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インカに「文字」? 解読の有力な手掛かり発見か

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ナショナルジオグラフィック日本版

ペルー、アンデス山脈の人里離れた村で、色とりどりのひもに結び目を付けた装置が発見された。インカ帝国で数を記録するために使われたとされる装置だが、この村のものからは、ほかの用途にも使われていたことが示唆されるという。

「キープ」と呼ばれるこの装置は、結び目の組み合わせによって数を表す仕組みで、トウモロコシや豆類といった食料の貯蔵量を記録するために使用されていた。さらに、一帯を植民地として支配していたスペインの文献によれば、歴史や伝記の記録、手紙にも使われていたと書かれているが、これまで数以外の情報が解読された例はなかった。

しかし、今回新たに発見された2つのキープは、より複雑な構造をもち、多くの情報が記録されていたことを証明できる可能性があるという。この研究をまとめた論文は、2017年4月19日付けの人類学の専門誌「Current Anthropology」誌に発表された。

「色とりどりのひもが複雑に組み合わせられていました」と説明するのは、英国スコットランド、セント・アンドルーズ大学の人類学教授であり、ナショナル ジオグラフィックの探検家でもあるサビーン・ハイランド氏だ。「14の色によって、95通りの組み合わせが可能です。95というのは、表記できる音節記号の範囲内に収まっています」

音節あるいは単語によって、色と結び目の組み合わせが決まっていたのではないかと、ハイランド氏は分析している。

何世紀も前から伝わる秘密の記録

ハイランド氏はアンデス山脈のサン・フアン・デ・コラタ村を訪れた。スペインの植民地時代から、何世代にもわたって大切に保管してきた2つのキープを調べてほしいと、村の長老たちに依頼されたためだ。ハイランド氏がその際に受けた説明では「村の首長たちがまとめた戦争の記録」とのことだった。

2つのキープは木箱に収められ、最近まで、その存在は村の外には隠されていた。同じ箱には、17~18世紀に書かれた数十通の手紙も入っていた。そのほとんどは、村のリーダーたちとスペインの植民地政府との間で交わされた、土地の権利に関する正式な書簡だ。

ハイランド氏によれば、スペインの年代記には、キープが手紙として届けられていたと書かれている。スペインと戦うインカ帝国が、秘密を守るためにキープで手紙を書いたことを示唆する証拠もあるという。(参考記事:「英国最古の書字板発掘、二千年前の「日常」伝える」

「コラタ村のキープは、作者の子孫によって手紙であることが証明された初めてのキープである」と論文には書かれている。ハイランド氏によれば、そのキープは数を記録した普通のキープより大きく複雑だという。素材も通常は綿が主流だが、新たに発見されたものはビクーニャやアルパカ、グアナコ、リャマ、シカ、ビスカッチャといったアンデス山脈の動物たちの毛や繊維で作られている。

動物の繊維は綿より染めやすく、色持ちも良いため、結び目と色で情報を記録、伝達するキープの素材として、より適している。

また、ハイランド氏はコラタ村の人々から、色や繊維の種類、さらにはひもを編む方向など、複数の要素によって情報を記録しているという説明を実際に受けた。そのため、キープを解読するには、見るだけでなく触れる必要がある。

ハイランド氏が引用したあるスペインの年代記には、動物の繊維でできたキープは「色鮮やかで、ヨーロッパの書物と同じように歴史的な物語を記録することができる」とある。

キープの模様をコンピューターで解読

コラタ村のキープは18世紀半ばのものと推測される。最初にスペインの入植者たちがやって来た1532年から200年以上も後のものだ。そこで1つの疑問が生じる。スペイン人の到来によってアルファベットを知ったことで、キープの構造がより複雑になったのだろうか? それとも、物語を伝えるキープは以前から存在し、コラタ村のキープと同じようなものだったのだろうか?

米ハーバード大学の人類学者ゲイリー・アートン氏は「歴史的にとても興味深い発見ですが、年代を特定することが非常に重要です」と述べる。「今回の発見をそのまま過去に当てはめることができるかどうかは、やはり大きな謎です」

アートン氏とペルーの考古学者アレハンドロ・チュー氏は数年前、キープの工房あるいはインカ帝国の記録保管庫だったと思われる場所で、キープの山を発見している。

将来的には、キープの模様をコンピューターで解読できるようになるかもしれないと、アートン氏は話す。アートン氏をはじめとするハーバード大学のチームは「キープ・データベース(Khipu Database)」を構築し、500を超えるキープの画像や説明、比較を記録している。

最盛期のインカ帝国では、何千、何十万ものキープが作られていた可能性がある。しかし、自然劣化やヨーロッパからの入植によって大部分が失われたのではないかと考古学者たちは考えている。現時点で存在が確認されているキープは1000にも満たない。

ハイランド氏は7月にペルーを訪れ、研究を再開する予定だ。2016年夏、現地調査の最終日、氏は1人の年老いた女性と出会った。女性は子供のころキープを使ったことがあると話した。しかし、質問をする前に、女性は家畜の世話をするため、立ち去ってしまった。

自分の目標は歴史の謎を解くことだけではない。「ネイティブアメリカンたちの知性の証しである驚くべき偉業」を明らかにしたい、とハイランド氏は語った。

(文 Daniel Stone、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2017年4月23日付]

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