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定員たった18人 「個室仕様」夜行バスの贅沢を体感

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NIKKEI STYLE

日経トレンディネット

ジェイアールバス関東と西日本ジェイアールバスが2017年3月31日、新型夜行高速バス「ドリーム ルリエ」の運行をスタートした。東京-大阪間で48年の歴史を持つドリーム号の中で「最上のくつろぎ」をうたい、1台の定員はわずか18人。従来の「グランドリーム号」の定員28人よりも少なく、そのぶんゆったりとした座席配置となっている。

老舗のJRバスに対し、ここ10年で向こうを張る規模まで急成長を遂げたウィラー エクスプレス ジャパンも、同年2月に同じ18人乗りの新型車両「リボーン」を投入。同社の平山幸司社長は「これからは快適なだけでなく、休息できるかどうかが重要」と強調する。

なぜ両社とも「18人乗り」にたどり着いたのか。そして、その実力は? リボーンで一夜を過ごし、その快適性を確かめた。

ポイントはシート以外にある?

旧・国鉄バス時代から48年間運行を続けている「ドリーム号」。これまで様々なシート配置のバスが導入されてきたが、今回のドリーム ルリエへの力の入れ具合はこれまでにないものといえる。当面は1往復の運行にとどまるにもかかわらず、イメージキャラクターとしてAKB48の横山由依を起用。記者発表会まで開かれた。

座席は前方の4席が通路を挟んで左右1列だけの「プレシャスクラス」。後方の14席が3列独立シートの「アドバンスクラス」。プレシャスクラスの料金は1万4000~1万8000円と新幹線並みの一方、アドバンスクラスは1万400~1万2500円で新幹線より安価に設定されている。席数は限られるが、アドバンスクラスは乗車日前日まで9800円で買える「早売1」もある。

ただ、どちらの座席も実は新開発のものではない。プレシャスクラスのシートは「プレミアムドリーム号」に設置されている「プレミアムシート」(1万1500~1万3300円)にレッグレストのヒーターを追加したもの。アドバンスクラスのシートは「グランドリーム号」の「新型クレイドルシート」(8000~1万円)のリクライニング機能を向上させたものだ。

ポイントはシート以外にある。「従来はシートで差異化を図ってきたが、よりプライベート空間が必要だと考え、個室感を加えた」(西日本ジェイアールバスの宇都宮道夫社長)。プレシャスクラスでは、通路と後ろの座席との間にそれぞれパーティションを設置。アドバンスクラスでも、座席の左右にパーティションを設置し、座席前後はカーテンで仕切るようにした。加えて、シートピッチも1m以上に広げている。

なぜ18席になったのか?

従来からあるフリーWi-Fiや充電用コンセントに加え、全席にiPad mini 4を設置したのも目新しい。夜行高速バスでは本来、消灯後のスマホやタブレットの利用は、睡眠を妨げるのでご法度。しかし、パーテーションなどで光漏れが防げるため、採用に至ったという。タブレットでは「dマガジン」や「Abema TV」が無料で見られる。料金は「新幹線を当然意識しつつも、従来のシートに付帯サービスが加わったぶんを上乗せした」(宇都宮氏)という。

1台に2つの座席クラスを配置した背景には、運行コストとの兼ね合いがある。これまでのプレミアムシートは2階建てバスの一部に設置。大部分は3列または4列シートにすることで、定員を32~34人とし、採算を合わせてきた。この2階建てバスの更新時期を迎えているが、「現在は国産の2階建てバスが生産されておらず、輸入車を導入するにもクリアすべき課題が多い」(宇都宮氏)。そのため、1階建てのハイデッカー車にせざるを得ない。

ただ座席数が減れば、当然1席当たりの料金は上がる。1月から同じ東京-大阪間で運行を始めた「ドリームスリーパー東京大阪号」(関東バス、両備ホールディングス)は、1台11席の完全個室が売りだが、料金は新幹線のグリーン車を上回る片道1万8000~2万円。従来からの高速バスユーザーは、新幹線より安価で効率的に移動できることに価値を見出しており、ここまでの料金を払うのは躊躇(ちゅうちょ)するだろう。一方、事業者にとっては高額な座席を空席のまま走らせるリスクも減らしたいところ。長年の歴史を持つ老舗事業者がたどり着いた最適解が、2列シートと3列シートを組み合わせた定員18人だったようだ。

