ワイガヤ授業が麻布流 教師も鍛えるやんちゃ秀才麻布中学・高校の平秀明校長に聞く(下)

昭和以前の作家もいれば、村上春樹など現代の人気作家の著書もある。中3の生徒は4~5人の班を作り、1冊の本を読み込んで、互いに論議し、原稿用紙100枚以上の論文にまとめる。このなかで優秀な作品は毎年発行する『論集』という分厚い本に取り上げられて紹介される。

文系と理系は5対5

この『論集』は麻布生の知の結晶だ。哲学者のカントや心理学者のフロイトのほか、行動経済学やバイオテクノロジー、海洋生態学など様々なテーマの論文が掲載されている。論文の中には高校2年生による「日本倫理・哲学グランプリ(2016)」の銀賞入賞作もあった。

書くことを重視する麻布。大学受験生の理系と文系の割合はほぼ半々だという。医学部人気もあり、ライバルの開成高校や筑波大学付属駒場高校、灘高校などは圧倒的に理系の比重が高い。麻布は東大一辺倒でもない。17年の東大合格者は78人だが、自由な校風の京都大学の合格者も12人で、都内の高校では都立西高校などに次いで多い。

早稲田大学や慶応義塾大学のほか、東京芸術大学に進学する生徒もいる。橋本龍太郎、福田康夫の両首相経験者はそれぞれ慶応、早稲田出身。東大以外からもトップリーダーになった人は少なくない。いずれの大学に進学しようと、成人式には約8割の麻布卒業生が集まり、交友を温めることが多いと平校長は強調する。

『ガリ勉』はバカにされる

麻布出身でコマツ社長の大橋徹二氏は「学園紛争のさなかで卒業も危ぶまれる時代だったが、やりたいことをやった濃厚な時間だった。今も麻布の同級生とか、先輩後輩とはよく食事したりして、仲がいい」と話す。

東大理学部3年生に在籍する卒業生は「麻布は、開成や筑駒と違って完全中高一貫制で6年間を同じ仲間と過ごす、自由で面白い学校。『ガリ勉』はバカにされるし、宿題も少ない。文化祭や部活で忙しいし、結構みんな遊ぶので、現役合格は筑駒や灘に比べて多くない。僕も1浪ですから」という。

サッカーやバスケット、テニスなどの部活も盛んだ。東京の一大繁華街、六本木に近く、遊びにはまる生徒もいるようだ。ただ「もともと地頭がよく、集中力もあるので、ちゃっかりいい大学に進学する人が多い」(大橋氏)。自由を謳歌し、自治を守り、多様なリーダーを輩出してきた麻布。「都会のやんちゃな秀才集団」は今も健在だ。

(代慶達也)

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