コーヒー楽しむ最新家電 今、こだわり派が選ぶなら
毎朝、自宅でコーヒーを楽しんでいる人は多いだろう。最近では「ブルーボトルコーヒー」に代表される、豆や入れ方にこだわったサードウエーブコーヒーが、日本にも上陸し、新たなコーヒーブームが訪れている。日本コーヒー協会による、コーヒーの需要表でも国内消費量は2011年より右肩上がりで、4年連続の最高記録を更新。資料によれば、ハンドドリップでコーヒーを楽しむ、こだわり派が増えているという。
コーヒーには入れるとき、豆をひくとき、さらに豆選びや焙煎(ばいせん)など、多くの段階でさまざまな選択肢があり、何を選ぶかによっておいしさが変わってくる。
そこで今回は、最新家電を使ってコーヒーを楽しむ方法を解説する。こだわりのレベルに応じて、「1.手軽にコーヒーを入れる」「2.ハンドドリップで入れる」「3.コーヒー豆のカットにこだわる」「4.焙煎と生豆選びにこだわる」という、4段階でそれぞれにあった製品を紹介していこう。
全自動コーヒーメーカーでコーヒーを入れる
「コーヒーを入れる」という作業はいわば最終工程だ。とにかく手間をかけずに、おいしいコーヒーを飲みたい場合、1つだけこだわるといい。それが「ひき立て」を飲むということ。つまり、コーヒーメーカーを選ぶときに、ミル機能を搭載した全自動タイプを選ぶのがポイントだ。
コーヒーは、生豆を焙煎して、そしてひいて抽出できる。この焙煎後の時間経過と保存方法、そしてひく過程で味や香り、風味は変化し、失われていくのだ。このためコーヒーにこだわるなら粉で購入するのではなく、焙煎豆を購入して、飲むときにひくのがポイントになる。全自動コーヒーメーカーなら、豆をひくのも自動できるので、手間を掛けることなく、こだわりのコーヒーが飲めるというわけだ。
コーヒーメーカー自体は安いモデルなら数千円からあるが、ミル機能を搭載した全自動タイプは1万円台から選択できる。
◎オススメ家電「豆から挽けるコーヒーメーカー MJ-CM1」
豆からひける全自動コーヒーメーカーの中でおすすめしたいのが、今、注目を集めている、無印良品の「豆から挽けるコーヒーメーカー MJ-CM1」だ。コーヒーミル専用機などでも採用されることの多い、フラットカッターミルを採用し、コーヒー豆を均一にカットすることが可能。ひいたコーヒー豆にハンドドリップのように斜めにお湯を落とすことで、よりおいしく抽出できるという。
タイマー機能も搭載しており、夜の間にコーヒー豆と水をセットしておけば、指定した時間にひき立てのコーヒーが飲める。朝の一杯をより手軽に、おいしく飲めるわけだ。ちょっと高価ではあるが、それだけの価値はあるといえる。実際、人気も高い。現在は予約販売という形になっており、購入までは数カ月待つことになるという。
ハンドドリップでコーヒーを入れる
コーヒーメーカーを使わずにコーヒーを入れる場合、ハンドドリップすることになる。サーバーの上に、ドリッパーを置き、さらにフィルターをセット。そこにコーヒー豆を入れて、お湯を注いでいく。
このハンドドリップについては、ドリッパーやフィルターの選択肢にも多くのこだわりがあるが、残念ながら家電ではない。そこで、ここではケトルを紹介しよう。
コーヒーをハンドドリップで抽出する場合、できるだけお湯を細く、ゆっくりとコーヒーの粉に落として、蒸らすのが一般的だ。このため、コーヒー用のケトルは注ぎ口が細くなっている。一般的な電気ケトルやヤカンの注ぎ口では一度にたくさんのお湯が出てしまうため、おいしく抽出できないのだ。
コーヒードリッパーにゆっくりとお湯を注ぎ、フィルターの上でコーヒーの粉が作る泡が膨らみ、しぼんでいくのを待つ。その後、中央部を回しながら、フィルター側面に付いたコーヒー豆の壁を壊さないように注ぐことで、コーヒー豆の成分をしっかりと抽出できる。
◎オススメ家電「BALMUDA The Pot」
ハンドドリップで、お湯を注ぐ器具として、おすすめしたいのが、バルミューダの「BALMUDA The Pot」だ。前述のとおり、コーヒーの抽出に向いた細いノズルを採用。視認性の高いハンドル部に、沸騰中を示すLEDを配置するなど使い勝手にこだわった製品。細いノズルは、コーヒードリップに最適な細さでお湯を注げるだけでなく、カップ麺などを作るときには、大きく倒すことで、勢いよく注げるのが便利だ。
コーヒー豆をひく/オススメはカット式の電動ミル
ハンドドリップでコーヒーを入れるときに欠かせないのが、豆をひく、コーヒーミルだ。
