンバー選考や育成では「最強の1期生」にこだわった。「以前支配人を務めたSKE48では、松井珠理奈、松井玲奈(15年8月卒業)を中心に1期生の存在感がすごかった。グループの屋台骨となる1期生がしっかりすれば、後の世代にも受け継がれる」との思いからだったという。

そこで豊富な経験を持つ北原里英、柏木由紀(AKB48と兼任)が加わったほか、オーディションでは「成長が速いだろうとの判断」から中高生を中心に採用。今では小学生が入る姉妹グループも少なくないなか、NGT48は18.1歳と、デビュー時の平均年齢はAKB48グループで最も高くなった。

「最強の1期生を作る」という視点は、正規メンバー以外にも向けられている。AKB48グループの劇場公演は16人でのステージが基本形だが、NGT48は唯一、アンコールで研究生も登場。逆に正規メンバーが手伝い、10人しかいない「研究生公演」も実現している。キャプテンの北原も「ラジオ番組では研究生のみんなにも出番を回してくれている」と言うように、NGT48では1期生26人全員の底上げを強く意図してきた。

デビューまでの期間は最長

徹底的な地元密着の活動と地道なメンバーの育成を経て、徐々にグループは頭角を現し始めた。2016年6月に新潟市内で行われた「AKB48シングル選抜総選挙」では、オーディションからのメンバーである加藤美南が、地元からの声援も受けて76位にランクイン。夏にはユニバーサル・スタジオ・ジャパン、11月からは名古屋・栄など姉妹グループの劇場3カ所で出張公演を行うなど、県外でのライブも実現できるまでになった。さらに、今年1月には東京のTOKYO DOME CITY HALLにて、ワンマンコンサートも開催。同月の「AKB48グループ リクエストアワー」では、NGT48のオリジナル曲『Maxとき315号』が、姉妹グループを抑えてファン投票1位を獲得するなど、注目度は急速に上昇している。

発売中の1stシングル表題曲の『青春時計』は、やわらかなラップと懐かしさを感じさせるメロディーが印象的。(DVD付き3種各1528円、NGT48 CD盤972円/ソニー)

そして、4月12日に満を持して発売したのがデビューシングル『青春時計』だ。お披露目からメジャーデビューまで1年8カ月という期間はAKB48グループで歴代最長となるが、これだけ時間をかけたことは、「アクロバットを武器に持つ加藤美南、ファンに何を求められているのかを知り尽くす“アイドルの職人”中井りか、ドラマ『豆腐プロレス』のヒール役で注目を集める山田野絵など、メンバー1人ひとりの色が濃く、個性の宝庫であるのが最大の特徴」というNGT48のカラーを浸透させるのにもプラスになったといえるだろう。

同時期に結成し、快進撃を見せる欅坂46から1年遅れてのデビューとなるNGT48。熟成期間を経た、最強の1期生たちはどんなドラマを生み出すのか。瀬戸内地区を拠点に、今夏始動するSTU48にもつながる、地元密着型グループの試金石としても注目される。

(ライター カネコシュウヘイ、データ作成 高倉文紀)

[日経エンタテインメント! 2017年5月号の記事を再構成]

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