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キャリアの原点

破綻寸前の離島、今は生徒数が倍増 町ぐるみの大改革 島根県海士町長 山内道雄氏(下)

2017/5/6

「外から来る人たちに、お金を落としてもらって生活が成り立っている。だったら、もっと外の目を意識しないといかんでしょう」

 本土と島をフェリーと高速船が結んでいますけれども、近隣の島はまず、この船賃に関して島民割引を実施した。当初、海士町だけこの島民割引をやらなかったんです。4月から国の「離島航路運賃補助制度」の適用になりましたから導入しましたけれど、正直、あまりいい施策だとは思っていません。

 島の人間だけが割引されると知ったら、外から来る人たちがどう思いますか? いい感じがするわけがないでしょう。

 私たちは今、外から来る人たちに宿泊してもらい、島にお金を落としてもらって生活が成り立っている。島を維持するためには、外貨を稼がないと。だったら、もっと外の目を意識しないといかんでしょう。

 というわけで、まあ課題はたくさんあります。海士町に挑戦事例はいくらでもありますが、成功事例はまだない。

■辞書を片手にカタカナを調べる

 町役場には東大卒も京大卒もいますが、挑戦をやめたらすぐにつぶれます。必要なのは熱意・誠意・創意。熱意というのは学歴を超える。これは志ですから。やはり、ネットでどんな情報をつかめるようになっても、自分なりのものを持たないとダメでしょう。

 その気になって調べますと、使える国のメニューはいくらでもあります。国も地方に手をあげて使ってほしいと思っている。ただ税金を使うだけではなく、町民一人ひとりが豊かになれる仕組みづくりを考えたい。

 なにしろ、今はカタカナばかりでしょう。わからない言葉が出てきたら、そのたびに、字引を開いて見とります。恥をさらすようだけど、その点では年を感じます。カラオケに行ってもね、若い人が歌う曲は全然違う。私の世代は演歌ですから。春日八郎とか三橋美智也なんて言ったって、わからんでしょう。

 そういう意味ではだいぶ時代と合わなくなってきたなとも思うし、正直、限界も感じてはいます。だけど、ない知恵は人からもらうしかない、借りるしかない。とにかく、こんな遠いところまで取材に来ていただいて、本当にありがたいことだと思っています。

 今後とも、いろいろと教えてください。あれですな、今度東京に行ったときにでも一緒に飲みますか?

山内道雄
 1938年、島根県海士町生まれ。日本電信電話公社(現NTT)通信機器営業支店長、第三セクター「株式会社海士」総支配人を経て、95年、海士町議に当選。2期目に議長就任。2002年、町長に初当選。現在は4期目。単独町制を選択し、大胆な行財政改革と地域資源を活用した「攻め」の戦略で島おこしに奮闘している。

(ライター 曲沼 美恵)

「キャリアの原点」は原則木曜日に掲載します。

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