マネー研究所

カリスマの直言

不安だらけの未来 マネーの循環で変えたい(渋沢健) コモンズ投信会長

2017/5/8

 現代において反グローバリズムの世論が広まる中、格差社会の是正は我々の最大のチャレンジであり、責務だ。つまり「ソーシャル・インクルージョン」の考え方である。ソーシャル・インクルージョンは「社会の構成員として支え合う」という理念で、社会的包容力とも訳される。

 目的達成のためには世の中のマネーの金利を低く抑える政策だけでは不十分であり、マネーの循環が不可欠だ。マラリア感染症の制御の場合、医療サービスを普及させ、医薬品やワクチンを貧困層でもアクセスできる社会システムの構築に向けた公的・私的な財源サポートが必要となる。

 人間は地球で他の生物と共生している。ただ、人間だけが持っていて、他の動物が持っていない特長がある。それは想像力である。

■問題解決にはマネーの循環が不可欠

 チンパンジーのように知能が発達している動物は、自分が体験したことを知恵として活用する能力を持つ。しかし、チンパンジーは自分が体験していないこと、接点がない遠い森のチンパンジーのこと、自分自身が会うこともない未来の子孫のことなどは一切考えない。まさに眼中に入らないからだ。

4月末の「草食投資隊」の会合で。アフリカ料理を楽しみながら個人投資家の仲間たちと交流した

 しかし、人間には想像力がある。自分が会うこともない遠い国や将来の人々の喜びや悲しみを想像することができる。日本に目を向けると、少子高齢化社会の課題はこれからますます深刻化する。しかし、想像力を生かせば希望も持てる。

 日本の場合、特に世代間の格差問題を是正しなければ、30年に向かう未来が不安だらけになると思う。希望を持つためにはソーシャル・インクルージョンよる意識改革とともに、金融包容力ともいえる「ファイナンシャル・インクルージョン」が重要になる。例えば、若手・現役世代の長期的な積み立て投資を支援するようなことだ。私たちは弊社ファンドなどマネーの循環を通じて日本の世代間の格差是正の是正に微力ながら尽くしたいと思う。

渋沢健
 コモンズ投信会長。1961年生まれ。83年米テキサス大工学部卒。87年カリフォルニア大学ロサンゼルス校MBA経営大学院卒。JPモルガンなどを経て、2001年に独立し、07年コモンズ株式会社(現コモンズ投信)を創業、08年会長就任。著書に『渋沢栄一 100の金言』(日経ビジネス人文庫、2016年)など。

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