全自動コーヒーメーカー対決 プロの技をボタン1つで

左から無印良品「豆から挽けるコーヒーメーカー MJ-CM1」、象印マホービン「コーヒーメーカー珈琲通 EC-NA40」、パナソニック「沸騰浄水コーヒーメーカー NC-A56」
左から無印良品「豆から挽けるコーヒーメーカー MJ-CM1」、象印マホービン「コーヒーメーカー珈琲通 EC-NA40」、パナソニック「沸騰浄水コーヒーメーカー NC-A56」
日経トレンディネット

引っ越しや転勤など、春は新生活が始まる季節。そんな新生活に導入したいのがコーヒーメーカーだ。コーヒーはおいしいだけでなく、目覚めを助け、集中力を高めてくれる朝に最適なドリンク。しかも、現在は「サードウエーブ」と呼ばれるコーヒーブームでもある。

ちなみに、コーヒーはブームによって好まれる内容が少し変わってくる。最初の「ファーストウエーブ」では、喫茶店の流行によりコーヒーが広がり、次に「セカンドウエーブ」ではカフェラテやアレンジメニューが人気となった。そして、現在のサードウエーブのキーワードが「スペシャリティーコーヒー」。厳選した豆をその場で挽き、一杯ずつ丁寧にいれるコーヒーが好まれている。

とはいえ、おいしいコーヒーをいれるには、豆を蒸らしたり、湯をゆっくりと注いだりと意外に時間がかかる。そこで注目したいのがコーヒーメーカーだ。特に、お薦めするのが、豆挽きから自動で行う全自動コーヒーメーカー。豆は挽いた瞬間から酸化が加速して香りが飛び、おいしさが損なわれてしまう。しかし、全自動タイプならばコーヒーの抽出直前に豆を挽くので一番おいしいタイミングのコーヒーを楽しめるのだ。

そこで、今人気の全自動コーヒーメーカー3モデルを実際に使い、その味や使い勝手をチェックした。

今回試用した全自動コーヒーメーカーは以下の通り。

◎ハンドドリップを再現した無印良品

無印良品といえば、シンプルでおしゃれなデザインと実用性のバランスの良さから、幅広い層に人気のブランド。そんな無印良品が満を持して、2017年2月に発売したのが「豆から挽けるコーヒーメーカー MJ-CM1」だ。ミルには高コストなフラットカッターミルを採用。さらに、豆の蒸らしや熱湯の温度、注ぎ方などは、プロのハンドドリップの方法を再現している。

良品計画「豆から挽けるコーヒーメーカー MJ-CM1」(実売価格 税込み3万2000円)。本体サイズ:幅14.5×奥行28.5×高さ34.5cm、本体重量:約4.4kg、容量:520ml(約カップ3杯)

◎自分好みの抽出が選べるパナソニック

全自動の先駆けともいえるのがパナソニックのコーヒーメーカーだ。「沸騰浄水コーヒーメーカー NC-A56」の特徴は、コーヒーを抽出する水に注力していること。抽出前に、あらかじめ沸騰させたお湯を活性炭フィルターに繰り返し通して利用する。抽出容量が約670ml(約5杯)と、今回試用したなかで一番容量が多いのもポイント。ミルの自動洗浄機能など、使いやすさにもこだわっているほか、重量が3kg以内と、高性能ミル式全自動コーヒーメーカーとしては軽量なのも魅力だ。

パナソニック「沸騰浄水コーヒーメーカー NC-A56」(実売価格 税込み1万8440円)。本体サイズ:幅22×奥行24.5×高さ34.5cm、本体重量:2.9kg、容量:670ml(約5杯)

◎コーヒーカップに直接抽出できる象印

象印マホービンの「珈琲通 EC-NA40」は、ステンレスのマホービン仕様のサーバーを採用。ヒーターで保温しないのでコーヒーが煮詰まることなく保存できる。また、今回試用した3製品のうち、唯一カップなどにコーヒーを直接抽出できる。内部の自動洗浄機能を搭載するほか、ミルケースまで外して丸洗いできるなど、使い勝手の良さも評価が高い。

象印マホービン「コーヒーメーカー珈琲通 EC-NA40」(実売価格 税込み2万1980円)、本体サイズ:幅24×奥行25×高さ37.5cm、本体重量:4.5kg、容量:540ml(最大カップ4杯)

