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人生を変えるマネーハック

「積立定期」と「財形」 王道2つでいつの間にか貯蓄 貯金をマネーハックする(3)

2017/4/17

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 今月は貯金術をマネーハックしていますが、とにかくお金をためたい人は「自動積立」をどう活用するかがポイントになります。今週は自動的にお金がたまる方法を具体的に紹介してみましょう。

 自分で銀行に行き、お金をおろしてどこかに入金し直すというその「ひと手間」があるだけで、貯金の習慣は続かなくなります。そもそも面倒だし、多忙だったりすると、行動は容易に妨げられます。

 もちろん、意志の強い人はそれでも続けられますが、大切なのは「意志が弱くても続けられること」です。私たちはそれほど意志が強いわけではありません。だからこそ、自動的な積み立てはその手助けとなってくれるのです。

 自動的に積み立てをする方法は大きく分けて2つあります。一つは「口座引き落とし」です。もう一つは「給与天引き(給与引き去り、賃金控除ともいう)」です。順に説明しましょう。

■手軽に始めて困ったときはすぐ崩せる「積立定期預金」

 口座引き落としは給与振込口座のある銀行の口座から貯金額を引き落としてもらう方法です。代表的な仕組みに「積立定期預金」があります。積立定期預金は銀行に行って申し込みをすれば、すぐスタートできます。あとで説明しますが、会社に天引きの制度がない場合でも誰でも利用することができます。

 決めなければならないのは「引き落とし日」と「引き落とし金額」の2つです。引き落とし日については、給与振り込み日もしくはその翌日にしておくと失敗がなくて確実です。

 引き落とし金額については、先週紹介した「手取りの10%」を目標に自分の積立額を設定します。銀行ごとに条件は異なりますが、最低金額を5000円とするところが多いようです。

 満期についても指定する必要がありますが、現在のマイナス金利の環境では1カ月定期でも10年定期でもほとんど差がない状態なので、1年より短い期間で設定しておけばいいでしょう(将来、金利が上昇したら預け替えられる)。

 定期預金の特徴は、預入時に利回りが確定することと、元本保証があることです(金融機関が破綻したらペイオフの対象になる)。また、解約もできるので、生活資金が不足したり、家電の故障による買い替えが生じたりした場合には取り崩すことができます(途中解約するとペナルティー金利が適用される)。

■解約がちょっと面倒だが、だからこそたまる「財形貯蓄」

 もう一つは会社の天引き制度を利用する方法です。会社内の制度を使うことで、給与が給与振込口座に入金された段階で貯金が完了していることになります。

 天引きによる代表的な積立制度に財形貯蓄があります。規模30人以上の事業所を対象とした厚生労働省の調査によると、2014年時点で約40%の企業で、財形貯蓄制度を採用しています。勤労者財産形成促進法に基づき、会社が国とともに社員の財産づくりを支援する制度で、そのほとんどは預金で行われるのでここでは積立預金の選択肢として紹介します。

 財形(一般)の申し込みを行う際、「毎月の積立額」を指定します。給与振り込み日に自動的に積み立てられるため、引き落とし日の指定はありません。積立額は積立定期預金と同様に目標は「手取りの10%」としてみましょう。

 ボーナス月の積立額について増額を行うこともできるほか、会社によっては財形制度の奨励金として会社が追加のお金を拠出してくれることもあります。この場合、高金利と同じ価値がありますから、財形の魅力が大きく高まります。

 財形の注意点は、社内制度であるがゆえに、解約が少々面倒ということです。筆者の友人は解約のための書類に上司のハンコをもらいに行ったら「○万円解約するんだ。何を買うの?」とハラスメントされて閉口したそうです。

 これは極端な事例ですが、「解約が面倒だから、できるだけ崩さないようにしよう」と思うことが結果としてメリットになるかもしれません。面倒さが解約の誘惑を退けてくれたため、気がつけば数百万円たまっていたということになれば、結果オーライということもあるからです(念のため補足しておきますが、一般的には資金使途を上司が聞くことはありません)。

 ところで、財形貯蓄には住宅財形と年金財形という仕組みもあり、こちらは利息が非課税になる有利な仕組みとなっています(一般財形は税制優遇がないので普通の積立定期預金と同条件になる)。ただし、この場合は、住宅購入や年金受け取りに活用しなければなりません。最初は一般財形からスタートすればいいでしょう。

 会社内で天引きにより積み立てができ、安全性の高い積み立てというと、社内預金という制度もあります。会社が銀行のような役割をして、かつては高い利息をつけてくれる仕組みでしたが、先の厚労省の調査によると、今では採用割合は4%弱です。もしまだ会社にあって、金利が高ければ利用してもいいでしょう。

■できれば今すぐに積み立てを開始しよう

 今回は積立定期預金と一般財形の2つを紹介しました。これらはマネーハックというにはちょっと一般的な方法であり、いわば「王道」の貯蓄方法であります。しかし、マネーハックの視点からは「手続きを行う」という一番大事な点をアドバイスしたいと思います。できれば今すぐにでも手続きをして、積み立てを開始することが大切です。

 この手の「自動化」は最初の書類1枚でスタートして、確実にお金をためられるようになります。逆にいえば、手続きをしなければ永遠にお金はたまりません。新年度の「今こそためる」という気持ちがあるうちに手続きをしてしまいましょう。

 銀行の積立定期預金は手続きはすぐ終わりますので、お昼休みに支店の窓口にでも行って質問してください。財形貯蓄は社内の手続きによります。いつでも加入できるところと、申し込み時期が限定されているところがありますので、会社の人事・総務に確認するか社内ネットで手続きについてチェックしてください。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはIT(情報技術)スキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔
 AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に『誰でもできる 確定拠出年金投資術』(ポプラ新書)など。http://financialwisdom.jp

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