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シャープ、100万台狙う旗艦機 一皮むけたスマホ戦略

佐野正弘のモバイル最前線

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NIKKEI STYLE

シャープは2017年4月18日、新しいスマートフォン(スマホ)のフラッグシップモデル「AQUOS R」を発表した。これまでの、キャリアの影に隠れたやや受け身的な姿勢から、より自律的なスマホメーカーへと大きな転換を果たすための戦略的な製品だ。

キャリア依存から"自立"を目指す新戦略

シャープはSIMフリー市場向けにもスマホを提供してはいるが、基本的には国内の大手3キャリアに向けてスマホを提供するビジネスが中心だ。しかもほぼ国内専業である。

そのためシャープのスマホ事業は、国内キャリアの戦略に依存する傾向が強かった。それを象徴しているのが端末の名称だ。例えばNTTドコモ向けに「AQUOS ZETA」として出しているのとほぼ同じ製品が、au向けでは「AQUOS SERIE」、ソフトバンク向けでは「AQUOS Xx」といったように、各キャリアに配慮してあえて異なる名付けをしていたのだ。

それに対して、AQUOS RではキャリアやSIMフリーなどの販路を問わず「AQUOS R」という統一のブランドで販売するとしている。そもそも、キャリアの新製品発表会より先に、自社の新製品発表会を実施すること自体、これまでのシャープの取り組みを考えればかなり異例なことだ。キャリアから販売されるのかどうかさえ、発表会では明かされなかった。

もう1つ大きな変化がAQUOS RではAndroidのアップデートを2年間保証すると明確に打ち出したことだ。従来はAndroidのアップデートよりも、キャリアがプリインストールするアプリ群の動作保証を重視する傾向が強く、その検証のためにAndroidのアップデートが遅れたり、諦めたりするケースも少なからずあった。

だがAQUOS Rは、キャリアから販売されるモデルであっても、2年間のアップデートを保証するとしている。こうした姿勢からも、シャープがキャリアに依存した従来の姿勢を、大きく変えようとしていることがわかる。

「IGZO液晶」を高度化し快適な使い心地を実現

AQUOS Rの内容を確認しよう。シャープの新しいフラッグシップモデルであり、同社の技術をフルに活用した高い性能と、快適な操作性を実現しているのが特徴だ。中でも力が入れられているのは、やはり同社の技術を活用した液晶ディスプレーの高度化だ。

AQUOS Rに搭載されている5.3インチのIGZO液晶ディスプレーは、従来のフルHDよりもより高い解像度のWQHD(2560×1440ピクセル)をIGZOとしては初めて実現。さらに液晶テレビの技術を活用し、色の再現範囲を広げる「リッチカラーテクノロジーモバイル」を取り入れるなどして、より実物に近い、鮮やかな色味を再現したとしている。

見た目の美しさだけでなく、実用性の面でも高度化が図られている。実際、AQUOS Rのディスプレーは、前機種(「AQUOS ZETA SH-04H」など)と同様、表示速度が従来の倍となる120Hz駆動に対応しているのに加え、見やすさを向上させる新たな工夫を取り入れることで、残像を抑えスクロール中の文字がしっかり読めるなど、より滑らかな表示と高い反応速度を実現。加えて水にぬれた状態でも操作ができるなど、単なる防水を超えた利便性を実現している。

このほか、AQUOS Rはクアルコムのハイエンドモデル向け最新チップセット「Snapdragon 835」を搭載し、メモリーも4GBと、従来より大容量のものを採用。ソニーのXperia XZ Premiumなどと並んで、現時点でのほぼ最高峰の性能を達成している。

自撮り派などにむけ、カメラは「広角」にこだわり

もう1つ、大きく進化したのはカメラだ。AQUOS Rは背面に2260万画素のメインカメラを備えているが、大きなポイントとなるのは超広角のレンズを採用し、90度の画角を実現していること。また自分撮り用のインカメラにも、1630万画素という高い画素数のカメラを採用し、さらに自撮り棒を使わなくても数人が同時に入っての撮影が可能なくらい、広角のレンズを採用しているという。

広角であることに力を入れる理由について、シャープのIoT通信事業本部パーソナル通信事業部商品企画部長の小林繁氏は、「スマホの写真は構図を考えて美しく撮るよりも、見たままのものを残すことが重要。目の前にある風景を空気感ごと残すため、超広角のレンズを採用した」と話している。特にインカメラの広角レンズは、自撮りを頻繁に使う若い女性などに大きく受ける可能性がある。

そしてもう1つ、重点が置かれているのが人工知能(AI)である。シャープは以前より、スマホにAIを取り入れ、親しみのあるアシスタントシステム「エモパー」を搭載しており、現在も60万人がエモパーを利用しているという。

そして今回のAQUOS Rでは、エモパーの活用シーンをさらに広げるべく、専用の充電台「ロボクル」を提供するとのこと。これは単なる充電台ではなく、AQUOS Rをセットするとインカメラで利用者を探して振り向き、さまざまな通知をしてくれるというもの。「ハロー、エモパー」と呼びかけることでも振り向いてくれるので、エモパーとの対話を楽しむことも可能なことから、よりエモパーをロボット的に活用できるようになったといえるだろう。

AQUOS Rは、シャープが持つさまざまな技術によって使い勝手の良さが大きく高められている。購入者の満足度は高いだろうと筆者は感じている。シャープはAQUOS Rの販売台数目標を100万台と設定。かなりの自信を見せる。

今後はSIMフリー市場向け戦略に注目

シャープにとって大手キャリアは重要な販路であり、長年の取引で信頼関係も構築している。にもかかわらず、シャープがキャリアに依存した戦略から自立を図ろうとしているのはなぜなのだろうか。

最近の市場環境の変化が大きく影響しているのだろうと筆者は見る。総務省はここ数年、MVNOの競争力を高めて料金競争を加速させるべく、従来のキャリアの商習慣を大きく変える措置を次々と打ち出した。特に、16年4月に「スマホの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を出してスマホの「実質0円」販売が事実上禁止されたことから、より安価な料金を求めて"格安"なMVNOなどのサービスにユーザーが流出する傾向は、日増しに強まっている。

少子高齢化で携帯電話契約数の大きな伸びが期待できない一方、総務省の施策によりユーザーの流出が進んでいる。そうしたことから大手キャリアだけを相手にしたビジネスだけでは、いずれ行き詰まると判断。キャリア向けのビジネスは継続して重視していくものの、そこに依存するのではなく、自らのブランドを明確に打ち出して新たな販売の方向性を模索していきたいというのが、AQUOS Rで戦略を変化させた大きな狙いといえそうだ。

それだけに今後シャープに期待されるのは、スマホの販路をどのようにして拡大していくかだ。ロボホンのように全く新しいデバイスを提供するというのも1つの方向性として考えられるだろうが、より現実的な所でいえば、SIMフリースマホ市場に向けた取り組みが注目されるだろう。

シャープは既に、5インチディスプレーを搭載したスマホ「AQUOS SH-M04」や、フィーチャーフォンの「AQUOS ケータイ SH-N01」などをSIMフリー市場向けに提供している。だが「arrows M03」で多くのMVNOへの販路と安定した人気を獲得している富士通コネクテッドテクノロジーズと比べると、SIMフリー市場に向けた踏み込みがいまひとつ弱いのも事実だ。

それだけに、AQUOS Rで明確な方針転換を図ったシャープが、17年にSIMフリー市場に力を入れて製品投入を進めてくるのかどうかは、大いに気になるところ。"一皮むけた"シャープのスマホ戦略が、がぜん楽しみになってきた。

佐野正弘
 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

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