ポケGOやカーナビはなぜ位置がわかるの?

スーちゃん 友達の家に行った帰りに、迷子になりそうになっちゃった。どこにいるのかがすぐわかるといいのにね。車のカーナビゲーションシステム(カーナビ)やスマートフォン(スマホ)は位置を教えてくれるけど、どうなっているのかな。

4つの衛星からの電波を目印にするよ

森羅万象博士より 自分の今いる場所を知ることは、大昔からとても大事だったんだよ。砂漠(さばく)を歩いたり海を船で渡ったりする場面を思い浮かべてごらん。昔は星や太陽がみえる方角から今の居場所を知り、進む方向を決めていたんだ。もう少し時代が進むと磁石の働きで北の方角がわかる方位磁針ができ、より手軽に分かるようになったよ。

今は、車ならカーナビがあるよ。地図を映したモニター画面で、「ここですよ」と教えてくれる。スマホでは、画面の地図に現在地を示すよ。スマホ向けゲーム「ポケモンGO」では、観光スポットでキャラクターが出てくるよね。スマホの位置がわかっているからだよ。「GPS」という技術ができたおかげだよ。

GPSは日本語では「全地球測位(そくい)システム」というよ。遠くの星や太陽をながめる代わりに、宇宙にある人工衛星から地球に届く電波を目印に、地球上の居場所がわかるんだ。地球からずいぶん離れた衛星でカーナビやスマホが世界のどこにあるのかがわかるなんてすごいね。

4基の衛星が協力しているんだよ。スマホならば、まず内部の受信機が衛星から電波を受け取る。電波は衛星が送った時刻からわずかに遅れてスマホに届くよ。電波は1秒間に約30万キロメートルの速さで進む。電波に書き込んである送信時間との差から衛星とスマホの距離(きょり)がわかる。

その距離だけ衛星から離れた位置にスマホがあるよ。衛星を中心にその距離を半径とする円を書いてみよう。円のどこかにスマホがあるけど、どこなのかわからないね。電波はあちこちに飛ぶから、実際は衛星を中心とした球の表面のどこかにあるんだけどね。

そこで2基目の衛星を使うんだ。この衛星の電波からもスマホまでの距離がわかる。さらに3基目の電波も使い、場所を絞り込むよ。3基それぞれから、電波で測った距離だけ離れた地点を調べると、地球の上にあるスマホの場所にたどり着くよ。

3基の衛星はとても遠い。それぞれが持っている正確な時計とスマホの時計には時刻にずれができてしまう。4基目の衛星をたよりに、ずれを直すよ。

地球のどこにいても使えるようにしたのが米国のGPSだ。戦争でミサイルを狙った場所に飛ばすのに役立つんだって。どこからでも衛星が利用できるように、地球の周りに30基ほど打ち上げているよ。

米国以外の国々も同じような衛星を打ち上げている。「GPS」といっても、米国の持ち物とは限らないよ。位置を測る衛星システムを、みんなが「GPS」と呼ぶようになったんだ。ロシアは「グロナス(GLONASS)」、中国は「北斗」、欧州は「ガリレオ(Galileo)」だよ。

日本にも「みちびき」という衛星があるよ。日本からオーストラリアまでの上空を飛んでいるようにみえるよ。でも今はまだ1基しかないから、日本で正確な位置を知るには、米国のGPSの電波も参考にしないといけないね。

でも、みちびきは日本の真上を飛んでくれるから便利なんだ。山奥やビルの陰になる場所では、GPSの電波が飛んできてもさえぎられてしまうときがあるよ。そんなとき、みちびきは、頭の上から電波を送ってくれるので、山の間やビルの谷間にいても受け取りやすいんだ。

日本も衛星の数を増やしていけば、米国のGPSを使わずに日本生まれの衛星だけで居場所が分かるようになるよ。

GPSが正確になるほど、生活は便利になっていきそうだね。人を乗せて自動で走る「自動運転車」だったら、位置が詳しく分かると車線の変更やカーブがうまくできるよね。

田んぼを耕す農機も、無人で動かす研究が始まっているよ。イネを踏まないように進み、収穫したり肥料をあげたりできそうだね。ほかに、小型無人機(ドローン)を案内し、離れた島々に住む人に荷物を運ぶ研究もあるよ。

■進む日本版GPS、誤差数センチに

博士からひとこと 政府は、日本版GPSとも呼ぶ準天頂(じゅんてんちょう)衛星「みちびき」の拡充を進めている。みちびきは、日本からオーストラリアまでの上空を8の字を描きながら飛んでいるようにみえる。1基しかない今は、日本国内でみちびきの電波が受け取れるのは1日約8時間だけ。ほぼ米国のGPSの電波で位置を測っている状態だ。
政府は2017年度中に新たに2~4号機の3基を打ち上げ、みちびきを4基体制にする計画。まず2号機を6月1日に種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げる。
みちびきは4基体制になると、少なくとも1基はいつも日本の上空にいるようになる。日本各地で電波を受信しやすくなり、位置を精度良く測れるようになる。位置の誤差が数センチメートルにおさまるのが特長の1つだ。一人ひとりの居場所が正確にわかる精度だ。
23年度ごろには7基体制に増やす計画もある。米国のGPSが使えなくなっても、みちびきだけで位置がわかるようになる。

(取材協力=内閣府、宇宙航空研究開発機構(JAXA))

[日本経済新聞夕刊2017年4月22日付]

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