2017/4/27

直接の教育費ではありませんが、小学校低学年から高学年に成長するにつれて、食費の負担が増えることも見逃せないと八木さんは指摘します。「家計簿を付けていても子供1人当たりの食費をチェックするわけではないので気がつきにくいのですが、1年生のときに1人当たり平均で年間25万円程度だった食費が、5~6年生になると30万~31万円程度に増えます(*)。じわじわとボディーブローのように家計に影響し、それまでの食費の予算ではやっていけなくなります」。教育費に全力投球せず家計に一定の余裕を持たせておかないと、思うように貯蓄もできなくなりそうです。

(*)内閣府「インターネットによる子育て費用に関する調査」(2010年)より

教育費は世帯の手取り年収の15%以内が目安

ではどんな対策を取ればいいのでしょう。「教育費への取り組みは大学までの長期戦。受験の学年を迎えるたびに塾などの費用がまとまってかかり、最終的には大学の学費の準備が必要です。資金ショートせずにこれらの節目節目を乗り越えるには、どの時期にお金を重点的にかけるのか戦略を練る必要があります」

戦略を練るにはまず、わが家の家計がどの程度の教育費の負担に耐えられるかを知ること。「子供が中学生以下なら、純粋な教育費(学校教育費と、塾や習い事などの学校外活動費)は世帯の手取り年収の15%以内に抑えるのが一つの目安です」。子供が1人でも2人以上でも上限は15%です。手取り年収は給与所得者であれば源泉徴収票などを使って計算できます。計算方法は下図のとおり。夫の分と妻の分をそれぞれ計算して合算すると世帯の手取り年収が出ます。

※「特別徴収税額決定通知書」など名称は自治体による

例えば世帯の手取り年収が500万円なら、教育費にかけられるのは年間75万円までとなります。「この金額がわが家の教育費の予算のベースになります。教育費は受験のある年とない年ではかかり方が変わるので、受験のない年は10%に抑えて、受験のある年は20%までかけるなど柔軟に配分を変えても構いません」。教育費が抑えられた年は浮いた分を貯蓄に回しましょう。「貯蓄に回す割合は世帯の手取り年収の1~2割が目安です」

親心から、教育費はつい聖域になりがちですが、家計に見合った負担を心がけるという考え方は先々を考えると大事です。「やむをえず子供に奨学金の負担をかけるとしても、最低限で済むだけの計画性は持ちましょう」

教育方針や教育費のかけ方を子供と話してみる

もう一つ、八木さんが勧めるのが子供とお金の話をすること。「子供も小学生までは親の言うことを素直に聞いてくれます。ここでわが家の教育方針や費用のかけ方をお子さんにもわかる言葉で繰り返し話し、価値観を共有しておくと、中学、高校と進んだときにも子供はそれに沿った行動をとってくれるようになるはずです」

「子供にお金の話をするなんて」と抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、例えば「小学生のうちは○○ちゃんに伸び伸びと過ごしてほしいから塾に行かず中学は公立にして、そのかわり高校受験のときには塾にしっかり通って私立も選択肢にするからね」とか、「習い事にお金をかけられるのは2つまでだから、本当にやりたいことを選ぼうね」などといったことを話すわけです。

親子の話し合いを通じて時には子供にも何かを選ぶ練習をさせると、大事なことを選択する力が子供につくと八木さんは話します。長い目で見ると、それは子供の自立の一助にもなります。「それぞれの親御さんの考え方があるとは思いますが、一度試してみてはいかがでしょうか。教育費をかけられないから『できない』ではなく、お金をかけなくても『できる』といった話を親子で共有できると、たくましく生きる力につながると思います」

(ライター 萬真知子、構成 日経BPコンサルティング 「金融コンテンツLab.」)

[参考] 日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」(http://consult.nikkeibp.co.jp/sp/money/)は、難しくなりがちなお金の話題を、分かりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信に当たっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。

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