ニオイ対策には「汗をかけ」 2~3週間で汗腺鍛える

日経ヘルス

2017/6/11
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本格的な夏を前に、汗をかく機会が増える時期。思わず、自分の体がにおっていないかと、くんくんしてしまう人もいるかもしれない。体臭や口臭、頭皮やデリケートゾーンなど、部位別に、気になるニオイの対策を3回に分けて紹介する。2回目はニオイのセルフケアについて見ていこう。

◇  ◇  ◇

ニオイ対策の第一歩は、汗をよくかける体になることだ。よく働く汗腺ほどミネラルの再吸収力が高い。「現代人はエアコンの効いた部屋にいたり、運動不足で汗をかけなくなっている。汗腺トレーニングとしてウオーキングやジョギングなどの有酸素運動を取り入れて。2~3週間続けると、衰えた汗腺の機能は回復する」(五味クリニックの五味常明院長)

イラスト:sino

また、疲労により生じる乳酸が原因でにおう汗にも、有酸素運動は有効という。「乳酸の過剰分泌を抑えるにも、有酸素運動は有効」(五味院長)

更年期ののぼせ、ほてりや緊張時などの精神性発汗は、一度にどっと出るため、ミネラル分の再吸収が間に合わず、ベタベタ汗になりやすい。「ぬらしたタオルですぐにふき取って」(成城松村クリニックの松村圭子院長)

食生活では「肉類のとりすぎに注意。動物性たんぱく質は皮脂の分泌を増やし、加齢臭の引き金になるほか、たんぱく質が体内で分解されるときにアンモニアが発生し、肝臓で処理できないと汗のニオイの原因にもなる。また、便秘も汗がアンモニア臭になる。お通じがよくなるように食物繊維の摂取を」(松村院長)。

疲労によるニオイや、加齢臭には、「抗酸化作用のあるビタミンC、ビタミンEなどを含む食品、血液をアルカリ傾向にし、乳酸の発生を抑える梅干しや海藻類、乳酸菌などの腸内環境を整える食べ物がお薦め」(五味院長)。

デリケートゾーンは「こまめに交換」が基本

頭皮のニオイには、五味院長は塩洗髪を薦める。「塩には消臭効果があり、ナトリウムイオンの塩溶(えんよう)という作用で雑菌の温床となるフケも溶かし、洗い流す」(五味院長)

イラスト:sino

デリケートゾーンは「ナプキンを2~3時間を目安に替える。おりものシートも同じ」(松村院長)。ボディソープでゴシゴシ洗うのはNG。「膣内を弱酸性に保ち、自浄作用があるデーデルライン桿菌(かんきん)が洗い流され、雑菌が繁殖しやすい環境に。お湯洗いで十分」(松村院長)

口臭対策には、唾液の分泌をよくすることがカギ。「かむ回数を増やすだけでも唾液腺が刺激される。耳下腺、舌下腺、顎下腺のマッサージには唾液を多く出す効果がある。また、副交感神経が優位になると唾液の分泌がよくなるので、血行をよくして冷えをとり、リラックスした時間を持とう」と竹屋町森歯科クリニックの森昭院長はアドバイスする。

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五味常明さん
 五味クリニック(東京都新宿区)院長。昭和大学形成外科で形成外科学、多摩病院精神科で精神医学を学ぶ。体臭の悩みを外科的手法と心の治療の両面から解決している。体臭研究の第一人者。
松村圭子さん
 成城松村クリニック(東京都世田谷区)院長。月経トラブルや更年期障害など、幅広い年齢層の不調、疾患の治療にあたる。著書に『女性ホルモンで、ふわっと香る美人になる』(KKベストセラーズ)など。
森昭さん
 竹屋町森歯科クリニック(京都府舞鶴市)院長。MDE(メディカル&デンタルエステ)協会を設立し、唾液分泌を促進させる予防歯科を啓発している。著書に『歯はみがいてはいけない』(講談社+α新書)ほか。

(ライター 海老根祐子、構成:日経ヘルス 羽田光)

[日経ヘルス2017年6月号の記事を再構成]