ミルには手動の安価なものからプロ御用達の本格派まで多くの製品がある。週末など時間に余裕があるときにゆっくりとコーヒーを楽しむなら手動のミルでじっくり豆をひくのも楽しいが、忙しい朝にコーヒーを毎日飲むために買うなら、電動ミルを用意したい。
電動ミルも数千円から数万円まで幅は広い。低価格な電動ミルの多くはすりつぶし(グラインド)式を採用している。それに対して3万円を超えるミルでは(前述のMJ-CM1のように)カット式を採用している。すりつぶし式ではコーヒー粉に熱が入ってしまったり、コーヒーの粉の大きさにムラが出やすいのが難点。その点、カット式は多くの量を素早く、均一なサイズにひける。
◎オススメ家電「パーフェクトタッチII CG-5B」
価格と機能のバランスを重視するなら、メリタの「パーフェクトタッチII CG-5B」。低価格ながら石臼刃を採用しているのがポイントだ。ただし、粉が内部やケースに残りやすいことや、使用頻度が高いと寿命が短いという声も多い。ただし、低価格なので割り切って使える。初めてミルを買うという方におすすめだ。
◎オススメ家電「ナイスカットG」
一生モノをと考えているなら、カリタの「ナイスカットG」がオススメ。カット刃を採用しており、すばやく均一にひけるのがポイント。業務用同様のデザインは、コーヒー好きにも魅力的なはずだ。
豆を焙煎する/世界チャンピオンの味を再現
通常、コーヒーにこだわるといっても自宅でできるのはひくこと、入れることくらいだ。しかし、「コーヒーのおいしさの8割は生豆の品質と焙煎によって決まる」ともいう。そのため、どこでどんなコーヒー豆を買うかが最も重要になる。
この「豆選び」という段階に関して、ちょっとユニークな製品、というかサービスが登場した。それがパナソニックの「The Roast」だ。これは、「スマート焙煎機」と、毎月コーヒー豆が届く定期頒布がセットになったもの。焙煎機単体では購入できず、定期頒布も含めたサービスに加入する必要がある。このサービス名が「The Roast」になる。
◎オススメ家電(サービス)「The Roast」
「The Roast」では、生豆パックが毎月届き、それを好みに合わせ焙煎できる。生豆はそれぞれ異なる産地のものが200グラムずつ届く仕組みだ。
面白いのは焙煎の仕組み。生豆パックのパッケージに掲載されているQRコードを専用のスマートフォンアプリで読み取ることで、焙煎プロファイルがダウンロードでき、浅煎りから深煎りまで、2、3種の焙煎具合を選んで焙煎できる。
コーヒー豆の焙煎は、水分含有量をはじめとするさまざまな条件を見極めて行うため、高い技術と経験が求められる。「The Roast」の焙煎プロファイルは、焙煎世界チャンピオンに輝いた福岡の豆香洞コーヒーオーナー後藤直紀氏が担当。つまり、誰でもどこでも、世界チャンピオンの技術と経験で焙煎したコーヒー豆が手に入るというわけだ。
さらに毎月届くコーヒー豆は、老舗コーヒー豆商社である、石光商事が世界中のコーヒー産地から36種類(月3種の場合)を厳選したもの。これを2~3種類のプロファイルで焙煎できるため、家にいながら100種近くの味わいが楽しめることになる。
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「The Roast」で焙煎したコーヒー豆を、カリタの「ナイスカットG」でひき、「BALMUDA The Pot」でハンドドリップする。家庭でできるコーヒーのこだわりの究極の姿だといえるかもしれない。
入れる、ひく、そして焙煎にこだわる。あくまでコーヒーは嗜好品。だからこそ、どこまでこだわるかはその人次第だ。毎日のことだから、手軽に、できる範囲でこだわるのもいいし、週末だけ徹底してこだわるというのも方法だ。ただし、こだわりが深くなれば、なるほど、見えてくることは広がっていく。コーヒーにはそれだけの面白さがある。
毎日の、そして趣味のコーヒーを、自由な形で、こだわって、楽しみたい。
兵庫県出身。デジタル&家電ライター。PCからスマホ、デジタルガジェットから、家電製品とそれらに関するビジネスまで幅広く執筆活動も展開。ユーザー視点で実際に触ってテストするレビュー記事を多く手がける。また、企業のアドバイザーや、コンサルティングも行っている。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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