ウィラー「リボーン」に乗ってみた

JRバスに先行する形で新型車両を導入したウィラー。こちらは3列シート1種類だけで18人乗り。「リボーン」の愛称で、17年2月17日から東京-大阪間を1往復している。料金はドリーム ルリエのアドバンスクラスと同程度の1万800~1万5000円だ。3列シートながらも、シートの左右をFRP製のシェルで覆ってプライバシー感を確保。リクライニングすれば、前後左右の乗客が気になることはないとうたう。この辺りはJRバスと共通する思想だ。

こちらも相当に気合が入っており、これまでピンクを基調としたパステルカラーがトレードマークだった車体を、シルバーに青いストライプに改めてイメージを一新。「これまでメーンターゲットとしてきた若い女性だけでなく、ビジネスパーソンに乗ってもらいたい」(ウィラーの平山氏)からだという。

座席のスペックを見る限り、寝心地は良さそう。ただ、気になる点が2つあった。1つは、車内にトイレが付いていない点。数時間おきに立ち寄るパーキングエリアでトイレ休憩を行うというが、それによって睡眠が妨げられないのか。そしてもう1つは、完全消灯を行わないという"決断"だ。深夜は室内灯を消すのが一般的だが、「真っ暗で不安になるという声もあった」(平山氏)。そこで完全に消灯せずとも安眠を誘う調光を採用したのだという。果たしてその効果は本当なのだろうか。

そこで、運行開始から間もない2月下旬、ひと晩乗ってみることにした。大崎駅西口バスターミナルを23時30分に出発し、バスタ新宿を経由して大阪へと向かう「W134便」だ。出発時刻の10分ほど前に入ってきた車両の外観は、これまでのウィラーのバスとは大きく異なる。前述のように塗装が一新されたのに加え、車高が高い「スーパーハイデッカー」となったからだ。従来のハイデッカー車と比べて車高が約15cm高くなっている。そのぶん床面もステップ1段分上がり、室内へ伝わるエンジン音が軽減されているという。

車内に入って驚くのが、椅子の大きさと通路の狭さだ。座面の幅は59cmで従来の座席とさほど変わらないが、左右をシェルで覆っている関係で、意外に横幅を取っているのだ。通路を普通に歩くと両肩がシェルにぶつかるほどで、荷物を持った乗客はみな体を斜めにして、横歩きで奥へと入っていく。座席は1列と2列があり、それぞれ「独立席」「2列席通路側」「2列席窓側」という名前で販売されている(ウィラーの公式サイトの場合)。今回座ったのは、2列席通路側。腰かけてまず感じたのが、最大の売りであるプライベート感の高さだ。座れば左右どちらも衝立で覆われているので、隣の客の存在はほとんど気にならない。独立席でなくても、その点は遜色ない。

休憩は2回だけ、フルフラット感覚は魅力

ただ、座席はやや狭い。よく言えば身体にフィットしているのだが、左右の余裕がない。加えて気になったのが、左右の肘掛けの細さだ。手のひら全体を置くことはできないうえ、右側については電動リクライニングのコントローラーと干渉してしまうのだ。また、荷物の置き場所が少ないのもマイナスポイント。荷棚は、左右の窓側だけでなく、中央の列の頭上にも増設されている。それ自体はありがたいのだが、「上着、コート専用で重量のあるものは載せないこと」と注意書きがあった。大きな荷物は預けるとしても、身の回りの物を入れた小さなバッグくらいは持ち込みたいもの。やむなく記者は足元に置くことにした。ちなみに隣の客は前席から引き出せる大型テーブルの上にバックパックを置いていたが、揺れなどで下に落ちる可能性もあり、あまり勧められない。

