フランス製IoTグッズ、「忘れ物女子」奈津子を救うか
奈津子の家電選び後輩目線
「大切なものを、なくさない」──人生においても、恋愛においても大事な心がけですよね。後からでは遅いことも……あるんです。
ただ現実問題として「なくさない」のは難しい! 米Zippo Manufacturing Companyが2014年1月に行った調査によると、日本人は1カ月あたり約76分、1日あたり約2分半も探し物に時間を奪われているのだとか。そんな不毛極まりない時間と決別したい方にオススメなのが、フランス・Wistiki(ウィスティキ)の「Wistikiシリーズ」。最近増えてきた、あらゆるモノがネットにつながる「IoT家電」です。
世界的に有名なフィリップ・スタルク氏によるデザイン
Wistikiシリーズは、スマートフォン(スマホ)とBluetoothでペアリングすることで、「探し物の呼び出し」「スマホの呼び出し」「地図での位置確認」「探し物との距離の把握」「忘れ物防止アラート」「近づきアラート」「複数ユーザーでの落とし物情報の共有(匿名)」といった機能を使用できるIoT家電です。
スマホと製品をBluetoothで連動させ、探し物のありかを教えてくれる製品は他メーカーからもいくつか発売されていますが、同製品の大きな特徴は、世界で活躍する工業デザイナーのフィリップ・スタルク氏がデザインを手がけている点でしょう。
デザイン性という視点から見ると、「アクセサリーとしてのポテンシャル」は、探し物のありかを教えてくれるIoT製品の中でも、最も高い製品かもしれません。日本人の探し物の中でもダントツで多いのが「カギ(38%)」「スマホ(28%)」「財布(18%)」だそうですが(16年5月Wistiki調べ)、これらに備え付けても抵抗感がない、逆に気分がアガる一品と言えます。
100%メードインフランスである点も特徴でしょう。スマホと連動して見つかった場合のメロディーがコケティッシュで愛らしい点なども、他メーカーにはない魅力。もちろん防水仕様なので、水にぬれても大丈夫です。
1つのスマホアプリに10個のWistikiを登録できます。製品自体にGPS機能は内蔵されていませんが、Bluetoothが届く距離(直線距離で約100m以内)であれば居場所の確認ができるようになっています。
「Wistikiシリーズ」は用途によって形状と名称が異なります。ペンダントタイプの「aha!(アッハ)」、スティックタイプが「voila!(ヴォワラ)」。今回はカギやカバン、傘・自転車などに付けるのに適した形状のvoila!を試用しました。
なくし物も探せるし、逆にスマホも探せる
私自身はおそらく平均よりも忘れ物が多めなタイプ。あまりにも忘れっぽいので最近では「スマホ持ちました!」「仕事のメール返信しました!」など、ひとり言で確認するようになったほどです。だから何につけるかかなり迷ったのですが、なくして困るものNo.1のお財布に忍ばせることにしました。
ペアリング自体は非常に簡単です。まずは専用アプリの「Wistiki BY STARCK」をダウンロードし、スマホ側のBluetooth機能をオンにして製品のボタンを押します。ペアリングが完了したら、Wistikiに分かりやすい名前を付けます。
使い方もシンプルでアプリ側で指示すればWistikiが鳴り、Wistiki側を押せばスマホにお知らせ音が鳴ります。前にも書きましたが、このメロディーが無機質ではなく愛らしい点もいいんです。
この見た目とコンパクトさなら、車の鍵やスーツケースなどにもマッチしそうです。Wistikiの接近を教えてくれる「近づきアラート機能」は、空港のターンテーブルなどでも自分の荷物を見つけるのに活用できるので、出張が多い方にも便利でしょう。
Wistikiを付けたモノを紛失してしまった場合、アプリ内で「紛失届」を出すことができるのもユニークです。紛失届が出ているWistikiの近くを、Wistikiアプリを起動している別ユーザーが通りかかると、落とし主のWistiki位置情報が更新されアラートが届きます。このとき、誰が近くを通ったかはわからない仕組みになっているそうです。
製品寿命は最長2年……そこだけが残念
実際にお財布に忍ばせながらアプリを操作していて感じたのは、今まで「探し物」にかけていた時間というのは想像以上にストレスだったということです。そういう時間から解放されることは非常に心地よい経験でした。
ただし残念なのは、製品の電池交換が現時点ではできないことです。消費エネルギーがとても小さいため、内蔵電池は最長2年持つとのことですが、せっかく名前を付けたのに、電池が切れたらただのオブジェになってしまうのはあまりにもったいない!
スマホをタップした際に、Wistiki側で鳴るお知らせ用メロディーが若干小さいのも気になりました。おしゃれなボサノバが流れているカフェで、お財布の中に忍ばせている本体を呼び出しましたが、カバンに耳をよく近づけないと聞こえませんでした。
Wistiki側からスマホを呼び出す場合は、スマホをマナーモードに設定していても反応してくれるので、そこは安心感を覚えました。でも常にアプリを起動してBluetooth機能がオンになっている状態でないと、接続状態が途切れてしまう点も改善の余地あり(接続状態が途切れたときは、最後に通信を行った場所が地図上に表示されることになります)。
メーカーサイトでの直販価格は「voila!」「aha!」ともに5980円(税別)。最長2年間、お守り代わりにこの価格を支払えるかどうかがカギでしょう。お出かけ前に車のキーが見つからなくて夫婦げんかになった経験のある方や、酔っぱらった勢いでスマホや財布をなくしがちな方、ペットの行方が気になる方などには、役立つ製品だと思います。
先輩! 大切なモノをなくしてしまったときのショックって大きいですよね。でも、再び手に入れることで、絆がさらに深まることもあります。スタイリッシュなお守り「Wistiki」、お試しあれ。
女優・タレント。家電製品総合アドバイザー ゴールドグレード(AV情報家電)。元SDN48。特技は茶道、日舞、家電。FM東京「Skyrocket Company」の「家電で快適! 生活向上委員会」コーナー(毎週火曜午後6時ごろ~)にレギュラー出演中。インスタグラムのアカウント名は「natsuko_kaden」
(編集協力 安蔵靖志)
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