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スーツから下着までオーダー可能 小田急百貨店の挑戦

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ビジネスパーソンや国内外からの旅行客で一日中にぎわいをみせる、新宿駅西口。駅前には百貨店や専門店が建ち並ぶが、1962年に開店した小田急百貨店新宿店はその代表格だ。ネット販売が主流になりつつある今、百貨店を訪れて買い物をする人が減り、実店舗としてのあり方を問われている。

そこで同店では、新宿駅西口エリアで働く40代のビジネスパーソンをターゲットにした新たな試みとして、本館7階の紳士服売り場に「ジェントルマンズ クローゼット」という自主編集ショップをオープンした。自主編集ショップとは、百貨店が独自のコンセプトに沿って衣料品や雑貨などのアイテムをそろえる店舗のことだ。

取り扱うアイテムは、国内外のブランドのスーツやジャケットはもちろん、ネクタイ、ベルトから、靴下やアンダーウエア、フレグランスまでと幅広い。しかもそれぞれサンプルを元に、1点から色や素材などを選ぶパターンオーダーができるのが大きな特徴だ。

バイヤー自ら街頭リサーチ

「これまでは小田急線沿線にある百貨店として、年代を軸にして売り場を編集してきたが、トレンドやブランドを意識した品ぞろえに重きを置きすぎたことで、他店との同質化につながってしまった。さらにネット販売が普及している状況もあり、百貨店として何が提供できるのかを考え直し、売り場を再構築しようという動きが社内で出てきた。その中で、1年9カ月前に自主編集ショップ立ち上げのプロジェクトが発足した」と話すのは、ジェントルマンズ クローゼットのバイヤー、中村要氏だ。

中村氏が最初に取り組んだのが、新宿駅西口というマーケットのニーズを調べること。延べ138人のビジネスパーソンに自らが街頭インタビューを行い、小田急百貨店の認知度や普段どこでスーツを買っているか、ランチにいくら使っているかなどを聞き、統計をとっていった。

「40代をメーンに話を聞いたが、共通していたのは、スーツはトレンド感のあるデザインよりもベーシックなものを好む傾向にあったこと。また、スーツのサイズが合っていない人も多いことから、妻が代理購入しているというケースも多く見受けられた」(中村氏)

新宿駅西口はおよそ100メートルごとにスーツ専門店が立ち並んでいると言われている。購入する際は、紳士服売り場が上階にある百貨店やショッピングセンターではなく、気軽に入れる路面展開のスーツ量販店や専門店に行くという人がイメージしていたよりも多かったのだそうだ。

「スーツにかける金額の相場は5万~7万円。ハードルの高いイメージがある百貨店を敬遠している人も多かった」(中村氏)

厳しい懐事情がある一方で、役職がつき、人前に立つ機会が増える年代でもあるので、スーツの着心地や素材に上質さを求める声も多く挙がったという。

「スーツを選ぶときに重要視するポイントとして、着心地の良さを挙げる人が多く、自分らしいおしゃれをしたいという声もあった。スーツを通勤着として捉えてはいるが、トレンドを重視していた20~30代のころとは違い、もっと心地良いものを着て、気持ちを高めたいという思いが根底の部分にあることが分かり、『心地良い』を意識した"マインド軸で編集する既製アイテム"と、"リーズナブルかつ、自分だけという特別感のあるオーダーアイテムの実現"をキーワードに売り場を編集することにした」(中村氏)

1点からOK、ほかに類を見ないパターンオーダーシステム

そしてたどり着いたのが、スーツから靴下、アンダーウエアまで、身に着けることで仕事のモチベーションが上がるようなファッションアイテムや、日々の生活空間も心地良く演出できるようなフレグランスなどの小物を取りそろえたコンセプトショップを作ること。1年以上の時間をかけて、コンセプトを共有できる工房やメーカーを探して交渉を重ね、2017年2月にジェントルマンズ クローゼットをオープンさせた。

「オーダーはハードルが高いイメージがあるが、工場と直接取引をすることで、ターゲットとする世代が購入しやすい価格帯にした。また、自分らしいおしゃれを楽しめるよう、アイテムの種類を広げた。特に雑貨はギフトとしても利用しやすくするため、1点からオーダーできるように工房と交渉を重ねた」(中村氏)

衣類のオーダーを行う店舗はあるが、雑貨類のオーダーを1点から対応するのはコスト面や手間の問題で、実現が難しいと言われている。専門店に行けば対応してくれるかもしれないが、ひとつの空間でさまざまなオーダーを取り扱うのは、新宿駅西口の百貨店や専門店を含め、ほかに例を見ない取り組みとなる。また、店舗スタッフもそれぞれに特徴がある商品について分かりやすく説明ができるよう、実際に工房を見学するなどして、知識を深める努力をしているそうだ。

現段階では、新宿駅西口のビジネスパーソンに店舗の告知をどのように行うかが課題のひとつだという。すでにFacebookで情報を発信しているが、今後は前述の西口エリアの企業とのコラボレーションや、職人を招いたイベントなどを企画しているそうだ。

