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マツダ流「高齢者こそギリギリまで運転を」の本気度は

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NIKKEI STYLE

他メーカーに先駆け、国内で販売するほとんどの新世代商品に対して先進安全技術「i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)」を年内に標準装備することを発表したマツダ。だが、同社はその後に行った安全技術試乗会でさらなるユニークな方針を発表。それは「高齢者こそギリギリまで運転を楽しんでいただきたい」という大胆な提案だ。高齢者の事故と免許返上が叫ばれる今、その真意を、先進安全技術を担当する統合制御システム開発本部電子開発部の池田利文部長にたずねてみた。

死ぬギリギリまで運転できるのが理想?

小沢 最近のマツダって本当に面白いですよね。i-ACTIVSENCEの全車ほぼ標準装備化もそうですが、安全に対するアプローチが全く違う。まず今はやりの自動運転ですけど、「機械中心に考え、なるべくそちらに任せる」ルート1と「人中心に考え、ギリギリまで人に運転させる」ルート2があって、マツダは後者を選ぶと先ほどハッキリおっしゃいました。これって他社と全然違いますよね。

池田 ハハハ、そうでしょうか(笑)。

小沢 どのメーカーも自動運転に対して積極的でイケイケになっている今、非常に珍しい。もちろん自動運転が単なる新技術という以上に、大きな新産業になるだろうというもくろみがあるからですが、僕自身、将来自動運転がガンガン進化して定着するだろうと頭で予想しつつも、心のどこかで疑っている部分があるんです。

池田 マツダはルート2、つまり普段なるべくドライバーが運転し、裏側で常に黒子のように自動運転技術が動いていてドライバーに何かがあったときに助けるという方向。それが「コ・パイロット(副操縦士)コンセプト」です。

小沢 実は以前、マツダの藤原清志専務に話をうかがったときにも同様のことをおっしゃっていて。「死ぬギリギリまで安全に運転できるのがわれわれの理想」で、「危ないとなったときに、自動的に安全な路肩なり駐車場に止まれるクルマを作りたい」と。具体的に言うと、ご自身のお母様の運転免許を取り上げたことを、「かえって老いがグワッと進んでしまった」とすごく後悔してらしたんですね。それってすごくよく分かるんですけど、今の高齢者の免許返上の方針と真逆だと思うんです。

池田 特別変な考え方だと思いませんし、特別なデータがあるわけじゃありません。ただ素朴に考えて、クルマを運転し続けることで人の認知症なりボケを防止することは可能だろうと考えています。実際、田舎の農家で軽トラを運転している"おっちゃん"はボケにくいんです。特に広島でMT車にガンガン乗っている人は。

マツダはこれからもドライバー中心で行く

小沢 マツダは全社的にそう考えているということなんでしょうか?

池田 みんなでドドーンと「そうだよね」と考えてますし、クルマ好きのコンセンサスです。認知症防止のためにマージャンをやっているクラブもありますし、同様に運転は人に相当大変なタスクを課しています。認知、判断、操作という独特のルーチンは認知症防止にもきっと効果があるはずなんです。

小沢 藤原さんの勝手な思いつきではないと。

池田 そうです(笑)。

小沢 僕は運転に関しては性善説、性悪説みたいな部分があって、特に日本には根本的に「クルマの運転は悪である」という考えがあるなと思っています。特に行政側に。

池田 1980年代には高校生に対する三ない運動的な(バイクの「免許を取らせない」「買わせない」「運転させない」という運動)もありましたね。

小沢 高齢者の免許返上はあれと少し似ていて、危ない=運転させないと単純に考えがちですが、もっと別の方法もあると思うんです。昔であれば高校にバイク部を作って、安全に楽しく走る方法を教える方向もあったのではと。そうすれば日本のバイク市場はこれほど衰退しなかったかもしれない。

池田 それ以上に高齢者ほど運転を必要としている面があるわけですよ。例えば過疎が進む地方の集落では誰が買い出しに行くのか。もしくは病気になった高齢者を誰が病院に連れて行くのか。困っている人が多いのに、それを見捨てるわけにはいかないし、そんな困った社会にしたくないじゃないですか。

小沢 2025年には日本の認知症患者が700万人を超えるという話もあります。だからつくづく今は技術以上に考え方が大切な時代が来たと僕は思っていて、同じ自動運転時代でもそれを「なるべく完全自動運転」で推進していくのか、「なるべく自分運転」で進めていくのかで、問題の解決度合いが変わっていく。ヘタに完全自動運転ばかりに注目すると、人間の退化を進めることにもなりかねないわけです。

マツダは自動運転で稼ごうと思ってない?

池田 われわれは運転に可能性を感じています。負担や義務だけではない前向きな効果もあるはずだと。大きな会社は、完全自動運転をやってくださればいいと思います。ただわれわれみたいな小さな会社が、同じことをやっても社会に貢献できないだろうなと。

小沢 つまり、マツダは自動運転で稼ごうとあまり考えてないってことですよね?

池田 そうとも言えます(笑)。

小沢 ものすごい違いです。以前、自動運転産業に参入したDeNAさんを取材したときに、「僕らは自動車メーカーがやらないことをやる」と言っていて、免許を持っていない人たちをターゲットにするというようなことも聞いたのですが、マツダはあくまでも運転を楽しんでいる人たちをターゲットにするんですね。

池田 われわれはそこに特化して社会に貢献していくつもりです。

小沢 よくぞそこまで狙いを絞れたなと思いますね。マツダいわく「運転は人生のバイアグラだ」と言い切っちゃったような……。

池田 そこまでは言ってませんが、ウェル・エイジングのためのビタミン剤だという話ですね。今後マツダの走るビタミン剤はちょろちょろ出てくるはずです。

自動運転開発で大切なのは人間研究

池田 それと、実はわれわれの方針のほうが完全自動運転よりも技術的に面倒な部分もあるんですね。つまり機械による自動運転はドライバーがそもそも介在していないので機械が全部計算すればいい。一方、コ・パイロットコンセプトはドライバーの意識のあるなし、アルコールを飲んでいるかいないかなどの検知機能が正確でないとダメなんです。大変なのは人の状態を知ること。つまり人間研究なんです。

小沢 昔からマツダの得意とするところじゃないですか。もっとも他社はそこにAI技術を活用するみたいですけどね。

池田 AIでやろうとしている部分もあるし、人の状態がどういう部分に現れるのかという点も研究しなければならない。まだまだ全然できてませんよ。

小沢 マツダのガンコさには期待してます。頑張ってください。

小沢コージ
 自動車からスクーターから時計まで斬るバラエティー自動車ジャーナリスト。連載は日経トレンディネット「ビューティフルカー」のほか、『ベストカー』『時計Begin』『MonoMax』『夕刊フジ』『週刊プレイボーイ』、不定期で『carview!』『VividCar』などに寄稿。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)など。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、シティ・カブリオレなど。

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