家族の役割を「代行」 おひとりさま着目の生前契約終活見聞録(3)

終活とは、簡単に言えば「自分の最期を託す人を見つけ、どうしてもらいたいかを伝えること」だ。かつて家族の代表的な姿だった三世代同居なら、子や孫たちとコミュニケーションをとる機会は多く、終活についてさほど深刻に考える必要はなかった。

だが、少子化・核家族化が進んで、後を託す家族が近くにいないケースが増えた。子どもがいなかったり、いても離れて住んでいたり、中には頼りたくないという人もいるだろう。そんな高齢の「おひとりさま」が増えている。高齢夫婦だけの世帯もその予備軍だ。彼らの間で注目されているのが、身元保証や財産管理といった生前の事務や、葬儀や納骨などの死後の手続きについて、元気なうちに指示しておく「生前契約」だ。

身元保証、生活支援、死後の手続き…

「家族の役割引き受けます」「死後の支払い引き受けます」。こんなうたい文句を掲げるのは、NPO法人の「りすシステム」(東京・千代田)だ。日々の暮らしの中で求められる手助けや、死後に必要な様々な手続きを、契約を結んで請け負う。1993年に設立された同法人は生前契約の老舗とされる。会員数は累計で約5000人に上る(うち存命の人は約3300人)。国内各地で月1回程度説明会を開いており、参加者は主に60~70代。最近では50代も増えている。夫婦でやってきた人も含めて約7割を女性が占める。

りすシステムの説明会。家族に頼れない人に対して、生前と死後の様々なサービスを提供する

りすシステムの前身は90年に発足した「もやいの会」。当初、跡継ぎがいない人を対象にした合葬墓(がっそうぼ。血縁を超えた人たちで一緒に入る共同墓)を手掛けていた。だが、会員から「ひとりで入れるお墓ができても、お骨はひとりで歩いていけない。だれがお墓に入れてくれるのか」との声が上がり、墓に入るまでの手続きや自宅の片付けなどを引き受けるため、りすシステムを立ち上げた。現在では、死後だけでなく、身元保証のほか、日常生活や療養看護といった生前の業務も含めて、メニューは多岐にわたる。「あなた流の生、自己責任の死をサポートします」と代表理事の杉山歩さんは話す。

名古屋市が発祥のNPO法人「きずなの会」は2001年の設立。現在は中部・東海・関東の14カ所に事務所を構え、事業を展開する。「身元保証」「生活支援」「葬送支援」を柱に掲げており、病気やけがなど緊急時のサポートから、葬儀・納骨に至るまで生涯にわたる幅広い支援を手掛けている。契約者は70~80代が多いが、最近は50~60代も増えている。「新規加入は年間で800~900人に上る」と話すのは東京事務所長の杉浦秀子さん。契約者は累計で約9500人。この中には亡くなった人も含まれており、存命者の比率は半分弱だ。

三世代同居減り、増える単身の高齢世帯

高齢のおひとりさまの増加が目立つ。2010年の国勢調査では、65歳以上のひとり暮らしの人数は男女合計で479万人と、5年前に比べて24%増えた。未婚率の高まりもあって、今後も増加が見込まれており、35年には762万人に達すると予測されている。

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