荷物の置き場所などに苦慮しているうちに、バスは出発。乗客4人でバスタ新宿へと向かう。室内灯がすべてついた状態で30分ほど走り、バスタで残りの乗客を拾う。新宿からの乗客が多く、全18席が埋まった。通路が狭く、乗り込む乗客の肩や荷物がシェルに当たる度に、「ゴンッ」と意外と大きな音が出る。軽いFRP製のためと思われ、走行中の軋み音も含めて改良の余地があると感じた。

新宿を出ると、詳細な運行予定がアナウンスされた。トイレ休憩は40分ほど走った海老名サービスエリア(神奈川県)とその後1時間半ほど走った清水サービスエリア(静岡県)の2カ所とのこと。そのほか、2回ほど停車するものの、車両の点検のためなので降りられないとのことだった。2時間前後の間隔で休憩を取ると思っていたのでややビックリ。そして、海老名までは少し光量を下げて走り、海老名出発後に睡眠用の明るさにするという。その後、通路の蛍光灯が消され、補助の照明と足元灯だけになった。

暗くなったので、背もたれを倒して寝る体勢にしてみた。リクライニング角度は156度。シェル型なので背もたれが後ろに倒れるのではなく、座面がせり出す形で角度が付く。深くリクライニングできるシートはほかにもあるが、後ろの人を気にせずにフルリクライニングできるのは大きな強みだろう。さらにレッグレストを上げれば、前席の下部にあるフットレストと一体化し、まるでフラットシートのような感覚。足に負担がかからず好印象だ。寝る体勢になれば肘掛けの狭さもさほど気にならないことに気付いた。肘掛けは文字通り「肘を掛ける」ためのもので、腕は身体の前で組むなどすれば、自然な形になった。

座席選びは安眠重視かトイレ重視かで変わる

唯一不満なのが、電動リクライニングの操作パネル。寝る体勢にするためには、背もたれは下向きの▼、フットレストは上向きの▲を押さなければならない。背もたれは下げ、フットレストは上げるからなのだが、最初は混乱してしまった。飛行機のビジネスクラスのように、連動して動くボタンがあればよかったようにも思う。

操作性には課題が残るが、寝心地は悪くない。ウトウトしているうちにバスは海老名サービスエリアに到着。ここでトイレ休憩の後、いよいよ本格的な深夜走行に入る。本線に合流した後、完全消灯ならぬ「寝る照明」に切り替えられた。果たして寝られるのか。

結論から言うと、寝るにはやや明るい印象を受けた。海老名までの照明と同様、通路側の補助灯と足元灯はそのまま。違いは、2列席の窓側の席を照らす青白いLED照明が消えた点だった。結果、2列席の窓側はほぼ真っ暗。しかし足元灯が意外に明るく、通路側の席には光が入ってきた。気になる場合は、座席に備え付けてある使い捨てのアイマスクを使うほうがいいだろう。

バスはその後、清水サービスエリア、岡崎サービスエリア(愛知県)、甲南パーキングエリア(滋賀県)で停車。早朝の甲南PAでの停車は本来降りられないはずだが、どういうわけか照明が明るくなり、トイレに行けるようドアも開けられた。隣席の乗客がトイレに行きたいということで、リクライニングをいったん戻して対応。もし記者が熟睡していたら、どうやって通路に出ればいいのだろうか。

リボーンに9時間乗って分かったのは、3列ある席の長所と短所だ。乗る前は、通路へのアクセスが圧倒的に不利なことから2列席窓側が"ハズレ"だと思っていたが、実はそうではなかった。寝るということを考えれば、通路の照明がほとんど届かないのでベスト。独立席は、照明はやや気になるものの、隣の客に睡眠を邪魔されることがないので、まあお薦め。熟睡したいか、休憩時に気兼ねなくトイレに行きたいかで選び分けるといい。

いまいちなのは2列席通路側で、照明がやや気になるうえに、窓側の席の人が通路に出る場合は、その度にリクライニングを戻すなどの対応をしなければならない。ただ、車内にトイレがないので、睡眠が妨げられる可能性があるのはトイレ休憩のときに限定されるのが、救いといえば救いではある。

(日経トレンディ 佐藤嘉彦)

[日経トレンディネット 2017年4月10日付の記事を再構成]

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