百貨店の自主編集ショップとしては、新旧の顧客両方に受け入れてもらうことが重要だ。中村氏のリサーチによると、小田急百貨店の顧客はコンサバ志向が強く、単品アイテムが集積した売り場で選びたいという顧客も多いという。そんな既存顧客も満足できるように、ベーシックなアイテムをそろえ、ある程度ジャンルごとに集めて陳列。周囲の店舗との区切りをはっきりさせすぎないことで、入りやすく見やすい空間を作った。また、単品アイテムを取り扱っていることをイメージしやすい「クローゼット」という言葉をブランド名に入れた。

また、20代向けの2プライスオーダーショップ(2つの買いやすい価格帯からスーツを選ぶ販売店)と隣接しているため、落ち着いた空間にすることで差異化している。「今回は1店舗の改装なので、既存顧客に対しては少しずつ変化していくことが理想的であると考え、既存顧客向けには分かりやすく、新規顧客向けには目に留まる売り場作りを心がけた」(中村氏)

あえてシワを寄せたジャケット、メッセージ入り靴下…

ジェントルマンズ クローゼットの大きな特徴でもある、パターンオーダーは多彩だ。特に注目したいのが、スーツやジャケット以外の充実ぶり。

ネクタイは幅(6cm、8cm、9cm)、長さ(144cmまたは150cm)、生地、裏地、かんぬき留めの色を選べる。1本7000円だが、2本の場合は1万2000円で購入できる。「身長やネックサイズに合わせて長さを選ぶなど、決まったサイズしかない既製品ではできないディテールを選ぶ楽しさを感じてほしい」(中村氏)

ベルトは3種類のパターンオーダーを展開。ひとつは、帯革、ベルト幅(30mmまたは35mm)、ステッチ色、剣先デザイン、バックル形状を選べるタイプ。素材となる革は、コードバン、ブライドル、ワープロラックスの3種類から選べ、価格は1万7500円から。また、希少な北米産牛革のベンズ(腰~お尻の革)を使用し、手作業で仕上げた削りベルトは、色の選択が可能だ。また、15~20種類のバックルと25~30種類の帯革から好みのものを選ぶ、当日渡しが可能なプチオーダーも展開している。

珍しいのは、靴下のパターンオーダーだ。大阪・枚方市にある老舗靴下メーカーが手がけるブランド「つつした」のもので、通常の靴下はゴムを使用するが、履き心地にこだわり、ゴムを使わずにフィットする靴下を提案。また、肌にあたる内側部分が綿やシルクなどの高級素材のみになるように設計されている。かかとのない筒型のデザインなので、サイズを問わずフィットし、長時間履いていてもずれにくいという。

オーダーデザインは、ショート、ロング、イン5本指の3種類。二重構造のイン5本指は、外側から見ると普通の靴下に見えるもの。足のムレが気になるという人にもお薦め。デザインと30色から色を選べるカラーオーダー(3000円~)のほかに、自筆のメッセージを編み込むことも可能だ。

財布や名刺入れなどの革小物は、コードバン、ブライドル、ワープロラックスの3種類から革を選び、さらに革の色とかんぬき留めの色も選ぶことができる。また、ビジネス関連の革小物をすべて同じ素材でそろえたいというニーズに応え、クロコダイルの型押しを施したニューアルバートという素材で、ビジネス関連の革小物をそろえることも可能。共に納期は1カ月程度。こちらは定期的に素材を変えて提案するそうだ。

パターンオーダースーツは2種類。ひとつは、栃木県の「NASU夢工房」が手がけるスーツ。首まわりに吸い付く「棒衿仕立て」と言われる製法で、背骨に重心がかかるように設計されているため、長時間着ていても疲れにくい。素材によって4パターンの価格が設定されている。

もうひとつは、日本人で初めて、世界のトップクラスのモデリスト(型紙の製作から完成までをトータルプロデュースする技術者)に送られるミケランジェロ賞を3回受賞しているモデリストの柴山登光(のりみつ)氏がデザインを担う「TAP'S BOX」。バランスのとれたフィット感と美しいシルエットが特徴で、着続けていても肩がこらないように縫製されている。ベーシックな「インターナショナル」、ロンドンのビジネスマンをイメージした「ロンドンカット」、手縫いのステッチワークに特徴があるイタリア・ナポリの定番「ナポリサルトリア」の3つのスタイルから選ぶことが可能だ。

そのほか、縁のステッチの色やモチーフを選べるポケットチーフ、色を選べるフラワーピンズなど、ビジネスシーンに必要なほとんどのアイテムのパターンオーダーを展開している。革小物や衣類はメンテナンスにも対応しているので、愛情を込めて長く使っていけそうだ。

実際に売り場を見学すると、多種多様なパターンオーダーアイテムに圧倒される。ただし、もう少しそれぞれのアイテムを並べた空間に余裕があれば、ゆっくりと自分の好みのものを探せるのではないだろうか。

オープンから1カ月あまり経つが、「靴と同じ色でベルトを作りたい、スーツに合わせて帽子をオーダーしたいなど、予想以上の細かいニーズが寄せられている」と中村氏は言う。今後それらの要望にどう対応していくかが、顧客を増やすカギになりそうだ。

(ライター 小口梨乃)

[日経トレンディネット 2017年4月12日付の記事を再構成]

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