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見たら必ず欲しくなる 革財布のすごいイノベーション

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毎日、当たり前のように使っている革財布。多くの人が気づかぬうちに、一部の製品が大きな進化を遂げていた。従来の財布とはまったく別の発想で作られた新世代の財布たちはどうして誕生したのか。前回のボールペンの進化(「消耗品から『高級実用品』へ ボールペン、進化の秘密」)に続き、文具を見続ける納富廉邦氏が、日本で生まれた財布のイノベーションについて解説する。

財布の形は完成されていると誰もが思っていた

「革財布」と言って思い浮かべるのは、長財布、二つ折り財布、コインケースといったところで、イメージする形状や機能も、人によって大きく変わるということはないだろう。違っていても、せいぜい、長財布がラウンドファスナー型か二つ折り型か、二つ折り財布のコインケースが付いている位置の違い、といった程度ではないだろうか。デパートの紳士装身具売り場に並ぶ財布は、革の種類や色こそ違え、ほとんどが似ていて、違うのはブランドネームと革の品質だけ、という感じだったりする。

もう長いこと、同じような形、同じような機能で作られてきた財布は、誰もがいきなり使うことができて、使い勝手も十分洗練され、何かを新しくする必要はないほどに完成されていると思われてきた。実際、誰も不便だとは思っていなかったのだ。

これまでの財布にはなかったアイデア、機能、デザイン

2001年にエムピウという小さなブランドから、一つの財布が発売された。「millefoglie」と名付けられた、その革財布は、あまりにも財布の形をしていなかった。ひっそりと売られていたこともあるが、発売後5年たった頃から、じわじわと売れ始め、今ではロングセラーのヒット商品になっている。

その財布を作ったのは、1級建築士の資格を持つデザイナーの村上雄一郎氏。財布の機能を見直し、従来の形を改良するのではなく、ゼロから「財布」を再構築して作られた製品は、コインはコイン、紙幣は紙幣、カードはカードと、それぞれとても出し入れがしやすくなっていて、しかも財布を開いたら、1方向から全ての機能にアクセスできる。つまり紙幣とコインを出す時、コインとカードを出す時、持ち替える必要がない。そして、大量の紙幣やコインを入れてもコンパクトさを失わない。革も上質な植物なめしの革で、使い込むと味わい深くなる。機能だけでなく、大人の持ち物としてデザインも優れていた。ただ、見た目が財布には見えず、革製のカードケースのように見えてしまうのは、余りにも従来の財布のイメージとは違っていたからだろう。そのデザインと使い勝手は、発売から15年以上たった今でも新鮮だ。

「millefoglie」が売れ始めた2006年前後から、様々な日本人デザイナーによる、従来の財布とは違った新しい革財布が次々と登場する。例えば、「millefoglie」とほぼ同時期には発売されていた、cyproductの「カード&コインパース」、少し遅れて、rethinkの「Lim Wallet」、バリューイノベーションの「薄い財布」など、それぞれに個性的で、それぞれのアプローチで従来の財布を見直したアイデアと機能とデザイン性を併せ持つ革財布が次々と登場したのだ。

この革財布イノベーションともいえるブームが、日本で起こったのも特徴的だ。どうやら、革の本場であるヨーロッパでは、革製品が伝統工芸品であるが故に、徒弟関係がしっかりしていて、その技術やデザインを継承し、製品としての完成度を上げていく方向が定着しているようなのだ。つまり、革財布に、新しい機能を追加することはあっても、基本構造を抜本的に変えることには、かなりの抵抗があるらしい。それは、日本の革業界も事情は同じで、これまで、そういう製品は出てこなかった。

ただ、本場のヨーロッパに比べ、日本は革業界の外の人が革製品を作ることにさほどの障害がない。だからこそ、1級建築士出身のエムピウ、プロダクトデザイナー出身のrethink、全くの素人だったバリューイノベーションなど、革業界の外から来た人たちが革製品にチャレンジすることができたというわけだ。

身近に起きているすごいイノベーション

その後も、safujiの「ミニ長財布」「キー付きミニ財布」、VINTAGE REVIVAL PRODUCTIONSの「AIR WALLET」「FLATZIP WALLET」、ルボアの「Ollet」など、個性的な革財布が次々と登場。エムピウも改良型の「millefoglie II P25」、ミニマムな「straccio」などの新作を発表、バリューイノベーションの「旅行財布」、cyproductの旅行に対応した「トラベルカード&コインケース」、リーズナブルな「カード&コインパースnaked」など、イノベーションを起こしたメーカーもまた、次々と、改良したり、新たな発想で作る革財布を発表し続けている。十分、一つのジャンルを形成するまでになっているのだ。

これらは、デパートの催事や、革小物のイベントなどで店頭に並べば、あっという間に完売するほどの人気がある。つまり、実物を見れば買いたくなるだけの魅力を備えているのだ。新しく、変わっているが故に、説明無しでは、どう使っていいか分からないケースもある。しかし、使い方が分かれば、いきなり慣れるというか、もうずっと使っていたように手に馴染み、支払いなどの動作が、とてもスムーズで楽にできることに気がつくのだ。そのくらい、即効性は高い。

しかし、これらの製品は、十分売れているとはいえ、まだ革財布というジャンル全体から見れば、一部の小さなイノベーションにすぎない。また、考案し作った人のオリジナリティーが強く反映された製品なので、他のメーカーがまねして作ってよいものではない。だから、従来の財布に取って代わるということはないだろう。

それでも、従来の財布の使い勝手の悪い部分に気がつき、それを解決するために、新しいアイデアと技術とデザインを作り出しているのはものすごいことだ。おかげで今や、財布をブランドや革の素材感だけでなく、使い勝手やデザイン、用途などから選ぶことができるようになっている。

一度、その「新しい革財布」を体験してほしい。身近なところで、すごいイノベーションがこっそりと起きていることに気がつくはずだから。

納富廉邦
 佐賀県出身、フリーライター。IT、伝統芸能、文房具、筆記具、革小物などの装身具、かばんや家電、飲食など、娯楽とモノを中心に執筆。「大人カバンの中身講座」「やかんの本」など著書多数。講演、テレビやラジオの出演、製品プロデュースなども多く手がける。

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