ミルの性能は粉が“均一”かどうかがポイント

全自動コーヒーメーカーでチェックしたいのは、コーヒー豆をひくミルの性能。粉の粗さにバラつきがあると抽出にムラが出てしまう。均一にひけるかどうかが重要だ。

◎豆を挟み込むようにひく無印良品

多くの全自動コーヒーメーカーが「プロペラ式」を採用するなか、無印良品の「MJ-CM1」は高コストで場所をとる「フラットカッター」ミルを使用。豆を挟み込むように挽くため、粉が均一に挽きやすく、摩擦熱が発生しにくい。このため、豆の香りを損ないにくいというメリットもある。ちなみに、今回試用した製品のなかで、この商品のみミルだけを使う設定がある。普段はコーヒーを抽出し、時間に余裕がある週末にはひいた粉でハンドドリップを楽しむといった使い方もできる。

細びき設定でひいたところ、大きめの破片もところどころに見えた。ただし、グラインド時に熱が加えられにくいためか香りは非常に良く、粉状に粉砕された豆が少ないのも優秀。

円盤状のカッターで豆を挟んで破砕するフラットカッターを使用
本体正面のダイヤルで、粉の粗さを粗びきから細びきまで5段階で設定可能

◎2種類のひきを味わえるパナソニック

パナソニックのミルは、一般的なプロペラ式を採用。プロペラ式は高速回転する刃で豆を粉砕するミキサーのような仕組みなので、どうしても粉のサイズにバラつきが出やすい。しかし、本製品はひいた後の粉をメッシュフィルターでふるいにかける。このため、プロペラ式ながら、粒の大きさが比較的均一な粉を使用可能だ。また、メッシュフィルターは「粗びき」と「中細びき」の2種類が用意されているため、異なるひき方を味わえるのも特徴。

実際に中細びきフィルターを使ってひいてみたところ、大きな豆の破片はなかった。ただし、粉状になった豆が多くみられた。

ミルは豆容器内に格納
粗さの異なる2種類のメッシュフィルターを付属

◎装着の仕方で2種類のひきを調整できる象印

象印もプロペラ式のミルを採用している。また、粉をふるいにかけるためのメッシュフィルターも同じく採用。面白いのが、メッシュフィルターの半分が中細ひき、残り半分が粗びきとなっている点。フィルターの装着方法で2種類のひき方を調整できる。

実際に中細びきフィルターを使ってひいてみたところ、大きな破片はなかった。ただし、やはり砕けすぎた粉のような部分も多くみられた。

ミルカッターは、ミルケースを外して露出させることも可能
ミルケースにフィルターを装着することで、2種類のひきを楽しめる

特徴が際立つドリップスタイル

コーヒーをいれるための準備は、いずれの製品も「水をタンクに入れる」「豆を入れる」「ドリップ用ペーパーをセット」する3工程。それぞれの製品に、湯温やドリップ方法などの特徴がある。ここでは、甘みと酸味のバランスが良いアラビカ豆「ミャンマー 星山 ピーベリー」を使って試飲した。

◎プロのハンドドリップの技を再現する無印良品

無印良品は抽出する湯温を87℃に管理。また、30秒の蒸らし時間をつくることで酸味と苦み、香りを引き出すのが特徴。6つの穴から中心に向かって斜めにお湯をシャワーすることで、膨らんだコーヒー粉のドームを崩さずに抽出ができるなど、プロのハンドドリップの技の再現を目指している。

ミルの設定は中びきを使用。最初の一口の印象はマイルド。豆の香りと味はしっかりしているが、比較的さっぱりとした印象
本体下部のヒーターで、サーバーの保温も可能。ただし、コーヒーが煮詰まらないように、保温は20分で自動的に切れる

◎カルキを90%以上カットするパナソニック

パナソニックはあらかじめ沸騰させた湯を、活性炭フィルターに繰り返し通すことでカルキを90%以上カット。水にもこだわっている製品だ。また、抽出方法で味を変えることも可能。蒸らし時間の違いなどで「マイルド」と「リッチ」のコーヒーの味を選択できる。

