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あんパンで知られる「木村屋総本店」創業家の出身ながら、フランスパン専門店「メゾンカイザー」を立ち上げたブーランジェリーエリックカイザージャポン(東京・港)の木村周一郎社長。2001年、東京・高輪に小さな店をオープンしたものの、看板商品のバゲットはさっぱり売れなかった。1日100本焼いても、売れたのはたったの14本。従業員との関係もぎくしゃくした。悩んでいたある日、「とにかく一度、軽井沢へ来なさい」と知人に声をかけられた。そこで出会ったある先輩経営者から受けたアドバイスが、一皮むける原点となる。

◇   ◇   ◇

東京・高輪に店を開いた当初、僕はしょぼくれていました。パリにあるような本格的なパンの店を目指し、本場のバゲットを売ろうとしても、さっぱり売れなかったからです。

1日18時間はザラに働いていました。じつを言いますと、店を開いてから10年間、休みをとったことはありません。最初の頃は「僕はこんなに一生懸命に働いているのに、君たちはどうしてそんなにダラけているんだ」という態度で接していたために、従業員との関係もぎくしゃくしていました。

先輩経営者に一喝される

そんな時、ホスピタリティをテーマに講演活動やコンサルティングをしている力石寛夫さんから、「軽井沢でセミナーを開くから来なさい」と誘われました。子どもの頃からかわいがっていただいている方ですから、心配してくださっていたのでしょう。僕はその頃、時間的・精神的余裕もなく、セミナーなんか行っている場合じゃないよと思い、いったんはお断りしたのですが、「とにかくおいで」と強く誘っていただき、しぶしぶ出かけて行くことにしたのです。

本場のバゲットを売ろうとしても、当初はさっぱり売れなかった(メゾンカイザー高輪本店)

本場のバゲットを売ろうとしても、当初はさっぱり売れなかった(メゾンカイザー高輪本店)

1泊2日の研修に参加していたのはそうそうたる経営者ばかり。当時の僕にはあまりにまぶしく、「こんなかっこいい話なんて聞いても参考にならないや」と、ますますしょげたい気持ちになりました。そんな僕に、懇親会の席で声をかけてくれた方がいた。スターバックスを日本に持ち込んで育てた角田雄二氏と、サザビーリーグの創業者、鈴木陸三氏のご兄弟です。

「何をそんなしょぼくれた顔をしているんだ」と声をかけてくださったお二人に対して、僕は正直に、その時の気持ちを打ち明けました。すると、すぐに「バカか、お前は」と一喝された。

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