予算委員会は国会の予算委員会と同様、クラスの代表があらゆる事象を対象とした討議の場となる。麻布生は決して自由気ままにふるまっているのではなく、自治権を担うことで責任も負っている。文化祭など各イベントを成功に導くには、優れたチームを作り、綿密な計画を作成して実行する必要がある。結果的にリーダーシップを身につけていく。

要領よく勉強

激しい学園紛争に揺れた麻布。その過程で生徒による自治権が確立し、後に予算委員会が誕生。強圧的で不正常な学校運営に対抗するため教職員も労働組合を組織したり、保護者・教員も学校の情報がきちんと伝わらなかった反省からPTAが組織された。だが、この闘争期間も麻布は東大合格者のベストテンから外れることはなかった。「闘争に明け暮れながらも、要領よく勉強もしていたんでしょうね」と平校長は笑う。

学園紛争を経て自由と自治を獲得し、リーダーシップを磨く麻布生。多様なリーダーが次々輩出する環境が麻布にはあるわけだ。

麻布高校の1学年の定員は300人。2017年の東大合格者数は78人で、前年比16人減であったが、全国ランキングでは第4位。半世紀以上にわたって学年定員の3割前後の合格者を維持してきた。自由な校風を守りながら、なぜこれほどの高い学力を身につけられるのか。その疑問に答えるために、平校長は麻布の校内を案内してくれた。

麻布の主な出身者
 麻布の出身者は政界や経済界・学界のみならず、文学界や芸能界など様々な世界で活躍しているのが特徴だ。橋本、福田の両首相経験者のほか、自民党元総裁の谷垣禎一氏など著名な政治家が多い。経済界では「財界の鞍馬天狗」と異名をとった日本興業銀行(現みずほ銀行)の中山素平元頭取をはじめ、ホンダ元社長の福井威夫氏や三菱商事会長の小林健氏、コマツ社長の大橋徹二氏など多士済々。三越伊勢丹ホールディングス社長だった大西洋氏も麻布出身だ。
 文学界にも人材が多く、吉行淳之介や北杜夫、山口瞳など戦後活躍した有名作家のほか、「北の国から」の脚本家として知られる倉本聰氏もいる。ちなみに同氏は西武鉄道グループ総帥だった堤義明氏とは麻布時代の同級生だった。
 芸能界にも人材を送り出している。もともと麻布の文化祭の前身は芸能祭と呼ばれた。1946年に後に俳優として活躍する小沢昭一やフランキー堺らが「世の中に娯楽がないので、日ごろ世話になっている先生たちに余興をやって楽しんでもらおう」と発案してスタートした。
 最近活躍している有名人といえば、日本テレビ放送網の人気アナウンサーの桝太一氏がいる。平校長の教え子だが、「生物部出身のまじめな子で、東大に進学したが、まさかアナウンサーになるとは思わなかった」という。

(代慶達也)

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