中細びきメッシュで「マイルド」コースを使用。爽やかで非常にキレがあり、ごくごくと飲めそうな味

◎高温の湯でドリップする象印

象印はヒーターで2回湯を温める「ダブルヒーター」と「マイコン余熱」により湯温を95℃に設定。さらに、湯の経路を余熱することで、高温の湯でのドリップを実現。コーヒーのうまみを抽出できる。また、抽出方法は「普通」「濃い」から選択可能。

中細びきの「普通」で抽出。どっしりと重めのコクのある味で苦みも強め。ミルクメニューなどにも相性の良さそうな味だ
本体にヒーターはないが、ステンレスサーバーにコーヒーを落とすので数時間は温かいまま。もちろんコーヒーが煮詰まることもない

メンテナンスのしやすさも重要

毎日コーヒーを飲むなら、洗うパーツの少なさや、メンテナンスのしやすさも重要となる。

無印良品は、毎回洗うパーツはドリッパーとサーバー、そしてシャワー部の3つ。今回試用したなかで一番洗うパーツが少なく、手軽にメンテナンスできた。一方、毎回ではないが定期的な掃除が必要なミルの掃除は少々面倒。水を使わずにブラシで粉を落とすのだが、粉が飛び散りやすく周りが汚れやすい。

コーヒーをためるサーバーと、紙フィルターをセットするドリッパーを洗浄
粉やコーヒーが飛び散るので、ペーパータオルなどでシャワー部も拭く

パナソニックは、ミルを自動洗浄しながらコーヒーを抽出するため、洗う必要があるのはバスケット、バスケット用のふた、メッシュフィルター、サーバーの4カ所。ミルの洗浄が必要ないのは手軽だが、豆容器が取り外せないので内部に豆や粉が詰まった場合に洗いにくいのが少々面倒だ。

毎回洗う必要があるパーツはこの4点。ミルの周りをカバーする豆容器は取り外すことができない

象印もミルの自動洗浄機能を搭載している。また、今回試用したなかで唯一、付属サーバーなしでもコーヒードリップができるので、サーバーも必ず洗う必要はない。ただし、ドリッパーが断熱のためにバスケットと2重になっていることから、毎回洗う必要があるパーツは5カ所。今回試用した製品のなかでは、一番洗うパーツが多い。

毎回洗う必要があるのは、フィルターケースにドリッパー、ミルケース、メッシュフィルター、フィルターケースふた。ミルケースが外せるのは衛生的でうれしい

ライフスタイルに合った製品を選ぶ

コーヒーを飲むシチュエーションは生活スタイルや家族構成などによって異なるだろう。このため、コーヒーメーカーを選択する場合は、自分の暮らしに合った製品を選ばないと使いづらくなる。例えば、家族や来客用など、多めの杯数を抽出する場合は、抽出容量の多いパナソニックがお薦め。

一方「朝にまとめて抽出して、半日かけてゆっくり飲む」という人なら、ステンレスサーバータイプの象印が、味も劣化しにくく使いやすい。また、象印の製品にのみ「付属サーバー以外の入れ物にもコーヒーを抽出可能」という大きな特徴がある。カップに直接コーヒーをいれたり、ステンレスマグに直接コーヒーをいれて、会社などに持って行くといった使い方ができるのは便利だ。

背の高いステンレスマグも直接セット可能
直接カップに抽出する場合は付属の台で高さを出すので、コーヒーが跳ねにくい

一方、パナソニック、象印のどちらともまったく異なるアプローチで作られている全自動コーヒーメーカーが、無印良品。個人的に注目したいのが水を入れる容器だ。一般的なコーヒーメーカーは、水タンクから水を吸い上げ、本体内部のボイラーで湯を沸かす。しかし、無印良品はタンク自体が湯沸かし容器となっている。水容器の中が毎回加熱されるので、タンク内部の雑菌の繁殖を気にすることなく使えた。そして、もう一つ注目したいのが、無印良品は今回レビューした製品のなかで、唯一タイマー搭載機であること。挽き立てのコーヒーの香りで目覚められるのはうれしい点だ。

もちろん、使い勝手だけでなく、デザインやメンテナンスのしやすさ、あるいは、好みの味で選択してもよいだろう。

(文・写真 倉本春)

[日経トレンディネット 2017年4月13日付の記事を再構成]

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