4Kテレビ放送 18年開始も難問山積み、本当に必要?西田宗千佳のデジタル未来図

スカパー!4Kのチューナーを内蔵したソニーの4K液晶テレビ「Z9D」

もうひとつが、18年12月1日以降にスタートが予定されている、放送衛星(BS)と110度CSを使った4K/8K放送だ。より大規模なもので、こちらが「本命」といっていい。17年4月1日から試験放送が始まったところだ。ただし、この試験放送は本当に「試験」なので、一般の消費者の手持ちの機器では視聴できない。

BSと110度CSは、これまでも使われており、聞いたことがある人が多いだろう。しかし少々分かりづらいのだが、BS・110度CSでの4K・8K放送については、現在のアンテナは使えない。衛星は同じだが、伝送方式が異なるからだ。

現在のBS・110度CS放送では「右旋円偏波(通称・右旋)」という方式が使われている。この方式での伝送帯域はすでに多くの領域を使っており、4K・8K向けに新たな放送を追加できない。そこで、今とは逆の「左旋円偏波(通称・左旋)」という方式を使うことで、同じ帯域の中に従来の方法と4K・8K放送の両方を集約する。だから、4K・8K放送をすべて受信するには。左旋に対応したアンテナが必要になるのだ。4月1日から始まったのはこの「左旋」での放送のテストである。

BSではNHKと民放系各社、WOWOWに加え、ショッピング系のQVCとショップチャンネルが放送を行う。110度CSは、スカパー!が使う。このうちNHKのみが8Kでの放送を予定している。現在有料で放送しているチャンネルは有料で、無料のチャンネルは無料での放送になる。

ちなみに、放送というと「全局一斉開始」が多かったが、今回は違う。ほとんどの局が18年12月1日から開局であるのに対し、BS日テレが1年後の19年12月1日に、WOWOWが2年後の20年12月1日に放送を開始する。

4K放送の開始スケジュール(出所:総務省)

集合住宅や録画など懸念事項山積

少々分かりづらいが、要は「すでに始まっているスカパー!・プレミアム系」と、「18年以降にスタートするBS・CS系」がある、と思えばいい。

どちらにしろ、4K放送の受信には「専用チューナー」と「アンテナ」の準備が必要である。18年以降のサービスについてはまだ詳細が決まっていないため、現在販売されている4Kテレビでは受信できない。後日販売になるチューナーが必要になる。当然、18年の放送スタート時期が近づけば対応チューナー内蔵テレビも出てくるとは思うが、まだまだ先の話である。

一番頭が痛いのは「左旋」対応の問題だ。チューナーだけでなくアンテナの置き換えも必要になるからだ。アンテナについては、スカパー!が17年春以降に販売するアンテナをBS・CSともに右旋・左旋両対応に変えていく方針を示しており、比較的安価に手に入るようになりそうだ。マンションなどの集合住宅ではより問題は深刻だ。共用設備の取り替えになるし、中には配線などを見直す必要が出てくる場合もある。そうした部分の対策と周知はまだまだこれからだ。

スカパー!4Kに対応した衛星アンテナ「SP-SHV100D」。BS・110度CSの「左旋」にも対応する
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