「有事の金」投資、選択肢広がる ETFや純金積立など

金ETFと並び個人投資家になじみの深いのが純金積立だ。指定した金額で毎月地金を購入する投資手法で、国内では田中貴金属工業グループと三菱マテリアルの2社が市場シェアの9割を占める。

三菱マテリアルの純金積立では、毎月の投資額を最低3000円から1000円単位で設定できる。価格変動リスクを抑えるため、金が安い日に多く、高い日は少なく買うといった手法をとる。購入額に応じ、1000円あたり25~30円の手数料がかかる。

購入した金の保管も選択できる。同社から分離して専用の金庫で管理するケースと、いったん同社に寄託してさらに運用を委ねるケースがある。前者の場合は別途保管料が必要だが、後者は不要。1年間継続するとボーナス特典で金地金が残高に加えられる。

元手超えて取引

価格変動リスクを抑え、少ない元手でより大きな金額の取引ができる市場も登場した。東京商品取引所が15年5月に開設した「金限日取引」(ゴールドスポット)だ。従来の金先物取引に比べ取引単位(1キロ)を100グラムに小口化。取引時に必要な委託証拠金も1万円弱と、先物取引の10分の1程度で済む。

この市場での取引価格は現在1グラム4500円台。1万円程度のお金で45万円ほどの金を売買でき、価格が上昇した時に得られる利益も相対的に大きくなる。

金限日取引の残高は4月下旬時点で12万6千枚(枚は最低取引単位=100グラム)と、原油先物市場の約14万枚に次ぐ東商取第2位の市場規模に成長した。

通常の先物取引と違い、決済期限がない。投資家は自分の判断で投資期間を選ぶことができる。差金決済が原則だが、委託業者によっては金地金(現物)の受け渡しもできる。

投資で得た利益に対する税制も商品ごとに違う。ETFは株式取引と同じ証券税制が適用される。少額投資非課税制度(NISA)の対象にもなっている。

純金積立の場合、交換した金を給与所得者が売却して利益が出た場合、他の所得と合算する総合課税が適用される。保有期間によって税金額も異なり、換金のタイミングが重要だ。金限日取引は外国為替証拠金(FX)取引との損益通算が可能で、申告分離課税で税率は一律20%。損失は3年間の繰越控除が可能だ。

金の価格は、米国など主要国の景気や金融政策、また地政学リスクや国際情勢で大きく動く。円建て価格であれば円相場も変動要因だ。元本は保証されない点を改めて認識し、資力に合った投資額や商品を選ぶことが大切だ。

(松沢巌)

[日本経済新聞朝刊2017年4月29日付]

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