ニッポン男子の家事時間 2020年までに1日2時間半に

日経ウーマン

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女性活躍推進の一環として、国は今、男性の家事・育児への参画を促している。「6歳未満の子供を持つ夫の育児・家事関連時間を2020年までに1日当たり、2時間30分とする」という成果目標もできた。

「実際、日本の男性は、先進国のなかで最も家事をやっていないのです」。こう話すのは立命館大学産業社会学部現代社会学科教授で、共働き社会について研究している筒井淳也さん。「夫婦の家事時間の差は、1週間当たり10.1時間。夫の家事は、内容的にも妻の“お手伝い程度”で、家事をする時間が少し増えた程度では、妻の負担は全く減りません」

かつては主流だった「夫が外で働き、妻が専業主婦」という在り方。1986年に男女雇用機会均等法が施行され、現在では共働き世帯数が専業主婦世帯数の約1.6倍に上る。しかし、同時期に共働きが増えた欧米、特にフランスやフィンランドでは、男女の家事時間の差は1週間で2~3時間と少ない。

「日本は均等法で、女性が男性と同じように働ける社会を目指したのに対し、フランスや北欧諸国は長時間労働そのものを見直したからです」。その結果、男性も早く家に帰ることができるようになり、自然に家事をする時間も増えたという。

さらに「日本は性別役割分業を男女共に肯定的に捉え、女性が家事をより多くこなそうとする傾向があります」。筒井さんがまとめたデータによると、シングルひとり暮らしの男性は、結婚すると家事をする頻度は激減。一方、女性は家事をする頻度が高くなる。

どうしたらニッポン男子の家事時間を増やせるのか。「まずは長時間労働を見直すことです」。筒井さんによると、フルタイムで働く共働き夫婦の家事時間は、夫婦二人分を合計しても、専業主婦家庭よりも少ない。完璧を目指すとつらい。「掃除の頻度を減らす、外食を増やすなど、妥協する点を夫婦で話し合って」。同時に、育児や介護といったケアワークは「外部の専門家に頼ることも必要です。特に介護は、身体的に大きな負担が伴います。心のケアを中心にして、後はプロに任せるようにしないと、家族の関係まで崩れてしまいます」。

そして、「夫に対して粘り強く、家事の“トレーニング”をしてください。一般的に男性は家事が不得意ですから」。

結婚で家事時間が増える女、減る男

フルタイムで働く男女の家事頻度。「夕食の用意」「家の掃除」を週に数回毎日行っていると回答した人の割合を示す。

出所:JGSS(日本版総合的社会調査)-2008から筒井教授が集計。60歳以下に限定し、パート、自営業、無職などを除いた数値。同棲している者も除く

フルタイム共働き夫婦の1週間当たりの家事時間の差

出所:『女性の労働参加と性別分業:持続する「稼ぎ手」モデル』(筒井淳也著/日本労働研究雑誌648)から抜粋

共働きの家事をラクにする3カ条

1.長時間労働をやめる

「働く時間が長すぎると、誰も家事はできません。個人でできることに限界はありますが、妻だけでなく、夫も働き方改革が重要なのです」

2.男性の家事参加には“トレーニング”を

男性にとって家事は、小学校で家庭科の授業を受けたくらいというケースが多い。「家事労働については大きな子供と同じです。粘り強く“トレーニング”するしかありません」

3.育児・介護などはプロの手を借りる

「育児や介護は家族で行うのが大事という考えが根強くあります。公的機関の支援ももっと必要ですが、プロのサポートを頼ってもいいと、考え方を変えることも大切です」

筒井淳也さん
(写真:水野真澄)
立命館大学産業社会学部現代社会学科教授。1999年、一橋大学大学院博士後期課程満期退学。博士(社会学)。2014年から現職。専門は計量社会学、家族社会学。主な著書に『仕事と家族ー日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか』(中公新書)、『結婚と家族のこれから』(光文社新書)など。

(岡本藍)

[日経ウーマン 2017年5月号の記事を再構成]

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