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2020フォーラム

「義足ランナーが健常者を抜く」 為末大さんが描く夢 為末大さんと遠藤謙さんの対談から(上)

2017/5/12

元五輪陸上選手の為末大氏(右)と義足開発ベンチャー、サイボーグ(東京・渋谷)の遠藤謙社長はアスリート向けの高性能義足を開発している

 2020年の東京パラリンピックに向けて、足に障害のある陸上選手でも高性能の義足を履くことで五輪選手より速く走れるようにするプロジェクトが進んでいる。元五輪陸上選手の為末大氏と義足開発ベンチャー、サイボーグ(東京・渋谷)の遠藤謙社長がタッグを組む。スポーツとテクノロジーという異なる分野の2人がなぜこのプロジェクトを始めたのか、その先にどんな未来を見ているのかを聞いた。(聞き手は運動部 摂待卓)

 ――2人が競技用義足の開発に取り組むきっかけは何だったのでしょうか。

 遠藤 2008年に米国の大学で日常生活で用いる義足の研究をしていたとき、たまたま南アフリカのオスカー・ピストリウスという義足の陸上選手の走りを見る機会があった。彼はその後、08年の北京パラリンピックで金メダルをとることになるのだが、「いずれ義足のランナーが健常者を追い抜き、世界最速になるのではないか」と思った。そのポテンシャルを感じて、競技用義足の開発をしたいと思うようになった。

サイボーグの開発した義足を履いて走る佐藤圭太選手。リオのパラリンピックにも出場した

 12年に日本に帰ってくると、知人であるIT(情報技術)ベンチャーの社長から「ピストリウスや義足について為末大と話してみないか」と言われた。それがきっかけだった。

 為末 当時、ピストリウスのインパクトは大きかった。「健常者が負ける時代がくる」という予測をする人も出てきた。人間は走るときに足の筋肉に力を入れて着地すると、足自体がゴムのような状態になって、体重を押し返すエネルギーを使って自分を前方に運ぶ。走るという行為は、この繰り返しだ。その性能がよいと、我々は「バネがある」という言い方をする。これは先天的なもので、アキレスけんなどを入れ替えることはできない。でも、「入れ替えられるのではないか」というのが、ピストリウスの走りを見たときの率直な意見だった。

 そんなとき遠藤と会い、話をした。現役時代は自分の足でやっていたことだが、それに器具が加わると、世界はもっと可能性が広がって面白いと思った。それが入り口だった。

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