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カラオケ店、個性派が躍進 1人専用や生バンド付き

2017/5/11 日本経済新聞 夕刊

「BAN×KARA」の料金は、20~23時が平日1時間で約1500円、23~28時が約2500円と夜帯に2つの価格がある(各店舗で価格は異なる)

カラオケ業界にニューウェーブが生まれている。飲食の持ち込み自由を売りに、店舗数を急伸させる「カラオケ本舗 まねきねこ」(以下、まねきねこ)。1人専用カラオケの「ワンカラ」。バンドの生演奏をバックに歌うことができる「BAN×KARA」などそれぞれ個性を打ち出している。

◇   ◇

全国カラオケ事業者協会によると、カラオケの市場は3994億円(2015年度)と10年度から微増傾向が続いている。しかしピークだった1996年の6620億円と比べると約3分の2まで縮小。昨年は大手チェーン「シダックス」が経営の悪化から、4月から9月にかけて総店舗数の約3分の1にあたる約80店舗を大量閉鎖する事態も起きている。各カラオケ店は生き残りをかけて、他店とは違う特徴をアピールしようと躍起だ。

■飲食持ち込み自由で支持

97年に1号店がオープンした「まねきねこ」は現在、全国に約480店と、店舗数では業界トップクラスに入る。地方の廃業したカラオケ店の設備をそのまま利用して出店することで急成長し、最近では首都圏に新規で店舗を開くケースも増えてきた。「まねきねこ」が画期的だったのは、飲食の持ち込みを可能にしたこと。その結果、学生と高齢者から支持を集めることに成功。運営元のコシダカ経営企画室長の田中恵氏は、「学生はコンビニなどで買ったり、年配の方々は家で作った煮物などを持ち寄って、好きなものを食べながら楽しんでくれている」と言う。

さらに、彼らが繰り返し足を運びたくなる施策も実施。高校生は室料が無料となる「ゼロカラ」、アクティブシニアを狙い、早朝から正午までが30分10円となる「朝うた」などのキャンペーンも実施している(共に1人ワンオーダーが必要)。

「ワンカラ」の室料は平日1時間約900円で、1日通して価格が同じ

1人カラオケ専門店の「ワンカラ」は11年に東京・神田に1号店をオープン。現在は都内に10店舗を構え、今後は全国に拡大していく予定という。「ワンカラ」を仕掛けたのも「まねきねこ」と同じコシダカ。「誰にも気兼ねなく歌ってもらい、存分に歌が練習できるよう、“レコーディングルーム風”にしました」(田中氏)。室内にはミキサーを設置し、高級ヘッドホンをしながらプロ用のマイクで歌える環境が整えられている。

「BAN×KARA」は「バンドカラオケ」の略で、カラオケの曲に合わせてバンドが即興で生演奏を付けてくれる。レストランタイプの造りの中にステージが設けてあり、バンドのボーカル気分が味わえるのだ。15年にベンチャー企業のBE(東京・港)が東京の六本木にオープンして以降、都内を中心に、福岡、名古屋、札幌など全国6店舗にまで広がっている。

これらのカラオケ店が人気を集める背景には、世代や嗜好によって音楽の楽しみ方が多様化し、カラオケに対する需要も細分化していることがある。細かなニーズに応え、かつ利益を出すために、各カラオケ店にとって大きな課題となっているのが経営の効率化だ。

■客単価上がる夜間のみ営業

「まねきねこ」は持ち込み自由の代わりに、フードメニューを限定して調理場も縮小。それが人件費の節約につながったという。また室料を安く設定しているため、来店客の回転数を増やす必要があり、朝9時から営業している店舗がほとんどで、24時間営業の店まである。

逆に「BAN×KARA」はバンドマンなどの人件費がかかるため、飲食代で客単価が上がりやすい夜帯のみの営業だ。「ワンカラ」では、カラオケ以外の目的でも使ってもらおうと、オンラインの英会話レッスンを受講できる取り組みも始めた。

今後も音楽の多様化が進むことを考えると、このような新業態のカラオケはさらに勢力を増していきそうだ。

(「日経エンタテインメント!5月号」より再構成。文・中桐基善)

[日本経済新聞夕刊5月6日付]

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