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睡眠

睡眠時間は固定費です 人は何時間眠ればいいのか

2017/5/30

ナショナルジオグラフィック日本版

(イラスト:三島由美子)

 ハナ肇とクレージーキャッツの名曲『スーダラ節』は50年以上も前の曲だが、昭和世代ならば植木等の歌声とともに歌詞が頭にパッと浮かぶ人も多いだろう。

 『スーダラ節』を冒頭に持ち出したのは、ある一般向けの講演会を終えた後、聴講者の一人との質疑応答の中で、この歌詞の有名な一節がその人の口から飛び出し、とても印象的だったからである。

 40代前半のサラリーマンだというその聴講者A氏とのやり取りはおおよそこうだ。

A氏「睡眠の大切さはよく分かりました。とはいえ睡眠時間がなかなか確保できないので、5時間くらいでギュッと深くて質の良い睡眠をとる方法があれば教えてください!」

私「(ガクッとしつつも気を取り直して)お忙しいのですね。ご自宅に帰るのは何時頃ですか?」

A氏「日によっても違いますが……」

 A氏の生活スケジュールを要約すると、帰宅時間は21時を過ぎる日が多く、繁忙期ともなれば23時過ぎになる。朝は6時半には起床しなければ出社時刻に間に合わない。電車通勤で往復計3時間はかかるという。日本では通勤時間と睡眠時間はものの見事に反比例するのだが、それはさておき、ご本人によれば経験的に7時間くらい眠れれば最も体調が良いとのことなので、午前0時頃までに眠るのが理想的である。繁忙期を除けば帰宅時間からみて決して不可能ではないのだが、就床するのは早くても午前1時過ぎになるという。それでは5時間くらいしか眠れないのも仕方がない。

■変える必要はない。寝不足で困っていないなら

私「帰宅してから寝るまで何をしているのですか?」

A氏「遅めの夕食をとって、妻と軽く晩酌して、ニュース番組を観ながら一息ついて……」

 もう少し突っ込んで聞くと、私用メールの返事をしたり、趣味のプラモデル作りを楽しんだり、勉強熱心な人で週に3日1回30分ほどのインターネットでのビジネス英会話講座も受けているという。なんやらかんやら毎晩3~4時間ほど時間をつぶしているとのこと。

 充実した生活ぶり。いいのである、今の生活を続けて。何も変える必要はない。寝不足で困っていないならば。

A氏「でも日中にだるさがあって、会議中に寝落ちをしてしまうことがあります……」。そのため短時間で効率よく眠る方法がないか知りたくて講演を聴きに来たという。

 残念ながらそれはミッション・インポッシブル。だって睡眠不足の人の睡眠はこれ以上ないくらい質が良くなっているから。

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