外出時は帽子や日傘を。特に、頭髪が薄くなっている人は、紫外線の影響を受けやすく、頭に皮膚がんを発症するリスクがあります。皮膚の露出の少ない衣服を着用するのもいいでしょう。黒っぽい色で、目の詰まった繊維のものなら、紫外線を通しにくくなります。紫外線や近赤外線をカットする素材を使用した衣服もあり、近赤外線を防御するものは皮膚温度の上昇も抑えるため、涼しく感じるメリットもあります。

日焼け止めは「SPF30」「PA++」を

――日常的にサンスクリーン剤を使うのが理想ということですが、選び方や使い方のポイントを教えてください。

サンスクリーン剤は主に、紫外線を反射・散乱させる紫外線散乱剤と、紫外線を吸収して皮膚への影響を軽減する紫外線吸収剤の2剤をうまく処方することで作られています。製品に「SPF」「PA」と表記されているのを見かけたことがあると思いますが、これは紫外線の防御効果の指標で、次のような意味があります。

ただし、これらの指標の効果は、適した量を塗ることで発揮されます。適量は皮膚1平方センチメートル当たり2mg。これはかなり多く感じられるので、実際に製品を使ってもらうと、多くの人がその半量程度しか塗っていません。適量を守れていれば、日常的には「SPF15」「PA+」の製品で十分ですが、適量より少なくなりがちな人は「SPF30」「PA++」の製品を選ぶといいでしょう。

野外でのレジャーやスポーツを楽しむときはそれでは不十分なので、「SPF50」「PA++++」といった効果の高いものを、少し厚く感じるくらいに塗ってください。汗をかいたり、拭いたりした場合は、塗り直します。汗や水に強いウオータープルーフのものもありますが、落とすときに強くこすりがちなので注意が必要です。

また、製品には様々なタイプがありますが、必要な量がしっかり塗りやすいのはクリームや乳液タイプです。化粧品に慣れない男性などには、しっかり塗れて使い心地が軽いジェルタイプもおすすめです。スプレータイプは手軽な一方、噴霧の際に拡散して十分な量が塗布しにくいため、補助的に使った方がよいでしょう。

肌の状態は印象を左右する

――川島先生は、ビジネスパーソンにこそ、光老化対策が重要と指摘されています。そこには、どんな真意があるのでしょう。

私はビジネスパーソン、特に、対外的に重要な役割を担ったり、人と接する機会が多かったりする人は、若々しい肌を維持してほしいと思っています。それは、肌の状態がその人の印象を左右することになるからです。シミやシワ、イボなどが多いとどうしても、人はマイナスのイメージを抱きがちです。欧米の政治家やエグゼクティブなどはそれをよく理解していて、肌のケアに注力しています。

一方、日本ではまだまだ意識が低く、光老化啓発プロジェクト委員会(NPO法人皮膚の健康研究機構)が実施した調査では、日常的にサンスクリーン剤を使用していると答えた人は、女性でも24.4%、男性では3.2%でした。全く使用していない人は、女性で17.3%、男性では70.5%に上っています。「光老化」という言葉の認知度にいたっては、男女合わせて4.2%に過ぎませんでした。先述したように、肌の老化は光老化が8割の原因を占めています。今すぐに、日常的にサンスクリーン剤を使うなど対策を講じれば、3年後、5年後の肌が違ってきます。すでにシミなどができている人でも、それ以上の悪化や皮膚がんの予防のためには光老化対策が必要ですし、皮膚科で治療することもできます。シミの場合は健康保険(公的医療保険)の適用外ですが、レーザー治療が有効です。イボの場合は、保険診療が認められるケースもあります。

見た目の問題だけでなく、シミの場合はほかのものより色が濃い、形がいびつ、かゆみや痛みがあるといったとき、イボの場合は急に大きくなる、出血するといったときには、皮膚がんが疑われることもあります。その場合は、皮膚科を受診してください。

川島眞さん
 東京女子医科大学皮膚科学教室教授、講座主任。1978年東京大学医学部卒業。パリ市パスツール研究所への留学、東京大学医学部皮膚科講師などを経て92年東京女子医科大学皮膚科主任教授に就任、現在に至る。専門はアトピー性皮膚炎、ウイルス感染症、美容医療。『美肌の教科書 ~「最新皮膚科学」でわかったスキンケア84の正解~』(主婦と生活社)など著書多数。日本皮膚科学会代議員、日本美容皮膚科学会理事長。

(ライター 田村知子)

[日経Gooday 2017年4月24日付記事を再構成]

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